「 岡部陽二 」 一覧

米・欧の銀行破綻ショックから何を学ぶべきか

米国でこの3月、銀行破綻が立て続けに起きた。 3月10日にはシリコン・バレー銀行(SVB、全米16位)、12日にはシグネチャー銀行(全米29位)の破綻が報じられ、3月21日にはスイス・UBS銀行によってクレディ・スイス銀行が救済合併されると発表された。 「すわ、リーマン・ショックの再来か?」と市場は不安が不安を煽って混乱したが、米国の中央銀行(FRB)とスイス政府の迅速な支援決定が功を

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やってはいけない債券投資!仕組債が取引停止?のなぜ

「やってはいけない債券投資!仕組債が取引停止?のなぜ」~これは2022年9月23日付楽天証券ホームページの見出しである。 個人投資家向けに仕組債を販売することは、金融庁から厳しい指弾を受けて昨年10月に一斉に中止された。証券会社や銀行の「業者利益重視の営業姿勢」が問題視されたのである。 その後、仕組債の販売規制のあり方について6か月にわたって金融庁と日本証券業協会(日証協)の間で話し合

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国債30%大暴落、 英国の金融大混乱は対岸の火事か?

昨年9月23日、英国で英国債・ポンド為替・株価のトリプル安が発生した。 きっかけはトラス前政権による 430億ポンド(約7兆円)もの大型減税策の発表である。 経済の活性化の意図したものであったが金融市場はこれを嫌気したのである。 事態をさらに悪化させたのは投機筋からの売り浴びせに加え、「英年金基金」による資産投げ売りである。 英国年金基金では約20年前から債務連動型運用戦略

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金融リテラシー教育は実効を挙げられるか

政府は国家戦略として金融教育体制を整備する。岸田首相が唱える「資産所得倍増プラン」の実現に向けた、柱となる政策である。 具体的には、2024年中にも官民一体で新たな「金融経済教育推進機構(仮称)」を立ち上げ、個人の資産形成を中立的に助言する専門資格を創設する。 モデルは、英国にある公共機関“MaPS”(Money and Pension Services)。このMaPSを参考に、フィナ

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資産形成はNISAの恒久化と iDeCo・企業型DCの拡充で

  先だって10月28日、岸田首相はブレア元イギリス首相の表敬訪問を受けた。 ブレア元首相といえば「第三の道」、すなわち福祉と自助努力の新しいバランスを提唱し、自助努力できるように国民を教育したことで政策を成功させた経歴をもつ。 当時ブレア首相が置かれていたイギリスの状況は、岸田政権が直面するいまの状況と酷似している、という指摘がある。アベノミクス新自由主義からの転換を

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個人金融所得倍増は諸刃の剣か

岸田首相は就任来、個人金融資産所得の倍増を実現すると意気込んでいる。 NISA(少額投資非課税制度)の拡充・恒久化を柱として、個人保有の預貯金を証券投資に誘導するという。 この金融所得倍増プランは5月から9月にかけてのロンドンとニューヨークでの演説で大々的にぶち上げたものであるが、10月4日に行われた臨時国会の所信表明演説ではまったく触れていない。経済政策の最重要課題として掲げた円安と

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コロナ禍下で膨れ上がった公的医療費を抑え込め

  新型コロナウィルス感染症の蔓延が、はしなくも露呈したわが国の医療提供体制の脆弱性について過去3回にわたって考察してきた。今回はその締めくくりとして、コロナがもたらした医療費の財源問題について今後のあり方を考えてみたい。   公的医療の財源問題は税と社会保障の一体改革で 2020年度補正後の予算は112.5兆円の赤字、2021年度は65.7兆円というとんでもな

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