木村喜由の『マーケット通信』
日経225は先行き15000円割れも
10月いっぱいは買い急ぎ厳禁

*木村喜由のマーケット通信は今後、有料記事で掲載予定です。サンプルとして無料公開しています。

先週は多事多難な一週間だった。

米国では国内初のエボラ患者出現でミニパニック、欧州ではECB会合結果が期待外れで暴落、おしまいは米国雇用統計が市場予想を大きく上回りドルと株価が急伸。東京市場は、ドル円110円達成感からくる利益確定先行ムードの中でこれらのとばっちりを受ける格好で激しく動いた。

現物は10月2日木曜に、8月8日の急落に匹敵する大幅安(TOPIXの下げはむしろそれを上回る)となり、その晩には先物が15,370円まで売り込まれる場面があり、週明けの高値からほぼ1,000円の大幅安となった。そこから丸1日で15,940円まで戻しており、先物オプションを扱う投資家にとってはジェットコースターに乗っているような気分だったはずである。

投資家たちを振り落とす大手ヘッジファンド

もちろん、この背後には短期売買を中心とする大手ヘッジファンドの介在があったと思われる。最初の上下動は彼らの意図的な動きでなかったかもしれないが、ある時点からは意図的に過剰に振れ幅を大きくして、余力の少ない投資家のロスカットポイントまで到達させ、そこを狙って反対売買して利益確定したり新規の仕掛けをしようとするのだ。筆者の見るところ、株式先物の手口ではクレディスイス(CS)、ゴールドマンサックス(GS)が常連だが、先週はバークレイズ証券経由の偏った売買が目立った。詳細は下記サイトを参照。(http://www.traders.co.jp/domestic_stocks/invest_tool/futures/futures_top.asp)

週末の米国株が大幅高したことにより週明けの東京も大幅高で始まるだろうが、大局的に見るとアヤ戻しの範囲に留まりそうな気がする。商品市況や途上国株価・通貨の動きを見ると、米国のQE3の終了を見越した資金の退出が鮮明となっており、ブラジル・ボベスパ指数は1か月前の高値から15.8%急落、NY原油も6月高値から17%以上下落している。非鉄・鉄鋼原料の下落は中国の景気減速を反映しているとされ、実際中国の統計で最も信頼できるとされる電力消費量は前年比マイナスとなった。月次の振れを排除したトレンドから推定しても、わずか2~3%の伸びである。欧州の低迷は言うまでもない。

しばらく中期サイクルの底を探る動き

少し前に中期サイクルの見方を書いたが、昨日の大幅安と夜間取引での先物の安値が15,360円まであったことにより、9月25日高値16,374円が今回のサイクル高値であることがほぼ固まり、サイクルの底に向けて比較的大幅な下げを見る公算が強まった。

サイクルのセオリーでは、よほど例外的に強い動きでない限り、サイクル終了時の下げはそのサイクル中で最も厳しいものになる。これまでで最大の下げは前半高値7月末15,759円から中間安値8月8日の14,753円までで下げ幅はほぼ1,000円だった。今回の下落はこれを相当程度上回る下げ幅になるはずで、次の安値は15,000円接近、あるいはそれを明確に下回る公算が濃厚である。順当なら10月の中旬以降2~3週間に到達するものと見られる。

これまで中期サイクルの終了時、つまり安値を付ける過程においては、必ず外国人の大幅売り越しと裁定買い残の大幅な減少=先物主導の下落という現象が起きていた。逆に言えば、そうなるまでは中期サイクルが底値を付けたと言えないということである。少なくとも9月26日までの週の投資家別売買動向や10月1日末の裁定残高(25億600万株に増加し、1月下旬以来の高水準)を見る限り、まだ買い越し基調が続いており、直近の下げはまだ序盤戦に過ぎないと見るべき。

強気に転じたBNP、売りで活発なJPM

ちなみに1月高値の時の裁定買い残ピークは29億6400万株。この時の大証225先物買い残上位はCS48,001枚、次がUBSの18,160、GS13,693、ニューエッジ11,568、バークレイズ10,036と続く。これに対し、9月26日時点ではBNPパリバ21,383枚、CS18,178、ニューエッジ13,901、野村13,348と全く順番が変わっている。特にBNPは昨年末6,805枚の売り越しであり、この9か月間で完全に投資姿勢が反転した。

ついでにBNPの動きを調べたら、上手にトレンドを捉えていることが判った。ショート(売り越し)が最大になったのは4月4日(15,000円付近)での18,603枚、これが安値を付けた直後の5月30日の週では売り買い均衡となり、その後7月後半から徐々に買いポジションを積み上げてきた。

これに対しCSは5月30日に1,625枚の売り越しに転じており、ピークから5万枚も減らし、裁定買い残が20億5300万株まで急減した最大の原動力となっていた。トレンドを作っている投資家が背後にいるといえるが、最高値でポジションが最大、安値で最小ではお世辞にも売買が上手とは言えない。6月以降、この2社がほぼ並行してロング(買いポジション)を積み上げてきたということができる。おそらくBNPには新たな強気筋の顧客が入っているのであろう。以下では数字の前のマイナスは売り越しの意味。

レベルや売り買いの時期は若干違うがモルガンスタンレー(MS)もBNPと似た動きであり、昨年末-16,047、5月16日-17,947、6月20日-2,653。その後ほぼ同水準で経過した後、9月に入り1万枚ほど買い越して現在に至る。年末に積み上げた売りポジションを上手にキープして安値圏でほぼ買い戻したことになる。

裁定業者は裁定残が多いときに売り越しが膨らむ。最も活発に動いているのはJPモルガン(JPM)のようだ。CSを裏返ししたようなポジションで、昨年末-36,217、その後4~7月は+4,000枚前後で上下したが、買い方の動きが強まった9月から急速に売りが増え、直近-19,962となっている。その次がソシエテジェネラル、メリル日本といったところだろう。CSやGSにも社内に裁定取引を行う部門(売り越し)があるはずなので、顧客が抱えているロングは上に述べたものより1~2万枚多い可能性がある。

Vol.1235(2014年10月5日)

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