大井リポート
ROW(米国以外の世界)の言葉に自信漂う
クリスマスで活気づくNY

公開日: : 最終更新日:2016/05/16 マーケットEye

セイル社代表 大井 幸子

先週、ニューヨーク市に出張した。金曜の午後から街中で大渋滞が発生した。クリスマスの買い物や観光・観劇、パーティーで人と車がマンハッタンに流入したためだ。

週末に入るとマンハッタンには人がますます増え、街中をサンタクロースの格好をした若者たちが練り歩き、クリスマス・ムードをもりあげている。夕方、ロックフェラーセンターの巨大クリスマスツリーにイルミネーションがともるころ、一帯は人ごみで身動きが取れないほど込み合っていた。デパートやレストランでは家族連れで混雑し、みな楽しげで表情が明るい。米国の個人消費も小売りもまずまずのように見える。

デパートも見てみた。流行が変わりつつある。ネクタイの幅はやや狭めで、マンハッタンではオーガニック食品の店やカフェが増え、ヨーグルト専門店も流行っている。グランドセントラル駅のフード・コートや大手薬局チェーンのウォルグリーンにはケールのサラダや寿司・のり巻が並んでいる。このところ健康志向が強く、米国人の食生活には改善がみられるようだ。

年末の利益確定モードに

さて、金融市場がこうした実体経済を反映して動いているのかというとそうでもない。年末の〆にかけて投資家は利益確定に忙しいし、世界中のさまざまなリスク要因が消えてなくなることはない。

ギリシャ国債フォルト懸念、原油価格の急落、イラクやシリアの地政学リスク、そして、新興国売りの圧力といった問題は相変わらずで、すぐに解決策は見当たらない。

こうしたリスク要因の影響をもろに受けているのがロシアで、ルーブル安とインフレとで国民経済が大きな打撃を受けている。

ダイナミズムと寄付でお金が回る

米国経済に関する記事では、最近ROW(Rest of the World 米国以外の世界)という単語をよく見る。

日本はリセッションに入り、欧州の成長は下方修正され、米国だけが景気が堅調で、これからも世界経済を牽引して行くという自信を示している。

もちろん、米国国内には拡大する貧富の格差や人種間の対立など様々な問題がある。

その一方で、マンハッタンの家賃が高すぎて大都会を去った若者たちが住みやすい中西部の中小都市に移り、起業し、ソーホーのようなカフェで遅くまで熱っぽく話し合っている。

シェールオイル・マネーが雇用を増やし、環境は良くなり、昨年7月に財政破たんしたデトロイトでさえ、不動産開発業者がめぼしい物件を底値で買っているという。そうした米国のダイナミズムが経済成長を底から支えている。

もう一点、米国には慈善活動によって社会奉仕にお金を回す仕組がある。

メトロポリタン歌劇場の演奏会に行くと、プログラムに劇場の芸術活動を支える人々の寄付リストが載っている。

筆頭はテキサスの石油富豪バース夫妻で、年5千万ドル(約60億円)を寄付し続けている。

芸術家の育成や教育にもお金が回っている。こうした寄付のおかげで、私たち一般市民も超一流の芸術に親しむことができるし、世界中の人たちがメトロポリタン・オペラのファンになっている。

ショート買戻しで年末にかけ円高に

さて、日本では総選挙の結果、安倍政権が長期安定化し、一服した投資マネーは、年末利益確定売りで円ショートポジションを買い戻すためやや円高が予想される

元記事:大井幸子のグローバルストリームニュース

関連記事

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「DESTINY鎌倉ものがたり」とサウジの株売り

    2017・12・18 「三丁目の夕日」の西岸良平のベス

記事を読む

蝦夷と熊襲。21世紀後半の大発展地域。それに金価格

2025・6・8(第1276回) <日本経済新聞より> 6月3日(火)日本経済

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「トップガン マーヴェリック」と、中国経済の苦境と日本のインフレと円安。私の強気。(第1118回)

36年ぶりの「トップガン」!! 当然私は観に行き、充分に満足した。お勧めできる。 主役

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

「方丈記」と安倍政権の方針転換と外国人投資家の変貌、さらにトランプ政権への不安材料(第1008回)

 「行く川の流れは絶えずして、しかも、元の水にあらず。」有名な書き出しで、高校生だった私には、この

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「決算!忠臣蔵」とトランプ再選と安倍四選(第988回)

まことに楽しい時代劇コメディーの佳作。大石内内蔵助が残した請払帳を分析した山本博文著「『忠臣蔵』の

記事を読む

PAGE TOP ↑