映画「トップガン マーヴェリック」と、中国経済の苦境と日本のインフレと円安。私の強気。(第1118回)
36年ぶりの「トップガン」!!
当然私は観に行き、充分に満足した。お勧めできる。
主役のトム・クルーズの59歳と思えない若々しい肉体。例によって全力疾走する姿。完全に画面を圧倒している。
ところが、この素晴らしいエンタメに対し、残念な情報がある。
WSJ 5月30日付けによると、「中国企業テンセントは当初、12.5%にあたる数百万ドルを出資する予定だったが、その後撤退した。」
理由は中国企業に対する共産党への忠誠の強要。複数の映画がこのために頓挫した。
特に「トップガン」は米国への愛国心を大テーマにしている。興行収入が数億ドルにのぼると予想されている大ヒットなのに、投資を放棄させられた中国企業のトップたちの心境は、察してあまりある。
SAIL代表の大井幸子さんによると、中国国内の人々は「いつ北京がロックダウンになるか戦々恐々としている」
「米国の知人は、韓国の子会社を通じてアクセサリーなどを中国で生産している。米国から中国に物を送ると、関税手続きで1週間、FedExの倉庫で1週間、北京に着くまで1週間。計3週間かかる」
大井さんはさらに続ける。
「ロックダウンには、人民統制という明確な政治目的がある。10月の全人代で全権掌握を目指す習近平にとって、第2の文革とも言えるだろう」
中国ですでに始まっている少子高齢化社会、経済の減速という難関に、習近平が生き残り、終身主席を続けるには、文革は必須の手段だ。
すでに人民解放軍の支持は取り付けたと聞く。
習近平はいいかも知れない。しかし足もとの中国経済は数字を見る限り、ボロボロの惨状にある。
ごく一部の数字を示す。(最近月の4月)
工業企業の利益 マイナス8.5%
製造業の収入 マイナス22.4%
飲食業の収入 マイナス22.7%
発電業の収入 マイナス4.3%
これだけ悪いと、失業率にひびく。信用できない統計として知られるが、それでも6.1%、若年層(16歳〜24歳)18.2%である。
成長の源だった不動産業にもバブル崩壊が進行している。(チャート1参照)
海外からの投資も減少。(チャート2)
その原因のひとつは、都市のロックダウンである。
4月17日現在、23の都市が封鎖され、6000万人の市民が影響を受けている。
野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストによると、「2015年の人民元ショックを想起させる」としている。
当時は7000億ドルもの中国政権は外貨準備の取り崩しを行なった。
今回は、ここ3ヶ月で450億ドルもの外国人投資家の債券売りがあった。(チャート2参照)
当然、人民元は18ヶ月ぶりの安値である。(チャート3)
そろそろ結論を出そう。
一部のマスコミが云うような「中国経済の破綻」説は、私は信じない。
しかし、秋口から、医薬品、半導体、レアメタルなど中国が大手供給国である製品は値上がり必至。
日本の方は、榊原英資元財務官がいう通り、対ドル140〜150円という円安が企業収益を押し上げる。インバウンドの解放もプラス。
2019年当時、外国人観光客のビジネスは、自動車と同一規模だったことを忘れて欲しくない。
結論、私は強気だ。
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