JAIIの20年②
個人投資家協会は総会屋?
ブラックリストに載った過去
日本個人投資家協会事務局長 奥寿夫
1995年2月に日本個人投資家協会を設立してまもない頃、懇意にしていた上場企業のIR担当者からこう教えられ、びっくりしました。
「総会屋のブラックリストに載っていますよ」
ブラックリストを作っているのは、企業が総会屋対策のため設立した「 特殊暴力防止対策連合協議会」です。会員企業に配られた会報をみると、総会屋リストのなかに「日本個人投資家協会」が挙がっており、理事長の長谷川慶太郎はじめ、役員の名前が載っているではありませんか。ある女性役員が長谷川理事長の愛人であるなどと根も葉もないことまで書かれていました。
公益社団法人「特殊暴力防止対策連合協議会」(特暴連)は会員企業が会費を払い、警察が密接に関わっています。警察OBの天下り先となっているのでしょう。事務局は桜田門の警視庁内にあります。
抗議のため警視庁に乗り込み、受付で担当者を呼び出しましたが、なかなか出てきません。とある代議士秘書を通じて連絡をとったところ、2回目の訪問では担当者が応対に現れました。日本個人投資家協会は総会屋ではないと説明すると、既に情報収集していたのか「間違えました」と非を認めました。のらりくらりと言い訳した末のセリフにはあきれ返りました。
「私もだまされました」
会員企業からのタレコミがあってリストに載せたというのです。タレコミ元として某大手証券の名を匂わせましたが、真相は定かでありません。訂正文を出すという確約をとり、総会屋リストから名は削除されました。
総会屋も今は昔
どうして個人投資家が集って意見を表明していこうとしただけで総会屋扱いされる羽目になったのでしょうか。「上場企業にモノ申すのはケシカラン」という風潮が20年前にはあったのです。
ちなみに総会屋が跋扈していた時代は終わり、今ではどの株主総会に行っても総会屋の姿を見ることはありません。といってもシャンシャン総会ばかりでもありません。一般投資家の質問が活発になり、総会屋の出番もなくなったということです。
それでも特暴連は健在です。
(続く)
関連記事
-
-
基本の話by前田昌孝(第39回、投信積み立てのコツ)
内外の株式相場が波乱局面を迎えています。2024年1月の少額投資非課税制度(NISA)の大型化を機
-
-
宮本武蔵「一乗寺の決闘」と日銀のサプライズ政策。そして2023年の見通し(第1152回)
12月20日の日銀の決定は、サプライズとして受け取られた。金融政策は、黒田総裁の退位以降と
-
-
シェイクスピア「リチャード三世」とバイデン大統領を織り込み始めたNY、そして日本株長期上昇のサイン(第1020回)
15世紀後期のイングランド。ランカスター家とヨーク家の王位をめぐる戦い「ばら戦争」の末、ヨーク家
-
-
カフカ「変身」とマーク・ファーバー博士の不吉な予言。そしてフシ目をこえた円の対ドル安、そして私の強気(第1085回)
「ある朝、グレーゴル・ザムザは(中略)自分がベッドの中で巨大な虫に変わっているのに気が付いた」
-
-
気になるチャート
リーマン時との比較、外国人売買額累計ジャイコミ編集部 気になるチャートをチェックしようという思いつきのコーナーを始めました。 どこで





