JAIIの20年②
個人投資家協会は総会屋?
ブラックリストに載った過去

公開日: : 最終更新日:2016/04/22 協会ニュース, 無料記事 ,

日本個人投資家協会事務局長 奥寿夫

1995年2月に日本個人投資家協会を設立してまもない頃、懇意にしていた上場企業のIR担当者からこう教えられ、びっくりしました。

「総会屋のブラックリストに載っていますよ」

ブラックリストを作っているのは、企業が総会屋対策のため設立した「 特殊暴力防止対策連合協議会」です。会員企業に配られた会報をみると、総会屋リストのなかに「日本個人投資家協会」が挙がっており、理事長の長谷川慶太郎はじめ、役員の名前が載っているではありませんか。ある女性役員が長谷川理事長の愛人であるなどと根も葉もないことまで書かれていました。

公益社団法人「特殊暴力防止対策連合協議会」(特暴連)は会員企業が会費を払い、警察が密接に関わっています。警察OBの天下り先となっているのでしょう。事務局は桜田門の警視庁内にあります。

抗議のため警視庁に乗り込み、受付で担当者を呼び出しましたが、なかなか出てきません。とある代議士秘書を通じて連絡をとったところ、2回目の訪問では担当者が応対に現れました。日本個人投資家協会は総会屋ではないと説明すると、既に情報収集していたのか「間違えました」と非を認めました。のらりくらりと言い訳した末のセリフにはあきれ返りました。

「私もだまされました」

会員企業からのタレコミがあってリストに載せたというのです。タレコミ元として某大手証券の名を匂わせましたが、真相は定かでありません。訂正文を出すという確約をとり、総会屋リストから名は削除されました。

総会屋も今は昔 

どうして個人投資家が集って意見を表明していこうとしただけで総会屋扱いされる羽目になったのでしょうか。「上場企業にモノ申すのはケシカラン」という風潮が20年前にはあったのです。

 

ちなみに総会屋が跋扈していた時代は終わり、今ではどの株主総会に行っても総会屋の姿を見ることはありません。といってもシャンシャン総会ばかりでもありません。一般投資家の質問が活発になり、総会屋の出番もなくなったということです。

それでも特暴連は健在です。

(続く)

関連記事

今井澈のシネマノミクス

秀吉の鳥取城兵糧攻めと食料価格の上昇の今後。それに米国の債務上限問題。2023・2・26 (第1161回)

443年前のこの戦いは、空前の餓死者を出したことで知られる。城内に数多くの農民の追い込み、事前に高

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「大いなる西部」とウクライナ情勢の新展開。現在が何年かに一度の超買い場であることの証明。私の4万説。(第1132回)

ウイリアム・ワイラー監督が広大な土地とそこに生きる人々を描いた大作であり、同時に「対立」の物語でも

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

孔明の「天下三分の計」と私が常識外れの意見を大相場説とからめて喜んでいるいきさつ (第1073回)

三顧の礼をもって迎えられた孔明が劉備に述べた大構想である。これで一介の軍閥の長に過ぎなかった劉備は

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

カミユ「ペスト」とFRB頼りのNYダウの最高値更新と日本(第999回)

フランスのノーベル賞作家アルベール・カミユの代表作で「異邦人」と並ぶ。フランツ・カフカの「変身」と

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「慕情」と時限爆弾化した香港問題とNYダウの行方、 そして日本株 (第1017回)

映画「慕情」と時限爆弾化した香港問題とNYダウの行方、 そして日本株 2020・6・21 (

記事を読む

PAGE TOP ↑