JAIIの20年③
我々は如何にして大手証券から敵視されるに至ったか
証券取引審議会の一幕
日本個人投資家協会事務局長 奥寿夫
1995年2月に日本個人投資家協会が発足した当時から、証券業界は「何かよからぬ団体が出来た」という認識でした。
「このような団体を作りました」というご挨拶のため長谷川慶太郎理事長とともに大手証券各社を回ったのですが、その時に協会が運動の大事な方針として、株式売買委託手数料の自由化と、証券業の免許制から登録制への移行を求めていくことを据えていることを申し上げました。その後、「四社会(野村、大和、日興、山一各証券の副社長の集まり)で個人投資家協会とは距離を置くことを決めた」という連絡を、うち一社の副社長から受けました。
決定的だったのは、1997年2月、証券取引審議会総合部会での一幕です。
バブルが崩壊して以降、いっこうに市場が活性化しないことから金融システム改革が急務となっていました。“日本版ビッグバン”のとりまとめに向け各方面から意見を聞くために、当協会理事長の長谷川慶太郎が参考人として呼ばれました。
証券大手四社が出席している、その満座の席で、長谷川理事長は証券会社を厳しく非難したのです。曰く「証券会社は個人投資家を、“湧きもの”だと言い、食い物にしている。もっと個人投資家の利益を考えた営業姿勢をとるべきだ」。湧きものとは殺しても殺しても湧いて出てくるウジ虫やボウフラのことです。
個人投資家を食い物にする証券会社
証券会社の営業マンは、営業成績を上げるために都合のいい商品を顧客に売りつけます。投信などまだかわいいものです。短期売買をさせ、そして信用取引をさせて2、3年で全財産をなくします。財産がなくなれば、もう客ではありません。また次の客に同じように営業します。ある大手証券の支店長は、「客を何人殺すかで出世できるかどうか決まる」と言っていました。
長谷川理事長は「個人投資家をないがしろにするような営業姿勢では市場活性化はほど遠い」と叱責し、居並ぶ証券大手の幹部は満座の席で恥をかいた形になりました。
その後、大手証券のアナリストには原稿依頼や講師依頼をしても引き受けてもらえないことが何年も続きました。こちらとしては特に含むところはありません。どこの証券会社の所属であろうと、真実を語る人、当たる人の話を聞きたいものです。
個人投資家が群れて、賢くなっては困る
どうして日本個人投資家協会は証券会社に嫌われているのでしょうか。その根底には、個人投資家が群れること、賢くなることをよしとしない証券業界の姿勢があります。個人投資家は営業マンの言いなりで金融商品を買っていればいい、という感覚がどこかにあるのでしょう。
証券会社の営業マンと接する時は一対一です。限られた商品と、限られた情報から選ぶことになります。一般の人からすれば、構えの立派な大手会社の、パリッとしたスーツを着た営業マンに「これがいいですよ」と勧められたら、その商品がどんなものか理解しなくても、信用してしまいます。結果的に証券会社は手数料を稼げますが、個人投資家の資産は増えはしません。
(続)
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