ランドバンキングで夢を語る
実録・投資セミナー海外不動産編③
公開日:
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最終更新日:2016/04/22
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ジャイコミ編集部
投資セミナーに行けば、販売会社がどんな投資商品を売りたがっているのか、どのような口説き文句を使っているのかがわかる――。
「いまはフィリピン、フィリピン!!」から始まった海外不動産投資編。最後もプレビルド購入のローン裏技教えます!に続いて、表参道で開かれたセミナーの模様をお伝えする。
それでは若い男性講師に再び登場願おう。
他社が勧める海外不動産はインカムゲイン(利子収入)を謳う物件がなさすぎで恐怖を覚えるくらい。キャピタルゲイン(値上がり益)ばかりを煽ってばっかりで、これはいけないなと。これだと難民が出ると思う。
なので、キャピタルはこちらの「土地」でしっかりと……
こんな調子で持ち出してきた「土地」の話がこれまたうさん臭いものだった。
キャピタル狙いはコンドミニアムではなく土地にフォーカスしました。
フィリピン国内の高速道路の出口をすべて調べ、高速道路がつながる(延長される)と分かったエリアの土地を仕入れた。それをランドバンキングとして商品化した。マニラ市内と高速道路がつながる先では地価に10倍ほどの差があり、今後の価格上昇が見込める。年20%以上の利回り(手数料と税引き後)、5年後に2.5倍のキャピタルゲインを目指す。
ランドバンキングとは、将来の不動産需要が見込まれる未開発の土地を買って一定期間保有し、開発許可などを得た段階で売却して利益を得る投資だ。投資回収まで4~6年かかるとされるが、利益確定がいつになるかは売却のタイミングによるので決まっていない。
アベノミクスで円高が是正された後は下火になっているが、日本で一般的なのはカナダの土地を買うランドバンキングだ。投資単位は100万円くらいからと小口になっているので個人も投資できる。
一方、ランドバンキングは投資資金の回収可能性が不透明なことなどから、かつて流行った「原野商法」(原野など価値のない土地を騙して売りつける悪徳商法)に近いとも指摘されている。
普通のものと違って塩漬けにはならないんです!
ただ、このような批判は想定済みのよう。
講師は「特約」の存在を猛烈にアピールする。
普通のランドバンキングは塩漬けになるケースが多いが、弊社の「土地売買プログラム」は購入価格での買い戻しもする「特約」をつけている。利回り保証もある。3年目以降は7.5%の利回りを付与する。
100万円なら3年で40万円の利益が見込める。利回りはグロス(表面利回り)で18.2%、ネット(手数料などを差し引いた実質利回り。投資額の10%と3万7500ペソが引かれるとのこと)で7.2%。
売却は値上がりによって20%以上の利回りとなることが確定した時点でする。
確かに、講師の話の通りなら「おいしい話」であることに違いない。
(為替リスクについての言及は特になかったが)
講師はさらに畳みかける。正確に言えば、煽ってきた。
コンドミニアムではなるべくインカムを狙ってほしい。キャピタル狙いの売却は難しいと思う。弊社にも「(物件を売りたかったのに)売れない、売れない」という相談がものすごくきている。
でもこれ(土地)は確実に売れる。5年で2.5倍のキャピタルを狙う商品。
1口100万円の投資で1人5口が上限。土地は200口しかないので1カ月後にはもうありません。周辺の土地を誰が買っているのか調べたら、市長の関係者や州の要人が買っていることがわかった。周囲には駅もできます。
私は街を作るのが夢です。自分たちで買い戻してもいいと思っているくらい。
はぃ~? 急にあんたの夢を語られても・・・
と、思ったところで気づいた。
セミナー参加者に売りだそうとしている土地は、自分たちがいったん購入したものだ。講師は「仕入れた」「自分たちで買い戻してもいい」と言ってるので、購入したと判断できる。
さらに彼の話の通りなら値上がりは確実。その仕入れて持っている土地を自ら売却して利益を得るのではなく、顧客に売ろうとするのはなぜだろうか。顧客の儲け分を約束してまで(自らの取り分を減らしてまで)、お金を集める必要はどこにあるのか。
意識高い系の男女にはぜひ、その辺りを突っ込んでほしい。
ここまで見てきたように海外不動産投資の世界は一筋縄ではいかない世界だ。日本国内の不動産取引であれば宅建業法で業者も規制されているが、海外不動産は違う。だからこそ魑魅魍魎も集まる。
簡単にできる投資ではないので大丈夫だと思うが、営業トークに安易に乗ることだけは避けてもらいたい。
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