映画「コードネームUNCLE」と予想外の不安材料の抬頭

スパイ映画は気がきいたセリフとアクション、セクシーな美女、それに何ともスゴいカタキ役が揃っていないとサマにならない。期待して観に行った「007スペクター」はガッカリした。若い方の美女役がダサくて、ブスとは言わないが魅力は日光の手前、イマイチ。カタキ役は存在感ゼロ。いいシーンはあるがとても合格点はやれる作品じゃない。

一方、今週のネタにした映画は今年の製作だが、1963年の冷戦時代が舞台。原爆のつくり方を熟知している行方不明のロシア人科学者を探すため、米国とソ連で一人づつスパイを提供する。何とも奇想天外な「0011ナポレオン・ソロ」はTVの人気シリーズで64年から68年まで放映された。すぐ日本でも放映され私はファンだった。

今回映画化された「コードネームU・N・C・L・E」は主役二人が適役で、スピーディ感のある展開、シャれたセリフと英国人監督らしい皮肉、それにカーチェイスもまずまず。第一に科学者の娘役とその父を監禁したカタキ役の伯爵夫人がともに魅力的。

先週、私がアベノミクスが「第三の矢」で既得権益から猛反発を受けている「岩盤規制」に風穴を開けつつある。またその事実に気づいた外国人投資家が日本株投資比率を上昇しつつあると指摘した。

衆参同一選で長期政権へ

早速ある敏腕記者が問い合わせしてきたが、実は今週、来日中のあるミュ-チュアル・ファンドの運用担当者から「会いたい」。私は講演でどうにもならない日なので、じゃあ電話で―。20分も話したかと思う。私の先週の見方は正しかった。

やはり関心は政治で「来年の衆参同時選挙はなぜ?」「公明党へのけん制球。軽減税率で対立しているから、というのが通説。しかし私はやる可能性60%と見る。」

「理由は?」「2017年4月の消費税増税前後に衆院選をやれるはずがないし、来年なら野党の結集も選挙準備も全く不可能。1月4日の通常国会召集で参院選の日時決定も柔軟性を増した。」

「勝てば?」

「安倍首相が長期政権になるし、支持率も最近49%台(前月比8%増)と上昇中。今でも党内でダントツだが自民党で“一強”立場をずうっと続けられる」

2万円近くでの下げは買い場

私は先週、先物中心に買い上げているヘッジファンドは2万円達成で売る。だから一日で日経平均何百円かの大幅下げが近い将来どこかである。しかし、そこは買い場。これは繰り返しになるが。私はこの数年の間に日経平均は3万円以上になると予想しているから、2万円近くでの乱高下はむしろ大歓迎だ。

理由は―。長くなるので、近い将来、書店に並ぶはずの私の36冊目の本「2016 日本経済投資のシナリオ」(フォレスト出版)で書き込んだ。買っていただけると嬉しい。

この本で私は予想もしていない不安材料をずいぶん書き込んだ。しかし新しいブラックスワンが現れた。それは例のISの(考えたくもないが)米国でのテロだ。

米国テロという想定外のリスク

ランド研究所の調べではIS英国とほぼ同じ広さの領域を支配、原油密売、イラク銀行からの現金強奪、制圧地域からの徴税で2014年だけで120億ドルを集めた。アルカイダが「911」の計画、実行に50万ドルをかけたから、ISはあれと同じ規模のテロは2400回できると計算だ。

具合悪いことに、オバマ大統領がテロ退治の成果を誇示すると直ちにISは行動を起こしてきた。

パリのテロは11月13日に起きたのはご存じの通りだが、その前日ABCテレビに「IS押さえ込み戦略は成功している」と発言。少し前だが昨年1月7日対談でISを「直接の脅威になるような力はない」と述べたが、その1週間後にISはイラクに侵攻、米国人人質を斬首した。どうもオバマ大統領をISはオチョくっているらしい、という声が上がっても仕方あるまい。

それもそうだろう。

2011年1月に始まったシリア内戦終結に向けてオバマ政権は何もしなかった。難民発生防止のため当初から国連が求めていた安全避難所建設と飛行禁区域の設定を米国は拒んできた。

オバマ大統領の責任

もちろん最大の責任はシリアのアサド大統領とISにある。しかし大量の難民発生にオバマ大統領の責任は否定できない。しかしこの人は簡単に自分のミスを認める人じゃない。また、やるだろう。ISの能力を否定し、ISはテロを引き起こす。

ワシントンポストの世論調査では-

  • ISの対米テロを恐れる   81%
  • シリア難民の受け入れ拒否  73%
  • オバマのテロ対策不支持   54%
  • 地上戦闘部隊派遣支持    60%

従って、パリのテロ「イレブン・サーティーン」は、第二の「ナイン・イレブン」につながる。と米国市民は考えている。やはりこの危険性は無視できない。それでも私は日経平均3万円以上の目標は崩さないがー。

映画のセリフから。

ナポレオン・ソロはイタリアの巨大企業オーナーに接近するため美術品ディーラーに化けて言う。

「御社のコレクションは素晴らしい。しかし私どもプロから見ると統一性に抜けているところがあります。その隙間を補うことが、私のサービスです」。

私の著書のブラックスワンはスキ間があった。反省。

ついでに。

先々週の米国下院でのヒラリー追及委員会で、実に11時間に及ぶ共和党議員のいじわる質問を彼女は見事な回答でかわし切った。これでベンガジ・ゲートはオバマの責任に米国世論はまとまったように見える。共和党の候補の乱立、ジョー・バイデン副大統領の立候補辞退もあり、ヒラリーは有利な選挙戦を進めるだろう。それにしても、大した女性だなア。

映画「コードネームUNCLE」と予想外の不安材料の抬頭(第803回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

関連記事

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「マダム・フローレンス!」と日銀、FRBとトランプ

  2016・9・25 近く開かれる東京国際映画祭のオープニング作品で

記事を読む

木村喜由のマーケットインサイト
2014年11月号
2つのサプライズで割高感、利益確定を

日本個人投資家協会 理事 木村 喜由 驚いたことが二つ立て続けに起こった。 一つは言うまでも

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「黄金」と金相場の今後
今井澂・国際エコノミスト

今週は「駆け込み女と駆け出し男」を観た。井上ひさし原作の「東慶寺花だより」の映画化だがよくまあ脚本と

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「蜘蛛の巣を払う女」と2019年の好悪材料

スエーデンで2005年に出版され、世界で9900万部を売った超ベストセラーの映画化だ。本国では200

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「ノマドランド」とNY・東京株式市場を襲う七つの難題と私の強気  (第1061回)

近く発表されるアカデミー賞作品賞の最有力候補とされる話題作。  あらすじから入る。  

記事を読む

PAGE TOP ↑