映画「用心棒」と中国リスクの再検討

このコラムで映画を導入部にする―という私のアイディアは、ちょうど上映開始になった作品がピタリとテーマに会うといいのだが、ダメだと四苦八苦。

その場合は黒沢明監督の名作を使うことにしている。読者はご存じだし名セリフも多い。

今回は、2015年の世界のテーマ「米中対立」が今後どう展開するか、を書く。せまい宿場町に二人の親分、というのはいまの世界によく似ているじゃないか。

中国経済は崩壊する

私は中国の経済がかつてのソ連と同じように内部から崩壊すると予想した。時期は2017年後半から18年、とも。

楽観論も根強い。代表的な論者は林毅夫・前世銀チーフエコノミストで「2030年まで8%成長可能」。論拠は①都市化によるインフラ整備、②改革、開放の余地大、③後発の利益、④高いキャッチアップ能力。

一方、中国専門家の津上俊哉さんはやや悲観的で「すでに潜在成長率5%に低下」。お名前は言えないが私が尊敬しているエコノミストは最も悲観的で「足下はせいぜい4%で2020年には2%」

理由は次の通り。

労動生産人口はすでに2015年から減少開始している。

この方は「改革を阻んでいるのは9000万人の共産党員と2億人の都市貴族」。これが12億人の下僕あるいは農奴を支配しており、人材の有効活用は無理。既得権益はそのままで打破できない―と見る。

そして長期停滞が長期化した後体制は崩壊し、内戦とか難民を日本としては心配しなくては、とまで。

人民元SDR入りは両刃の剣

私はこの悲観論に味方する。そして中国人民元が来年9月にSDRに入るがこれは「両刃の剣」。資本移動の完全な自由化が認められるので、必ずヘッジファンドのエジキになり、そこから危機が加速化すると思う。

また、いまは財政・金融政策何でもありで、住宅バブルは再燃し自動車の売れ行きもふたケタに乗せている。しかしこれは「最後の悪あがき」だろう、と前記のエコノミストは評する。

問題は世界の資源国やNIES・ASEANに資源価格の下落で悪影響がはっきりしていること。日本は対中輸出はGDPの2・3%でしかも下落中。景気停滞が長期化すればさらに下がる。

日本経済は大丈夫

外国人ファンドマネジャーには私は「中国がどうなろうと、日本経済は大丈夫」と言っている。企業によっては現地法人の収益の寄与が大きいところがあるから要注意だが。

そうなると、日本で既得権益による抵抗に風穴を開けつつある安倍政権に、対中国の比較でも、もっと点数をあげてもいいのではないか。

 

株式市場の方。

年末大納会前の三日間、トウビの一振。20年間で17勝3敗。このジンクスを今週は信じることにして。お粗末。

映画のセリフから。

三十郎が両陣営から値をつけるのを待っている。権爺「フン、たかが用心棒になるだけじゃねえか」三十郎「用心棒にもいろいろある。雇った方で、用心しなきゃならねえ用心棒だってある」

先日、米国はSDRへの人民元採用に当たって元財務長官ポールソン氏を派遣して細目を「助言」した。雇った方の中国は、用心したんだろうなあ。

 

映画「用心棒」と中国リスクの再検討(第806回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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