ロバート・B・パーカー「失投」とトランプ氏最後の賭けの失敗と私が2021年で儲けなければ一生ダメ、という理由 (第1042回)

 もう85歳で体力がないので、往年の思い出だが、30年代後半~50代まで、私は月に40冊の本を読んでいた。兜町の千代田書店の大お得意様だった。「MUST本」と自分で呼んでいた経済、市場関係の本、月1,2冊の英語の原書。それに“息抜き”としてのアメリカの探偵もの。

 とくにガードナーのペリー・メイスン・シリーズ。毎月早川書房から出るのを心待ちにして、往復の電車で読んだ。パーカーの小説もおんなじ。

 40冊?ホラ話と思わないでください。1968年にトレーニーとして、NYに長期出張した時、NYタイムスに連読術のセミナーがあるとあったので、当時の100ドルは痛かったが、3回、どう読むかを教わった。

講師の若い生意気な長髪オトコが「故ケネデイ大統領が、この技術を身に着けてエラくなったんだゾ」と自慢した。ホラと思っていたが、本当だった。

 ロバート B パーカーのスペンサー・シリーズの中から「失投」を選んだのは、まだ巨人の日本シリーズ4連敗の口惜しさが、今でも尾を引いているためだ。

(捕手の大城起用が失敗と私は今でも思っています。)

 さて「失投」だ、ボストン レッドソックスのエースがどうも八百長をやっているらしい、とニラんだ球団のお偉いサンから調査を頼まれる。早速スペンサーは作家のフリをしてロッカールームに入って選手やコーチにインタビューをする。そのうちエースの妻の発言からナゾを解いてゆく。

 まあ面白いから、スペンサー・シリーズ「初秋」「晩秋」あたりから、読み始めることをおすすめする。

 何でスペンサー・シリーズと今回のブログと関係あるの。こういう探偵ものの常連として、苦境に陥った主人公がドンデン返しをする。あるいは体を張って敵をやっつける。

 トランプ大統領は、53件の訴訟では州の裁判所段階で敗れ12月第1週にいよいよ最高裁への直接提訴が行われた。テキサスなど17州それにトランプ氏自身が、4州を対象に提訴した。しかし12月11日、最高裁はこの提訴を退けた。がっかりしているんだろうなあ。

NY株式市場がこのところ元気がなかつたのは、バイデンシナリオー増税→大型財政出動→リフレ、の読みに不安が出てきたから。トランプになれば、変わるわけではないが、資本というものは臆病。しかしこの判決で新値をバク進、という可能性が出てきた。

 このところ、「相場ウラ読み」で前回私が述べた「2021年に儲けなければ、一生、後悔しますヨ。」という発言に質問が来た。理由をもっと詳しく、というわけ。

 山のように金が余って、債券は欧州中心にマイナス。株しかない、これが基本。

2021年の景気の急回復、それも大ブームだ。

 私の昔からの友、ポール・チューダー・ジョーンズ(人も知るヘッジファンドの超親玉だ)が“MASSIVE BOOM”という言葉で、超強気の姿勢を示した。MASSIVEとは重量感を伴うとか、量を伴う、と考えるといい。

まあワクチンが成功し、大衆のリベンジ消費による大ブームが起きるーというストーリーである。旅行、レストラン、ミュージカル、ホテル、レジャーランド等々。

当然、企業業績の急回復が予想される。米国も日本も22年はおんなじ。米国はS&P500で2020年2Qでは39%の減益、しかし2021年3Qでは33%の増益。

来年は50%台ではないか。

日本。SMBC日興証券の12月11日の資料によると、景況感がそのまま出る卸売、電気ガスを除いた製造業の営業利益は、2021年3月期ではマイナス20・1%。これが2022年3月期にはプラス59・7%。このストーリーだと日本製鉄と空運株は研究に値する。では株式市場全体は、どうか

 いまの日経平均のPERは24・5倍だが、来年には13~14倍。割安。

 へえ、そんなに景気が良くなるの、なります。

 鉄のスクラップ価格。4月にはトン 1万9100円、これが最近3万1250円!

この暴騰は、景気の急上昇を意味している。このことを、私は山一證券経済研究所のNY支所長時代に、マエストロと呼ばれたアラン・グリーンスパン元FRB議長の部下から詳しく教わった。

 景気が良くなると鉄鋼需要が伸びる。建設需要は特に鉄筋棒鋼中心だが、この需要は電炉による鉄鋼メーカーの受注に直結する。鉄スクラップは工場の庭に置いておけないので、これを買う。したがって鉄スクラップ市況を見ていれば景気の先行きがわかる。

 この話を中部証取で当時全盛期だった私が、鉄スクラップ取引が始まる式典で話した。関係者から問い合わせが来た。疑ったのだろうなあ。その後マエストロは日経の「私の履歴書」にこのことを書いて裏書きしてくれた。

 さらにさらに、コロナショックはイノベーションを生む。」米国の年金勢が日本のポストコロナ時代の急成長が期待される小型株に買いを入れている。

 パルナソスインベストメントの宮島秀直さんの米国年金勢の購入リストを私なりにセレクトして次に示す。(この方は現地に行って取材するのを基本にしているので、きわめて信用度が高い)。

  1. AI INSIDE(4488)②マネーフォワード(3994)③ベイカレント・コンサルテイング(6532)④ラクスル(4384)⑤メドレー(4480)  以上

条件は外人持ち株が高水準でしかも上昇中。ホントはHENNGE(4475)を入れたかったんだが、四季報で見る限り横ばい。12月16日に発売される最新号で外国人投資家の持ち株比率が14%以上になっていたら、リストに入れてください。

スペンサーのセリフから。「人は何かを信じる必要がある。」私を信じてください。

関連記事

木村喜由と吉崎達彦の米大統領選の話 Part3

ジャイコミ動画の第二弾は前回に続き吉崎達彦さん、木村喜由さんの米大統領選のお話Part3です。是非

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「リオ・ブラボー」とようやく景気が底入れした米国、日本経済と株、それにポストコロナの成長銘柄 (第1015回)

西部劇で私の最も好きな映画の一つ。主役のジョン・ウエインに加えてデイーン・マーティンのアル中の助手

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「アバターシェイクオブウオーター」とウクライナ2-22・1.1(第1152回)

新年あけましておめでとうございます。 前作「アバター」は13年前。「タイタニック」の

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「一度も撃ってません」と四連休内に週明けの売り仕掛けをたくらむ投機筋、バイデン認知症説 (第1022回)

 この何か月、映画館を断っていた私。ついに禁断症状が発生、夢にまでスクリーンが出るに及んで決意した

記事を読む

日経IR・投資フェア2017 に行ってきました。

日経IR・投資フェア2017が、8月25日(金)26日(土)に東京ビッグサイトで開催されました。

記事を読む

PAGE TOP ↑