気になるチャート
外国人は日本株を見放そうとしている?
ジャイコミ編集部
気になるチャートをチェックしてみようというこのコーナー。
今日、東証から投資主体別の売買動向データの3月分が公表されましたので、久しぶりに図を作ってみました。
外国人マネーは年初から先物を含めると5兆円が抜けた

まず1つ目は前回も紹介した外国人投資家の日本株売買差額の累計額と日経平均の推移。
アベノミクス相場は12年11月の野田佳彦首相(当時)の衆議院解散・総選挙実施宣言から始まりました。そこからの外国人投資家の日本株の買いと売りを差し引いた額を積み上げていったのが、図の青色の部分です。現物だけでなく先物も含めた金額です。
外国人売買累計額売買差額累計は3月を終えて10.1兆円にまで減少しました。昨年12月時点が約15.6兆円だったので、今年に入ってから約5.5兆円の減となります。15年5月のピーク時23.4兆円と比べると実に半減です。
外国人投資家が昨15年度は5兆円も日本株を売ったとニュースで報じられています。上の図の元データをみると確かに現物は17.7兆円から12.6兆円と5兆円ほど減っています。
ですが、先物を含めると売りの金額はもっと大きかったわけです。
「ヘッジファンドの短期的な売りではなく、外国人の日本株に対する根本的な評価が変わったと見ざるを得ない」
三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘さんは4月4日付けのレポートで、外国人の巨額の売りについてこう記述してます。
さらに次のように指摘しています。
(中略)アベノミクス相場では、常に日本株に好意的な評価を与えていた。ところが、そのブラックロックが、足下で米株の評価を上げて、日本株を引き下げている。「日銀のマイナス金利決定以降、市場のボラティリティが急激に高まっており、大幅な円高により輸出業者の利益が下振れるリスクが増大している。マイナス金利幅が一段と拡大すれば、金融株に対する圧力も増す公算が大きい」と一変しているのだ。
ではその金融株はどうなっているのでしょうか。
銀行株を尻目にマザーズ市場が独り勝ち
この図は業種別株価指数(東証33業種分類)で銀行株の動向を指すものです。東証1部全体の動きを示すTOPIX(東証株価指数)と比べてもその低迷ぶりが目立ちます。
(グラフのタイトルで「16年1月4日=100」としてしまいました。左目盛りの「1.00」を「100」、「0.9」は「90」といった感じでみてください)
一方で元気なのが新興市場の東証マザーズ指数です。マザーズは売買代金の7割を個人投資家が占めている市場です。
確かにここ1~2週間はバイオ関連の銘柄を中心に活況となっているようです。
ただブルームバーグの報道によると、指数を押し上げているのはバイオ医薬品開発のそーせいグループとのこと。
マザーズ指数でそーせいGが占めるウエートは15%。日経平均株価でウエートが首位のファーストリテイリングの8.1%と比べても影響度は大きく、仮にそーせいGが入っていなかったら、年初からの上昇率は13%(4月4日時点)でなく、7.7%にとどまるとか。
08年との比較チャートでみるとまた油断できない状態に?

最後は、前回も紹介した2007年8月のパリバショックからの約1年間と昨年8月のチャイナショック以降の日経平均の推移を比較したチャートです。
07年8月のパリバショックは米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅ローン)関連の証券化商品に投資していた仏BNPパリバ傘下のファンドが投資家からの解約を停止したというものでした。 ここからサブプライムローン問題が一般にも広く認知されていきます。
パリバショック後、08年3月にはサブプライム問題で損失を被った米投資銀行ベアースターンズの破綻、さらには9月のリーマンショックを経て、株価は大きく下落しました。
今年の年初からの株価推移は08年年初と重なり不気味だったのですが、3月に入ってからは乖離したことで心配は杞憂に終わるかにみえました。
しかし、アベノミクス相場で初となる日経平均7日続落(3月29日~4月6日)で足元は再び同じ位置に戻ってしまいました。
さて4月相場はどうなることでしょう?
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