永久債の利回りを計算してみましょう。

 

金融リテラシー講座 「金利計算、利回り計算のやり方」8回

フィナンシャル・アドバイス代表 井上 明生

今回は永久債の利回りについて考えてみます。
永久債とは利払いだけを行い元本の償還がない債券(*)です。永久債は日本ではなじみがないですが、海外では発行はめずらしくありません。日本の金融機関も海外で永久債を発行しています。
*元本の償還がないと言っても、発行後一定期間が経過すれば発行体の方から償還できる権利がついているのが普通です。

償還のない永久債、そんなものの利回りが計算できるのかと思われるかもしれませんが、これも利回りは計算できます。例えば、利率は固定利率で5.0%の永久債があるとします。これが利回り4.0%で取引されているとしたら、債券の取引値段(債券単価)はいくらでしょうか。

それを考える前に、一般的に永久債の債券単価Xと利回りrの関係はつぎのようになります。(額面100円当たりのクーポンをCとして、年1回利払い、現時点は利落ち直後とします。)

kinyuinoue20160425

ジャイコミ有料記事テキスト画像

永久債の債券単価はクーポンを利回りで割ったものと言う訳です。
上記の例、利率5.0%の永久債が利回り4.0%で取引されている場合の債券単価を計算すると、
5÷0.04=125 → 債券単価は125円です。

式3-③、これは前にも出てきたことを思い出せますか?
そうです、第4回で取り上げた配当から理論株価を出す計算式の一定配当額が続く場合と同じです。
株式は利息が変動する永久債と思ってよいです。そして配当が一定であるなら永久債と同じ計算式で理論株価が出ることになります。第4回のときは式3-③と同じものを提示しただけで、なぜそうなるかは説明しませんでした。今回示した永久債と同じ計算過程を経て結局式3-③のようなシンプルな式になるのです。

式3-③はシンプルですが、株式投資にはもっとも重要な式と言えます。われわれは株式投資においてPERをよく使います。株価をK、1株当り純利益をCとしますとPERの計算式はつぎのようになります。

kinyuinoue20160425-2

これは3-③式を入れ替えただけです。Cに1株当り配当を入れると配当から見た理論株価、Cに1株当り純利益を入れれば1株当り純利益から見た理論株価となります。どちらにしてもわれわれは永久債の債券単価を計算する式で株式投資を考えているのです。

(次回につづく)

ジャイコミ有料記事テキスト画像

関連記事

年金の利回り、いったいいくら?

金融リテラシー講座 「金利計算、利回り計算のやり方」9回 フィナンシャル・アドバイス代表 井上

記事を読む

四季報の業績欄は十分なのか?
損益計算書を読み解く③

金融リテラシー講座 「投資のための財務分析」第15回 損益計算書のダイジェストは「会社四季報」(以

記事を読む

業種ごとの資産効率をどう判断するか?
貸借対照表を読み解く⑦

金融リテラシー講座 「投資のための財務分析」第10回 前回、資産の効率性を見る上ですべての会社に適

記事を読む

損する前にこれを読め!
損する人の心理を赤裸々に描写
『あやしい投資話に乗ってみた』

ジャイコミ編集部 誰しもが避けたい投資関連でのトラブル。だが、実際に投資してみてからでないとわから

記事を読む

その投資の利回りは、いくら?

金融リテラシー講座「金利計算、利回り計算のやり方」5回 フィナンシャル・アドバイス代表 井上 明

記事を読む

ジャイコミメンバーの特典


メンバー登録はこちら

投資歴40年のベテラン投資家等による
他には無い、生涯の資産運用に役立つ、
本物の投資家によるマーケット情報!

投資家・経営者・業界のプロ達も読む
(有料記事の執筆者紹介はこちら)

ジャイコミをフォローしよう


ジャイコミをフォローしよう
 


メディアとは異なり、利害関係が無いNPOだからできる唯一の中立な情報サイト
『真の情報を、数多くの人々に広める』
PAGE TOP ↑