住宅ローンの金利を計算してみよう!

公開日: : 最終更新日:2016/05/16 ゼロから学ぶ投資 ,

金融リテラシー講座 「金利計算、利回り計算のやり方」11回

フィナンシャル・アドバイス代表 井上 明生

前回のクイズ、住宅ローンの金利を計算してみましょう。
問題はどうだったかというと、
「住宅ローンで今2,000万円借ります。返済は1年1回年払いです。第1回目の返済が1年後で最後の返済が20年後です。1回の支払い額は元利合計114万円であって、20回すべて同じ金額です。金利は最初から最後まで固定金利で変わりません。この住宅ローンの金利はいくらか」
というものでした。

まっとうな計算式ならつぎのようになります。

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基準時を今にして、今借りる2,000(万円)と今後支払う114(万円)×20回分を割引いて今の価値にし、それが一致する割引率(r)、それがこの住宅ローンの金利です。
上記の計算をエクセルの表計算でやってみますと、答えは1.2817%(r=0.012817)です。

では、これを普通の電卓でもできる秘伝の計算方法でやってみましょう。
この要点は、キャッシュフローが複雑でも平均運用期間を考え、利息相当分を平均運用期間で割って、利回りを出すというものです。以下、実際電卓でやってみてください。

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まず、利息の合計額は、    114×20-2000=280  →  280万円
平均運用期間は、   (1+20)÷2=10.5   →  10.5年
1年あたりの金利は、   280÷10.5=26.67   →  26.67万円
それを元本で割ると、  26.67÷2000=0.0133 → 1.33%

となり、秘伝の計算方法での答えは1.33%となりました。実際の答え1.2817%ですから、少し誤差がありますが、当らずとも遠からずということになります。

第2回でも書きましたが、金利は短期間では無視できるほど小さいですが、時間が長くなると金利が大きく影響してきます。消費者ローン金利はかなり高いですが、借りる期間が数週間か1ヶ月程度なら支払う金利はたいしたことありません。同様に、特別キャンペーンとして非常に高い金利を提示している預金があったとしても、特別金利は最初の1ヶ月だけでしたら、そんなものに飛びつくのは止めた方がよいでしょう。

ところが運用する時間が長い年金商品とか住宅ローンなどは金利が物を言ってきます。金利によって受取額や支払額の全体が大きく変ってきます。
また債券に投資する場合も長期債になればなるほど金利の変化が債券単価の変化を大きくします。仮に次ページのような償還まで3年、10年、20年の債券があったとして半年後に取引利回りが0.3%低下したとしたら、債券単価はつぎのように変化します。(利回りはいずれも半年複利利回り)
ある時点                     その半年後
3年債(利率0.7%)利回り0.7% 単価100円 → 利回り0.4% 単価100.746
10年債(利率1.2%)利回り1.2% 単価100円 → 利回り0.9% 単価102.726
20年債(利率2.0%)利回り2.0% 単価100円 → 利回り1.7% 単価104.961

いずれも利回りの変化は0.3%ですが債券単価の変化にはかなりの差があります。因みに、10年債に投資し、このように運用したとすると、この運用の所有期間利回り(利益を年換算した利回り)は、つぎのようになります。
利益は  売買益( 102.726-100)+ 利息0.6(半年分) =3.326
運用期間は半年ですから、利益を年換算すると  3.326×2=6.652
年換算利益を投資元本で割ると       6.652÷100=6.652%

今後わが国においては老後の生活資金を公的年金に頼る部分を縮小していくしかないでしょう。そして、確定拠出年金のように自分で掛け金を積み上げ、自分で運用する年金に頼る部分が多くなると思います。私的年金、つまり自分で作る年金においては、運用利回りによって受取る年金は大きな差になります。
仮に20歳から65歳まで年間12万円(月1万円)を積立て、その後20年間年金を受取るとして、全期間の運用利回りと年金額はつぎのようになります。

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運用利回りが5%を超えると、年金額は急激に増えて生きます。8%で運用するのは至難の業で
しょうが、5%なら現実味はあります。同じ掛け金でも5%で運用できれば1%の運用利回りより年金は4倍以上多くなります。逆に言うと、1%の運用利回りなら掛け金を4倍にしても利回り5%の人の年金にかないません。
このレポートを読んでいる皆さんは、自分の資産運用の目標利回りをどのくらいに置かれているでしょうか。10%以上に置かれている方もあるでしょう。もし、長期に渡って10%で運用できれば資産はどんどん膨らみます。20年なら6.7倍になります。
でも目標利回りは5%程度で十分ではないでしょうか。長期間の平均で5%の運用利回りを達成するのは簡単ではありません。もしそれができたなら、大いに満足して良いでしょう。

今回で金利計算の話は終わりにします。

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