映画「日本で一番悪い奴ら」と日本の進路のプラン

2016・7・10

北海道警察で日本警察史上最悪の事件を起こした悪徳警官を描いた実話映画。ヒット作だし充分に面白い。主演の綾野剛もなかなか良く、案外女性の観客も多かった。

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柔道で名を挙げた諸星は北海道警察に入り刑事となるが先輩の悪徳刑事から「点数をかせいでエラくなりたかったら、現場でS(スパイ)を作れ」とアドバイスされる。日本一の刑事になりたい一心で、ほとんど違法な捜査をしながら、のし上がってゆく。時代は1990年代で成績を挙げるため裏社会の兄弟分(?)を利用してロシアから密輸拳銃を買ったり、おとり捜査をしたり―。

びっくりさせられたのは拳銃を大量に押収するため、中国からの覚せい剤の密輸を関税当局に認めさせるくだり。主人公が言う。「シャブとチャカとどっちが大事なんですか?」。上司が「年間量を下回っているなら見逃してもいいかも」。腐った組織というほかないやり取りだ。シャブは関東、こちら北海道の責任は主にロシアから入るチャカというロジックだ。

外債投資に向かう日本の投資家

私は安倍内閣の経済重視と政治(安保・改憲)重視期が入れ違いになってきていることを残念に思う。

参議院選挙前に景気刺激策は発表されなかった。事前の情勢調査でもう大丈夫だからやめておけ、ということになったのだろう。セコいし、何となく官僚的な感じがする。まるで同警察のチャカ論じゃないか。

円レートで口先介入しかできないのは、人民元が大幅急落するのを米国の要請で実行できないためだろう。まあ「犠打」ですな。

となると外銀が邦銀にドルを貸すと、高い収益を得て円レートはジリジリと円高に進む。

日本国内の投資家は外国債投資を猛烈に行っている。本来なら円売り・外資買いで円安のはず。しかし先物市場で円買い・外貨売りでヘッジしているので円安は起きていない。

一方、外債投資家でドルを調達するスワップ市場でドル調達コストが大幅に上昇。日本勢のコストは高く、海外勢の収益はますます上がる。対策は乏しく円はジリジリと高い。株価は上昇の勢いはますます乏しくなる。

米国景気の鈍化は決定的

7月8日発表の6月の米雇用統計はたしかに良かった。前月の3万8000人や6月の予想コンセンサスの17万5000人より高い28万7000人。しかしこの数字はBREXITの前で7月数字は良いはずがない。3か月でまとめれば米国景気の鈍化見通しが決定的になる。発表直後に円レートは一時安かったがすぐに元の黙阿弥になった。

ほとんどの経済指標がアベノミクス登場前の水準に戻ってしまったことを、安倍さん、あなたにもっと注目して頂きたいと思う。

私は内閣官房参与の藤井聡京大教授の「国民所得を80万円増やす経済政策」を読んだ。そこに五つの提案がある。

① 2017年4月の消費税増税延期

② 600兆円経済実現のため財政政策を基本とすることを宣言

③ デフレ完全脱却こそ最大の財政健全化策と宣言

④ 3年以内のデフレ完全脱却を目指し初年度15~20兆円の財政拡大

⑤ デフレ脱却後に中立的な財政運営を図る。

ヘリコプター・マネーへの準備工作

この中で著者は「財投債」の利用と思われる「民間な大量の資金を実質上無利子で貸し付けること」を主張している。この本の帯は安倍首相の「日本経済再生に必要な「具体的かつ実践的な提案だ」と書いてある。私は同感だし賛成する。

近くヘリコプター・ベンと呼ばれるバーナンキ前連銀議長を呼んで話を聞く、とか。永久債の日銀引き受けも日銀保有国債の永久債へのスワップも財政法改正を必要とするので、その準備工作開始だろう。歯止めが利かないという懸念は云われているが、戦前の軍部のような圧力団体は現在の日本には存在しない。懸念に及ぶまい。

長期上昇見越して大手建設・道路は買い

もうひとつ。マイナス利幅を拡大して企業の内部留保をいぶりだし、インフラファンドなどに誘導するという方法も、政界の一部で検討されているとか聞いた。

これなら、実施は来年にしても効果は大きい。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の景気循環研究所のチャート(これは嶋中雄二所長に頼んで宮嵜君がつくってくれた)をご覧ください。2014年で28兆6000億もあるんですゾ。今なら30兆あるだろう。

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結論。

いま1月の信用取引の投げで大手建設、道路株がメチャ安い。森を見ず木をみましょう。今は長期上昇前のダメ押し期。こういう時は警戒論が強く、買いの手が出ないが、思い切ってやる人はもうかる。

映画のラストで歌われる歌から。

「恨まずに終わりにしようか 嫌な夢 いいことばかりじゃないが お前を連れてゆきたい 俺たちの時代も未来は見えなかった 夢一つあとは 何ひとつのぞまない」

夢は持ち続けたい。

映画「日本で一番悪い奴ら」と日本の進路のプラン(834)

 

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