【初・中級者向き】映画「無防備都市」とG・ソロスが、送ってきたメールとイタレグジット

2018・6・3

第二次大戦中の1944年に撮影が開始されたロベルト・ロッセリーニ監督の伝説的な名作。ロケ第一、素人俳優起用というネオリアリズモの原点でもある。

失脚した独裁者ムッソリーニを傀儡政権として担いだナチス・ドイツ軍はイタリア全土を占領し、抵抗するレジスタンスを弾圧する。指導者の拷問による無残な死。ひそかに運動を支援していた神父の銃殺。そして婚約者が連行されるトラックを追いかけ、虫けらのように射殺される女性。

 

観客を感動させたのは、死の瀬戸際でもなお人間の心を失うまいとする人々の姿とナチスへの怒りだ。

欧州発暴落をしかけたHF

5月29日欧州発世界株価暴落の売り材料は①ヘッジファンド大手のブリッジウオーターのトップのレイ・ダリオ氏の欧州株、特にイタリア銀行株の大量売り②前日のジョージ・ソロス氏パリでの講演で「難民排除に傾く伊政権の失策がユーロ危機を再来させる」と警告、の二つとされている。

 

ソロス氏から私に送られてきたメールをよく見ると、従前からの氏の主張の「何か次に予想外の圧力がかかった場合、EU分裂」といっていたのが「もはや過酷な現実だ(この表現を3回も使っている)」と。たしかに強い警告になっている。

 

現在のイタリア政局は不安の塊だ。議会で多数派を占める「五つ星運動」と「同盟」は、反EUの流れ。だがマッタレラ大統領はIMF元財務局長を指名した。

このため8月または9月に再選挙が実施され、反EUかEUとの協調か、イタリア国民は事実上の国民投票を迫られる。これを反映してイタリア国債のCDSスプレッドは一気に2011年の国債破綻危機時の水準に急騰。10年ものイタリア国債利回りは5月初めの1・8%が3%台半ばに上昇している。

EU、ユーロ離脱はあるのか

ヘッジファンドのある大手は、ブリッジウォーターのCEOが「国民投票の確度が高まっている」とのインサイド情報を得て、イタリアの銀行株の大量売りを始めた」と。この大手の動きに雷同した中小HFが、ついでに日本株まで先物を売り始めた。そこで29日と30日合わせて460円の日経平均大幅下げにつながった。

 

では、この世界的な株安に永く続くのか。

材料となるのは「イタリアもEU離脱」が本当に起き、ユーロがメチャメチャに安くなり続くか、だ。

昨年11月のEU「ユーロ統一通貨意識調査」を見るとイタリアのユーロ賛成派は59%で反対派の30%。

 

同調査での「EU離脱」への楽観派(離脱しない)は50%で悲観が40%。

ちなみに英国のEU離脱当時は楽観派43%より悲観派43%より悲観派の49%が上回っていた。

 

日本の元財務相高官も「ECBの国債保有額のGDP比は日銀よりはるかに低い。買い余力があり、イタリア国債の買い入れに不安はない」。

 

私は大ごとにならず、HFの”仕掛け“は一見成功したように見えるが、せいぜい2,3週間、と見る。下値は日本株の場合、もう届いていると考える。2万3000円につっかけるときのスピード調整に過ぎないだろう。いぜん私は強気だ。

 

映画のセリフから。映画のラストでドン・ピエトロ神父は「立派に死ぬのはたやすいが、正しく生きるのが困難なのだ」と言い残して銃殺される。83歳になろうとしている私には死ぬのも大変なことは周囲の例を見るとわかるような気がする。立派にまた元気で仕事をし続けたい。

映画「無防備都市」とG・ソロスが、送ってきたメールとイタレグジット(第911回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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