【初・中級者向き】映画「春の珍事」と米朝会談の行方とトランプ氏サミット中途退席のワケ

公開日: : 最終更新日:2018/06/12 マーケットEye ,

 

2018・6・10

巨人がダメなゲームばかりしているので、今シーズンはまことにつまらない。代わりに大谷を観ることにしているが、今度はケガ。投手でも打者でも成績を上げているんだからやはり楽しいから早く治ってほしい。

DVDで私の好きな野球もの映画「春の珍事」を観た。1950年公開の古いものだが。

レイ・ミランドは野球好きの大学の先生で専門は化学、実験中に校庭からボールが飛んできて化合させていた数多くの薬品がメチャメチャに。

ところがその薬が染みたボールを何気なく転がしてみると、木を避けてゆく。試しに校庭で投げればボールは木のバットを避けるので、野球部の選手も打てない。

そこで先生はこの薬をヘアトニックの瓶に詰めて大リーグに乗り込み、一躍有名投手になる。グローブに穴をあけて、薬を染ませて布を隠しボールに塗って投げるから、どんな強打者でも、バットに当たらないのである。

次第に薬はなくなるが、偶然できた薬なので作れない。ついに薬は切れ、先生は打たれ始めて大ピンチ。しかし投手ライナーを右手で捕ってゲームセット。優勝。素手でキャッチしたので手を痛めるのだが、現実には薬がなくなった先生にとってはラッキーな結末になった。 恋人とも結ばれハッピーエンド。

中朝国境の穴

DVDで観ながら私は「この先生、イカサマ薬を使ってうまいことして、まるで金王朝のイカサマじゃないの」と思った。

核開発、ミサイル開発を続けながら、時々「核放棄」の約束を行い、代償として経済援助を取り付けるが、現実には嘘っぱちで、時間稼ぎで上流階級は、いい思いをしながら、核開発を続ける。これを繰り返して金王朝は国民に惨めな生活を続けさせつづけた。

中国が昨年の党大会まで、チャイナ・セブンの中の三人が石油閥、江沢民派、「北」シンパで原油などの供給があったことが、制裁の抜け穴になった。

ところが習近平独裁時代で「北」派三人はクビ。昨年10月以降、まずジェット燃料、次いで原油も供給が絞られ、ついに平壌には木炭自動車まで、走り出した。外貨準備も2月には底をつくことが分かったので1月から平和攻勢に転じた。冬期五輪参加、南北首脳会談、そして米朝会談、2回の訪中といった具合だ。

私がワシントンから聞いた話では、習近平は金正恩に巨額な借款を与える約束をした、とか。国連制裁があるので、中国共産党と朝鮮労働党との合意にしているらしい。

また中朝両国間の物流も大幅に緩和されているが、これも民間主導という形でゴマカしているそうだ。

これを見逃す米国じゃない。トランプ・ツイッターで「最近、中朝国境に『穴』が開いているそうだ。それは協定が結ばれた後の話だ」「金正恩は訪中してから大きく変わった」と牽制している。

また5月19日の韓国文在寅大統領との電話会談で「板門店会談であなたが聞いた金正恩発言と最近の「北」の行動が違うのはなぜか」と聞いたそうだ。とっさに私は文在寅統領の「仲人口」だと思った。双方にうまいことを言って何とか縁談をまとめようとするウソだ。これかも知れない。ま、12日の結果待ち、ということか。

貿易戦争は終戦?

ところで8、9日のG7サミットと「貿易戦争」について。マスコミが、どこも報じないが、そろそろ終戦、という情報があったのでご紹介しておこう。 これがあったので、トランプ大統領はサミットに最後までいないで中途退席になった。ご存知?

貿易戦争は、米通商拡大法232条が米国大統領権限で発動できることになっていることから始まっている。トランプ氏は中間選挙対策にと思って、例の鉄、アルミから始まって関税引き上げを発令し始めたのだが、これはとんでもない所からブレーキがかかった。

米国で「コーク兄弟」といえば知らぬものはない超巨大富豪で、二人合わせて資産1200億ドル。兄弟別々にランクされるから一人での600億ドルは第8位だが、1位のアマゾンのオーナーのジェフ・ベゾス氏の1120億ドルを二人合わせると抜く。もちろんビル・ゲイツ氏の900億ドル、ウオーレン・バフェット氏の840億ドルを抜く。

この二人は2016年の大統領選で共和党に8億8900万ドル(1000億円)を選挙資金として投入した。

そのコーク兄弟が今回の関税引き上げに猛反対で「民主党に資金を回す可能性」が報じられている。とりあえず数百万ドルを投じて、関税引き上げ反対キャンペーンを開始した(6月4日ワシントンポスト)」。

中間選挙の予備選が始まっている現在、大手資金供給者が叛旗を翻したのだから、トランプ氏の腰が引けたのは当然。ツイッターで「米中両国は最終的には関税を賦課しないで終わる可能性」まで触れている。G7で引っこめたいのだが、そうそう簡単に止めます、ともいえない。そこで中途退席と相成ったというわけ。おわかりか?

東京株式市場にさっそく反応が出ている。半導体関連や電子部品製造機器メーカーは「貿易戦争関連」として3月に売られたが、現在は買い戻しで株価は急回復中。

円安、日本株買いで近いうちに節目の2万3000円を抜いて,驀進する可能性が出て来た。

心配は米アップルとフェイスブック。片や台湾への部品発注減、片や情報漏れ。それにドイツ銀行だけ。

日本株?大丈夫に決まっているじゃあないですか。

映画のセリフから。右手を痛めて引退を余儀なくされて主人公にチームの仲間がなぐさめる。そこで「引退がいいことである事も世の中にあるんだよ」。大騒ぎになり、世界不況の引き金と騒いだ関税引き上げの問題は、かくて終わり。さてどう幕引きをするのやら。

映画「春の珍事」と米朝会談の行方とトランプ氏サミット中途退席のワケ(第912回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

ジャイコミ有料記事テキスト画像

 

関連記事

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「タリーと私の秘密の時間」と三選後の安倍さんの政策

2018・9・2 私の好きな美人女優シャーリーズ・セロンの主演ものなので観たが、何と18キロも

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「人生スイッチ」とサイバーセキュリティ

何という面白いオムニバス映画だろう。アルゼンチンで史上最高の興行収入を上げたのも当然。アカデミー外国

記事を読む

清原達郎「わが投資術」のすばらしさと「日本株ショーテッジ」の時代の到来

2024・7・28(第1231回) 7月24日は亡妻扶美子の三周忌。しかし入院中のこととて、

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「ハリウッドがひれ伏した銀行マン」と尖閣と米国

  2016・8・14 映画好きにはたまらなく面白いドキュメンタリー。主人公は

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「沈黙―サイレンス」とトランプ会見とお年玉銘柄

  2017・1・8 遠藤周作の小説「沈黙」は、戦後日本文学の代表作の

記事を読む

PAGE TOP ↑