【初・中級者向き】映画「ウインド・リバー」とヘッジファンドの北朝鮮投資作戦

2018・7・29

たった4館で公開されたが、世評が高く、全米で6週連続してベスト10に入ったヒット作。2017年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞に輝いた。

題名の「ウィンド・リバー」とはワイオミング州の地名で、ネイティブアメリカンの保留地だ。広さは東京の4倍強。自治権があり、連邦政府の関与はないに等しい。主人公のコリーは合衆国の役人だが野生動物保護局〈FWS〉で、ただ一人でこの広い地域をカバー、警察官もほんの数名しかいない。

お話は保留地で発見されたネイティブアメリカンの女性の死体を、コリーが発見したことから始まり、駆け付けたFBIのジェーンは地元警察と管轄でまずモメてクサる。レイプの痕跡があり、走っていて力尽きて倒れ、寒さで肺が破裂したのが死因。殺人事件ならFBIは動けるが、レイプなら動けない。そこでジェーンは土地カンのあるコリーを頼りにして動き始める。その結果、犯人グループを発見するがー。

市場を支配するヘッジファンドの戦略

やはりヘッジファンドの市場支配力は大きい。先物市場では日経225種80%、TOPIXで95%。この連中がどんな作戦で市場に臨んでいるか、調べたら私が意外に思ったのは、実は北朝鮮の将来に期待しているところが結構多いことだった。

 

リゾート韓国企業で北朝鮮進出を計画しているリゾートグループ大手の竜平、大明など。北朝鮮東部の馬息嶺スキー場を中心として観光事業がまず展開すると期待している。

 

ジム・ロジャーズは大韓航空を買っている。北朝鮮への投資は許されていないが、南北が自由に往来できるようになれば旅客数も増えるだろうから、という理由だ。

一部のヘッジファンドは、北朝鮮が30年前に発行しデフォルトした北朝鮮債を額面1ドルあたり30セントで買いあさっている。

日本の企業では「北」関連は数多い。対日請求権無償資金受取額が、最小100億ドル、最大300億ドルと予想されていること、発送電設備、鉄道関連(車両、軌道)など。

鉱山の開発は時間がかかるし、開発企業がどの位利益が得られるか不明なので、関心は現在のところ、少ない。

まあこの北朝鮮関連は時間もかかるし、ポートフォーリオの主力にはなりえない。米国市場を別にすれば日本株市場は流通性がよく、安倍政権の構造改革特に企業統治改善圧力が及ぼした影響、日銀の強力な金融緩和による円安と企業収益上昇など、魅力な多い、というのが大手ヘッジファンドのマネジャーの評価だ。

ヘッジファンドが買い増す北朝鮮銘柄

では、具体的な銘柄は?ヘッジファンドだけでなく投信も入れてベスト10で、しかもここ三か月で買い増ししたものを列挙してみると次の通り。

  • アウトソーシング(2427)②ペプチドリーム(4587)③(リクルート)④(パーソルホールディングス)(2181)⑤スタートトゥディ⑥日本たばこ(2914)⑦スタンレー電機(6923)⑧ディスコ(6146)⑨アリアケジャパン(2815)⑩ロート製薬(4527)
  • このほかキーエンス(6861)セリア(2782)ダイキン(6367)が加わる。

私は2万3000円のカベは近く破るとみているので、次の段階は、銘柄探しと思う。ここを抜けると、2万3000円が下値の方の抵抗線になる。目標値は最低2万4~5000円が最低ラインだ。

 

私は気が早く、予想はいま広く言われているより強気なことは百も承知。しかし私がこれまで予想をかなりの確率で適中し続けてきたことを思い出していただきたい。

 

映画のセリフから。主人公のコリーは負傷したジェーンに言う。「胸の痛みは防弾チョッキの上の着弾だから大したことはない。破片がクビに当たった方は手で押さえていろ。大丈夫だからな」。物事は軽重を判断しなきゃダメです。

 

来週、8月6日付の私のブログですが、1週間、お休みさせていただきます。夏休みです。皆様のご了解とご理解をよろしくお願いいたします。

 

映画「ウインド・リバー」とヘッジファンドの北朝鮮投資作戦(第919回)

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