【初・中級者向き】映画「イコライザー2」とトランプと中間選挙(第928回)

2018・10・8

 「イコライザー」とは「悪党の非道に苦しむ人々を救うため、人知れず制裁する正義の処刑人」だ。デンゼル・ワシントン主演ものは、ハズレがないので、ロードショ―初日に待ちかねて観た。はたせるかな満員。出来もよかった。

 今回の主役マッコールの表の職業はタクシー運転手だが、CIA時代の元上官で親友のスーザンが何者かに殺害されてしまう。独自に捜査を開始したマッコールは、スーザンが手掛けていた任務の真相に近づくが、同時に自分自身にも危険が迫ってくる。今回の敵はストリート・ギャングやロシアの悪党でなく、プロのCIAらしい。

 米国中間選挙があと数週間に迫った。新大統領が2年目に迎える中間選挙は鬼門で、与党は大体負ける。近年では勝ったケースは1998年と2002年だけ。そこで必ず「ねじれ」が発生。ホワイトハウスが上下両院を抑えたケースは、最近10年ではオバマ政権の最初の2年間と現在のトランプ政権だけ。

 そこで専門家、例えば笹川平和財団の渡部恒雄さんは「弾劾はあまり米国民に支持されていないから、やらないだろうが、民主党が過半をとって委員会の長をとり、そこで大統領を査問する可能性大」と指摘している。要するにトランプガしつこい質問にキレて何か失言をやらかし、そこで大騒ぎになる―という事態が、ねじれとともに発生するかも、と渡部さんは言う。
 
 それでも、ひょっとして依然、上下両院でトランプは勝つかも、と私は考える。
 
 トランプの「大金星」は今回のカバノー氏の最高裁判事選出で三つになった、と渡部さんは指摘する。第一が所得税、法人税の減税、第二は保守派最高裁判事ゴーカッチ氏とカバノー氏の二人決定で保守派が五人と過半、そして三番目が「北」との軍事緊張の緩和、以上だ。

 どうして最高裁の保守派多数化が「大金星」か。たとえば故マケイン氏が民主党と共に選挙資金の青天井にブレーキをかける法案を成立させたが、最高裁が反対して法案は無効になった実例を挙げた。保守派にとっては「トランプやるじゃないか」ということになる。なるほど。

 私は一般に使われているCNNやクック・ ポリティカル・レポートは見ない。保守派の(またトランプの)見ているラスムッセン調査を使う。この方がデータは多いし、連日発表されるから私には便利だ。

 最近では、9月5日のNYタイムスへの匿名の現職高官の告発文寄稿、11日には有名なボブ・ウッドワード氏の「Fear」が出版され、百数十万部が即売され、内容も紹介された。トランプ批判ムードは、マスコミ中心に高まった。

 にもかかわらず10月5日の支持率は8月末の48%から51%に上昇、とくに「強く支持」する比率は35%から38%になっている。追い詰められたはずのトランプは、おそらくこの数字を見て、ますます地方での遊説に注力することになる。

 トランプは、民主党が下院で30以上議席を増やし、僅差で多数を奪い議長ポストも同党に奪われるという「ブルー・ウエイブ」シナリオは、想定の範囲内なのだろう。上院は下院よりずっと重要だが、6年前に大勝した反動が出そう。改選35議席中26が民主党で、共和党が強い州でも勝ってしまったが、維持するのは大変と思われる。

 結論。吉崎達彦さんが最近の「溜池通信」でのべているように「最後は投票日直前の雰囲気で決まる」。

 絶好調な米国経済が支えになるだろうし、NYダウの新高値とキャピタル・ゲイン減税も「大金星」に違いない。「アメリカ・ファースト」政策は当分、継続。トランプ大統領の内向き視点も続く。安倍首相は日米同盟維持以外はないのだから、トランプ大統領が取り返しのつかない破壊を国際秩序にもたらさないようダメージコントロールを続けるしかない。いやはやご苦労様です。

 映画のセリフから。冒頭、ギャングのボスを列車でガードしている用心棒二人をマッコールは19秒でノシてからボスに言う。悪意から元妻の子を誘拐したことを反省させて、「痛めつけるには2つ、ある。身体の痛みと、自分のしたことを反省する痛み、だ。」トランプさんはそんな反省はしないんだろうなあ。
 
今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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