映画「ベニスに死す」と我が国のコロナ不況対策の評価と、政府内のピークアウト予想 (第1006回)
ドイツのノーベル賞作家トーマス・マンが1912年発表した中編を、イタリアの巨匠ルキノ・ビスコンティが1971年に映画化した。主演は英国人ダーク・ボガード。名作の評価が高く。ベンジャミン・ブリテンが1973年にオペラ化している。
映画のスタートにグスタフ・マーラーの交響曲第5番の第四楽章アダージェットをビスコンティは使った。マーラー人気が巻き起こったことでも有名な映画だ。
主人公は小説では作家だが、映画では作曲家となっている。
ストーリーは単純と言えば単純。静養のためベニスを訪れた老作曲家アッシェンバッハが、ポーランド貴族の美少年に恋する。老作曲家は理想の美を見出し、後を付け回すようになる。
折も折、ベニスでコレラが迫っていて、滞在客たちが逃げ出す。しかし主人公は美少年から離れたくなく、この地から離れられない。少年の一家がベニスを離れるその日、コレラで主人公は死ぬ。
美少年のためにベニスを離れずに死んだ主人公のように、今回のコロナ不況対策で安倍政権がとろうとしている措置は、財務省の重石から離れられない、と見られている。外国人には評判が悪い。
報道によると、経済対策は50兆円を超える。しかしGDPに影響を与える「真水」ベースでは20兆円を少しこえる程度で、GDPの4%。米国の10%強と比較にならない。
「真水」について、高橋洋一さんの解説を引用しよう。
「経済対策には、大別すれば➀公共事業②減税、給付金③融資、保証がある。「真水」とは➀のうち用地買収量を除いた部分(2割程度)②は全額③は含めず、➀と②は全額③は含めず、➀と②を足した部分(つまりGDPに直接影響する部分)である。
この少なさについては米国からクレームがついているらしい。
恐らく同規模のコロナ不況第二次対策を打ち出すに違いないが、やはり後手後手。手遅れになる公算大。その分不況の打撃が大きくなる。
マイナス成長、失業、倒産、そして株式市場では巨大企業の赤字転落。これが恐らく7月に発生する、これが外人機関投資家の運用担当者の主流の見方だ。
「政府(アベ)に加えて日銀(クロダ)もダメ」というファンドマネジャーは多い。マイナス金利の深堀りは、民間金融機関特に地銀の収益力に致命的な打撃を与える。何もできないうちに、米FRB、欧ECB、英イングランド銀行に後れを取れば、円高、株安が加速する。そこで「円買い、日本株売り」を繰り返しているのが、外人、特にヘッジファンドだ。
ただし、これはあくまでも外国人、特にヘッジファンドの見方。私は8割は肯定するが、少々見方は違う。理由は次の通り。
第一に、ある情報通から入手した政権内部の今回のコロナ肺炎についての情報だ。ピークアウト(感染者数の増加傾向の後の天井形成)の時期を4月末から5月はじめと予想。
(これをウラ読みすると、4月いっぱいは連日の感染者急増で、阿鼻叫喚する日が続くということ。恐らく隠れ感染者の検出で何万人かになる二ではないか)
第二はG7の折に、対コロナウィルス・ワクチンが、超法規的措置で、極めて速く投与されることが決まったこと。これは大材料だ
最近TVで「1年半」と予想している医師がいた。しかし中国が協力するので、極めて多数の臨床治療(つまり誤解を恐れず言えば人体実験)により十分な安全性が保障される。早期に世界一斉にワクチン供与が開始されるのが、早ければ8,9月と見込めること。これでみとうしが付く。
第三に大不況の波が信用不安につながる。この不安が、ありとあらゆる投資対象まで価格の一斉急落を巻き起こした。しかしまずトランプ大統領の仲介で「サウジがロシアとの対立による減産拒否を止める。これで米シェール企業の連鎖倒産が回避された。もちろん原油価格も反騰した(実は、これも大きい材料だ)。
結論。ここ3、4週間、大騒ぎになりそうな破滅論には、絶対に私は同意しない。誰もがこの騒ぎを見ると「底が見えない」「長期化する」という。しかし、TVが一斉に特集し、日経新聞がトップで絶望的な見出しを付けたら、そこが底だ。
安倍首相に申し上げたい。
今が超長期の建設国債を発行し、日銀が引き受ける。これしかこの難局を日本が脱出できる方法はありません。万難を排して勇断していただきたい。
映画のセリフから。主人公が言う。「私の父の部屋には砂時計があった。砂は初めは少しも動かない。しかし時間が経過するとじわじわと動き始め、いつの間にか移動が済んでいる。」いいセリフだ、と私は思う。読者の皆様、どう思いますか?
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