源義経「鵯越えの逆落し」と、いま市場で起きている銘柄選別の大転換(第1052回)
一般的には「一の谷の戦い」(1184年3月)とよばれているが、私は「ひよどり越えの逆落し」の奇襲を重要視しているので、この題にした。
私が幼いころから「平家物語」を読んで(読まされて)いたことはご存じだろう。このくだりは特に好きだった。
「義経は馬二頭を落し、一頭は足をくじいて倒れるが、もう一頭は無事に駆け下った。
「義経は『心して下れば馬を損なうことはない。皆の者、駆け下りよ』と言うなり先陣となって駆け下った。坂東武者たちも、これに続いて駆け下る。
「二町ほど駆け下ると、屏風が立ったような険しい岩場になっており、さすがの坂東武者も怖気づくが、佐原義連(三浦氏の一族)が、三浦では常日頃 、ここよりも険しいところを駆け落ちているぞ」と言うや、真ツ先に駆け下った。義経もこれに続く。大力の畠山重忠は馬を損じてはならじと、馬を背負って岩場を駆け下った。」
ご存じと思うが、この義経の兵力はわずか70騎である。平家軍は8万から10万。
予想もしなかった方向からの攻撃により、平家の陣営は大混乱となり、我先にと海に逃げ出した。この敗走で平氏は屋島に逃れ、源氏の大勝利に終わった。
義経はやはり天才だった。誰も思いもよらない方角、しかも絶壁という悪条件を逆に利用した奇襲。
今株式市場では同じように、思いもよらない大転換が起こり始めている。
テーマに入る前に、目先の動きを分析する。
日経平均3万円の大台乗せは、売り方の敗北である。
いちよし証券高橋幸洋さんはこう述べている。
「(2月15日の)注目点は、21年3月限のコール30000円の動向だった。」
私なりに解釈すると、売り方オプション1万3000枚は取り残され、3月12日のSQまで買い戻さなくてはならない。
1万3000枚という数字は、各種権利行使価格の中で最大建玉残高である。
結論。3月12日のSQにオプションの売り玉が買い戻されるまでは、大幅な下げはない。それどころか、前記した高橋さんによると「3万1414円まで、上げ幅を拡大する可能性がある」。
では、そろそろ現在株式市場で展開している大きな変化について述べる。
その前に著名なファンドマネジャーのツバイク氏が指摘した相場の大天井時の特徴をまとめておく。①投資家は極めて楽観的②PERは高くなる③流動性が減少し、干上がる④そこで金利のわずかな上昇でも弱気相場を引き起こす。
現在は③は違う。ご存じの通り、昨年だけでFRB,ECB、日銀の資産は、1200兆円増加した。現在でも恐らく年率10%近くの比率で増加している。一言で言えば、カネは余っている。
従って、3万円に到達したからと言って、怖がることはない。あくまでも、通過点である。しかし、変化が起こりつつあることは、事実だ。
では、変化はどのような形で現れつつあるのか。
マーク・フアーバー博士のレポート2021年2月号の表現が実にすばらしいので再掲する。
「誰もがテスラ(TSLA)の好業績と株価が上昇したことを知っている。この数年、アナリストはテスラの過大評価に焦点を当ててきた。その結果、テスラ以外のほとんどの自動車会社がテスラに比較してどれほど「過小評価」されていることに気づかないままである」
人気のある部門を狙うよりも、人気のなかった部門、例えば鉄鋼、化学、製紙、などの素材株。それに陸運、空運、証券、銀行なども市場ではほとんど無視されてきた。これらに人気が回復しかけている。
日本製鉄(5401)は、1月安値1185円から1500円台まで上昇したが、PBRはまだ1以下。欠損で無配だが、会社四季報によると、2022年3月期は利益が出て、20~25円の配当に復帰する。2021年の後半以降の世界と日本経済が回復するのを当てにできる。
回復しなければ?三大中央銀行はさらに金を増刷する。同じことだ。
同様な出遅れセクター買いは各所にみられる。上値はまだ結構大きいと考える。
例えば住友化学(4005)、東急(9005)、日本製紙(3815)、日本航空(9201)
野村HD(8604)、三菱UFJフィナンシャルHD(8306)
同様な視点で「買い線の出ている注目株」として七銘柄を挙げているアナリストがいる。プラザ投資顧問室の代表伊東秀広さんだ。帝石(1605)、東急不動(3289)
王子(3861)、日本製紙(3863)、出光(5019)、アドバンテスト(6859)、新生銀行(8303)
伊東さんは銘柄探しの達人で、相場全体が下げに入りかけた時の予測に特に強い。私としては、リリーフ投手として、頼りにしている人だ。
これらの銘柄に次第に人気が高まっている証拠に、出来高はいずれも増加している。どうぞこのブログの読者の皆様は、以上の銘柄をご研究ください。(注意していただきたいのは、これらは推奨ではないことです。ご投資に当っては自己責任でお願いします。)
最後に、義経の名言のいくつかでシメます。
「鹿も四つ足、馬も四つ足。我が乗りざまを手本とせよ」
「道なくば 岩をよじ 山をつらぬいてゆくまでよ」
「人よりも百倍、臆病ならば、百倍、男気をふるいたたせればよいではないか」
以上です。
つい忘れていました。3月21日に発行される「週刊現代」に座談会が掲載されます。
豊島逸夫、大木将充のお二人と私です。3万円突破で今後はどうなるか、今後の目標値、リスクの検討が主題です。ご期待ください。
では皆さま。 GOOD LUCK!
もうひとつ。無料のウエブナーを4回開催します。
- 3月12日(金)19時
- 3月27日(土)14時
- 4月10日(土)14時
- 4月27日(火)19時
どうぞよろしくお願い致します。昨年は、合計1万4300人もの方が参加していただきました。お待ちしております。
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