【初・中級者向き】ミュージカル「王様と私」と世界中にヤマほどあるリスクの検討

公開日: : 最終更新日:2019/09/01 マーケットEye, 中級, 初級, 無料記事 ,

(第97回)2019・7・15

高名なミュージカル界の大スターのケリー・オハラと渡辺謙の主演。チケットをかなり無理して手に入れて観た。たまたまBSでデボラ・カーとユル・ブリナーの映画をオンエアしたのでこれも録画。舞台の前に予習して観た。

リチャード・ロジャーストとオスカー・ハマースタイン二世の名作。私はユル・ブリナーが、がんにかかっていたのを公表しながら最後の上演をしたのをNYで観た。流石に半裸でなく肩からチョッキのようなものをかけて身体を見せなかった。それでもセクシーな魅力は変わらなかったのだが。

1860年代のシャムに、英国軍人の未亡人のアンナと息子のルイが王家の子息たちの家庭教師としてやってくる。文化の違いに悩まされながらアンナは対立していた王様と心を通わせてゆく。相互理解が進み、有名な「シャル・ウイ・ダンス」のシーンにつながる。

この曲のほか、私が大好きな曲は「Getting T0 Know You」

がある。私は海外で初めての方にお会いするとき、この歌をちょっと口ずさんで相手の方のご経歴や家族、それにお仕事の成果などを伺うと、実にスムーズにいったのを記憶する。

また冒頭の「口笛を吹いて」も暴落があってNY支社の皆がシュンとしていた時にみんなが加わって歌って、ちょっとしたコーラスになったことも。このミュージカルがいかにNYでポピュラーだったかを思い出すエピソードだ。

暴落当時の記憶から、いまの世の中を見まわしていたら、文字どうり山ほどリスクがあることに気が付いた。遅すぎるかな。

まず日本の天災だ。富士山の噴火、首都直下型地震、また南海トラフ地震は「ドカン」の材料(少々不謹慎ですがね)に違いない。

次が中国の「リスク」、以前から問題となっているシャドーバンキングを中心として金融不良資産問題。日本ほど切迫感はないものの、世界最大のダムである。三峡ダムの崩壊が、グーグルマップの写真からみて、可能性無きにしも非ず。7月に入って観光客の受け入れを中止した。さらに習近平の苦境はご存知の通り。

北朝鮮の核凍結での米国側の甘い妥協が可能性ありとして、浮上しているかは「ドカン」ではないが、日本人としては大不安だ。

もっとも「ドカン」に近いのは欧州だろう。

第一が「ドイツ銀行」。従前から市場の噂としてはドイツの国全体のGDPの3倍もの損失がある、とか。(発表では22年末までの7・4億ユーロ)株価は破産相場の6ユーロ。合併計画相手のコメルツ銀行は労働組合の反対で破談。投資銀行部門を分離。1万8,000人のクビ切りを行って経営再建中だが、公約資金投入は欧州のルールでは原則禁止のはず。メルケル首相はどうするか。あと1年半の任期しかないのだが。

もうひとつ。英国のユーロ圏からの分離が「無秩序の分離」になるリスク。イングランド銀行はGDPを8%押し下げる(リーマンは6・25%)予想を発表している。やはりリーマン級を上回る「ドカン」の材料に違いない。

中近東の問題。イラン対米国の争いが、ホット・ウオ-になればやはり「ドカン」の材料だ。

「米国は、もう世界の警察官ではない」と宣言したのはオバマ前大統領だが、米国の世界を支配させていた軍事力に挑戦し、これは大変だと感じさせる事件が二つ、あったことを日本のマスコミは報じていない。この二つの続編が発生すれば、それが「ドカン」になるだろう。

第一は戦争の方法が変わったこと。2016年のロシアのウクライナ侵攻でサイバー攻撃、電磁波攻撃によって、ウクライナ軍のドローンが墜落したり、ミサイルが役立たなくなった。携帯電話は通じなくなり、ラジオからはニセのニュースが流れた。戦車を先頭に陸上軍が進撃する代わりに、気が付けばロシア兵が山のように取り囲んでいた。

マクマスター陸軍中将(のちのトランプ大統領国家安全保障担当補佐官)は「このタイプの戦争では米軍はロシア軍に負ける」と上院で証言した。

もう一つの中国による空母の無力化へのトライも実は重要な不安材料だ。100機を超えるドローンをコンピューターでわざと無作為に攻撃して空母の攻撃能力を削ぐ。米国海軍が100機で実験成功した数か月後に中国海軍が119機で成功して見せた。米軍はこれを「中国によるドロボウ・チップ」による技術盗難を理由としている。

「米国への中国の挑戦」を米国全体が危機として抱える契機になったから、案外、「禍を転じて福となす」かもしれないが。アップル、アマゾンなどが四半期ベースで意外な悪い決算を発表する「ショック」もあり得る。

これらのグローバル企業は、米国の「新COCOM」で、中国での生産ネットワーク除外したシステムを作らなくてはならない。

ごく一例。アップルは下請けのうち、200のうち26社は中国。これをベトナム、マレーシア、日本などに移動させなくてはならない。それには何年もかかるし、当初の資本効率は悪い。

何しろグローバル企業は設計はシリコンバレー、生産は中国、販売はグローバル市場という「いい取り」したビジネスモデルで、まことに、精緻にできている。

米中新冷戦はまず中国市場に依存している企業に始まり、ITのハイテク企業の業績の低下につながる。市場に(予想されていることとはいえ)ショックを与える可能性は十分ある。

次いで米中に始まって、成長率の大幅低下が起こるのが予想される流れだ。

各国の中央銀行はこの不況をどこの調査マンも予想しているはずなので、当然、大幅な金融緩和を早めに行って、不況到来の攻撃を軽減しようとしている。FRBパウエル議長、ECBラガルド総裁に始まって、イングランド銀行、豪州中銀などが、すでに緩和方針を打ち出している。

問題は日銀だろう。

すでに相当弾丸を打ち、残る手段は限られている。マイナス金利の深堀りは金融機関特に地方銀行の息の根を止めかねない。ただ一昨年には年間ベースで80兆円あったマネタリーベースが今半分以下に減らしているから、これを再び80兆円ベースに戻すのは十分に可能だ。それでも円高がふせげるか、どうか。ETF購入量を増やすのが市場には買い支えになるんだろうが。

私の元へは外人の投資家から、「日銀はいつになったら政府と政策協定を結んで建設国債大量発行の日銀引き受けを始めるのか」という質問が来る。

私の返事はこうだ。

(私の情報では)安倍首相は11月又は12月、消費増税への景気指標への悪影響が表面化する前に解散・総選挙をする。その折りに景気刺激策か(うまくゆけば)拉致問題の解決が勝利の条件になる。この景気刺激策の中に建設国債を大量発行が入るのではないか。

今回はここまでです、次回には、この続きを書く予定です。ご期待ください。

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