サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」と、タイタニック・シン ドローム、そして仏大統領マクロンの発言と金価格 (第1074回)
1874年にヴァイオリンの超名人でスペイン国籍のサラサーテが作曲し
た名曲。鈴木清順監督が同名の映画を作ったし、スケート世界一の羽生
結弦選手が2021年に使っている。
導入部はゆっくりとした悲しげな旋律。中途がハンガリー民謡を使い
「ジプシーの月」という名でポピュラーソングにもなった。
これが一転して終わりには極めてテンポの早い、また極度の高技術を
要する曲に変わる。リストがこの部分をハンガリー狂詩曲十三番に
使った。
今回この著名なクラシックをブログに使った理由は、最近しばしば
発生する米国株式市場、特にNASDAQの「ド」か「ドカ」があるからだ。
7月19日、ダウは725ドル、NASDAQは152ドル下げた。
たまたま午前3時に起きていた私はCNBCで「新型コロナ肺炎ウイ
ルスの威力は原ウイルスで2・3~2・5、アルファ5、デルタ8~9(倍)」
と表示したのを見た。
死者はメチャ減少に向かっているのに、おかしいなと思った。
この疑問を解決してくれたのが、バルナッソス ベストメント
ストラテジーズのチーフストラテジストの宮島秀直さんだ。
7月9日付のレポートで宮島さんは、世界有数の巨大機関投資家に
取材して「タイタニック・シンドローム」という売りサインがでたからだ、
というニュースを得た。
新高値更新銘柄数マイナス新安値更新銘柄数でマイナスになった
としようその状況が5営業日のうち4日間あった場合、2~3週後
に5%以上下落する。
これが「タイタニック・シンドローム」である。
一見したところ、著名なヒンデンブルグ・オーメンに酷似している。
計算の方法は簡単だが。
(宮島さんによるとある米国証券会社に在籍していたビル・オオハマ
というテクニカルアナリストが考案したそうだ)
「タイタニック」は当時再最新技術で建築されて、最新鋭船なので、浮
沈神話を関係者が信じていた。このため危険を知らせる情報は、結
構あったのに、無視された。なるほど。
まるでのんびりと新値更新を楽しんでいた投資家に「ド」か「ドカ」
の来たようなもの。
いずれにしても、我々は新高値が続いたら、警戒姿勢を忘れないこ
とだ。
このNASPAQの「ド」又は「ドカ」と同じように、またツイゴイネルワ
イゼンの激しい曲の変化のように、急激な変化を与えた事象がある。
6月10日の仏大統領マクロン氏のGセブンでの提案だ。
「Gセブン諸国と政府と政府や中央銀行が合計1億ドルをIMFに寄
贈する」。IMFはこれをアフリカ諸国の開発や債務の返済に充てる。
増大しつつある中国の影響力への対抗策とするアイデアだ。
これで金先物価格は5月末の1908ドルから6月下旬には1700
ドル台まで下げた。
最近は6月28日のバーゼルⅢで金の安全性が高く評価されたの
が効いて、ふたたび1800ドル台まで戻したが。今後マクロン提案が
真剣に論議され、再下落の可能性は否定できない。
随分イマイさん、相場に関係のないような文章ですね、と言われそうだ。
そこで私が憧れている最後の相場師の是川銀蔵さんの「投資五か条」を
書いて終わりとする。
- 銘柄は自分で勉強して選ぶ
- 二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ。
- 株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物。
- 株価は最終的には業績で決まる。腕力相場は敬遠する。
- 不測の事態などリスクはつきものと考える。
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