ベートーヴェン「クロイツエルソナタ」とこれから始まる好循環、外人機関投資家の5G関連買い開始、そして「倒習」の現実味(第1013回)

 ベートーヴェンの最高の作品の一つ。1803年にこの曲で初演されたのは5月24日。このブログの日付と一緒なのも理由だが、もうひとつ。この曲が強い印象を与えるため、ほかのジャンルでもこの名をつけた作品が広まっている点だ。

 「ほとんど協奏曲のように」と書き込みがある通り、きわめて雄大な曲。どこかで聞いたのだが、西洋音楽を聴いたことがないチベット人に何曲か聞かせたら、このソナタが一番エキサイトした、とか。確かにエキサイティングな音楽で、誰でも強い印象を持つ。そこで、小説、室内音楽、映画、バレエと拡大した。

 まずトルストイが中編小説「クロイツエルソナタ」を書き、次にこの作品からインスピレーションを受けたチェコの作曲家ヤナーチェクが、弦楽四重奏「クロイツエルソタ」を書いた。

 さらに映画。なんと8本も。ロシア帝国時代に2本、ソ連で一本、イタリアで2本、ドイツ、米国、英国でそれぞれ1本。またバレエも。これだけ一つの曲が連鎖して違う芸術分野で広がりを見せているのは珍しい。

 ここ数週間、一時はどうなることかと思ったが、我が国はコロナ感染症の脅威をうまく乗り切ったと私は考えている。

 理由は簡単。新型コロナ肺炎による死亡者数を国際的に比較するといい。内閣府が経済財政諮問会議(5月15日)に提出した資料によると、人口100万当たりの累積死亡者数はけた違いに少ない。

 高い順番から。イタリア513・7人、英国491・4人、フランス415・7人、米国255・6人、ドイツ94・1人。

 我が国はたった5.4人。成功が喧伝されている韓国の5.1人との差は少ない。理由は尾身茂専門会議副議長によると①日本の医療制度が充実して重症者が適切にケアされ、医療崩壊を防いだ。②初期のクラスター対策が適当③国民の健康意識が高い。(この部分は日経センターの研究顧問小峰孝夫氏の資料から拝借した。)

 TVでは「今日判明した感染者数が何人」とかが出るが、死亡者数はあまり出ない。しかしいくら感染者が出ても、命さえ助かれば(無責任な表現だが)最終的には関係ない。医療崩壊さえなければ、の話だが。

 この状況を見ていたら、私は戦後からいくつもあった「危機」からの立ち直った記憶がよみがえった。

 一番思い出が深いのは朝鮮動乱。あれで倒産寸前だったトヨタが(現に後始末のため銀行から社長が送り込まれていた)特需で、一挙に、立ち直った。戦後史を調べると、徹底的に日本の産業をツブそうとしていた米国が、貴重な同盟国として日本を扱いするべく大転換した。

 これは私自身、有力投資銀行のトレーニーとして渡米したときに、デイーン・アチソン元国務長官から思い出話として聞いた。

 これと同じように、今回の米中新冷戦で日本の立場が急向上していることは、私に限らず広く感じておられるに違いない。これが、名曲が映画になったように、思いもよらない好ましい展開を示すと、私が考えている理由である。

 お断りしておくが、私は「嫌中」ではない。「嫌習」である。この人は自分の能力をかなり過大評価しており、過去のビッグネームと同じという妄想に取りつかれている。それでも14億人の中国国民がついていったのは、なんといっても生活が向上していたからである。これに先立つて、ここ20年程の急成長があった。米国の中国成長への支援があったためである。

米国は、当初「世界の工場」として、次は「巨大な市場」として利用した。同時に日本を叩いた。理由は日本の産業が弱体化しなければ、中国の成長はないからだ。

 クリントン、オバマ両政権時代に、中国が日本企業から技術を盗んで、不当に安い製品を作るのを見て見ぬふりをしてきた。この間に円レートが、途方もない

不当な円高を押し付けられ、特に家電がアッという間に中国だけでなく韓国、台湾などに市場を奪われた。この間、米国民主党系のエコノミストが円高誘導の目標値を提唱し、ヘッジファンドが日本企業のヘッジを利用して超円高に追い込んだ。自動車は現地生産せよとの圧力があった。もちろんウラにはデトロイトのビッグスリーがあった。

 これが共和党大統領になったら一変して、日本にやさしい政策をとった。当時共和党幹部が「私たちは自動車企業の労働組合は関係ないから、対米輸出を増大させていい。その代わりに手持ち外貨(勿論ドル)で米国国債を購入してくれればいい」と。一瞬呆然としたことは記憶に残る。

 おそらく中国にも同様な提案をしたのだろう。日本を抜いて米国国債のトップの保有国となった。オバマ政権が中国のイカサマへの批判を抑え込んだ最大の背景だろう。それに加えて日本側も、鳩山サンなんて言うワカっていない人物が首相になり日米関係を目茶目茶にした。

 これがトランプ=安倍になって一挙に改善されたのは広く知られている。(だから反安倍の世論操作に屈しないでほしい)。

一方、習近平主席は故鄧小平氏の養光韜晦(慎重な姿勢を守るべき)との遺戒を忘れ、覇権闘争を始めた。中国が成功に目がくらんだのが一つの背景だ。

 2018年10月のペンス演説以来の米中対立が、どんどん激化しているのは、当然である。

 それに今回のコロナ・ショックである。

 まず中国は数千万人以上と推定される失業者を抱えた。また世界中の不況で輸出は激減。党内でも習独裁への批判は激化。共青団、上海閥などの派閥から、特に強い批判が出ている。

 おそらく有力派閥の案だろう。故鄧小平氏の子息鄧僕方氏(党中央委員)の担ぎ出しで、「倒習」運動は一挙に具体性を帯びた。習側も警戒体制で、これが 成長率     予想を公表しなかった理由だ。

 そこに、パルナソス・インベストメントの宮島秀直氏が米戦略研究所のアナリストのいい情報を伝えてくれた。第二次新コロナ感染者の増加だ。

 内容は次の通り。

 5月初旬、中国のロシアと北朝鮮と国境を接する地域で新規感染者が発生、米NSCは4500人超と推定。(公表は二けた)

 私もこの情報を香港経由で聞いていたが、宮島さんは「中国衛生健康委員会トップの鐘南山氏がCNNインタビューで、多数の新たな感染者が出た、と認めた」と。

 また「武漢市1100万人にPCR検査を1週間内の目標に推進し始めた」と鐘氏の発言を裏付けている。

 5月22日から開始されている全人代あるいは夏の北戴河で、「倒習」が盛り上がるのは必至だろう。

 米国側も「間抜けでノロマな指導者」とか、当初とはまったく違うトーンの発言が出て来た。習=劉鶴路線が実力を失いかけているという情報がトランプ政権に入っていると私は見る。

 すでにトランプ政権は米国中心の経済ブロック(EPN)の参加を、たとえば韓国に求め始めている。(朝鮮日報)。まあ、踏み絵、である。我が国は今一段上の扱いを受けるだろう。

 これで私は、先日からヘッジファンドや、米年金勢が日本株の持ち高を増加させている理由が読めた。日経報道では外国人売りだから、アレレと思われるかもしれないが、報道はあくまでも過去の事実である。今後と違う。

宮島さんはある巨大クオンツファンドの日本株保有比率が、上昇しかけている。これは世界の投資家174社に共通した動向であり、今後の日本株は「買い」と述べた。また宮島さんは投資対象として5G関連の日本企業のリストを挙げている。

 列挙すると銘柄はアンリツ(6754)、日本電産(6594)、日東電工(6988)を挙げている。新しいものとしては、

オプトラン(6235)、サイバーコム(3852)、アイレックス(6944)。私はNEC(6701)や富士通(6702)も入れるが。

 ついでに。先日「2か月で3倍」としてご紹介したモデルナ(MRNA)が88ドルを付けた。私がおすすめしたのが22ドルだから、2か月で「4倍」になった。現在は下押ししている。しかしニューズウイーク5月26日号に「最も有望で開発が先行している」としてモデルナのRNA1213を挙げた。

今後の発展が期待されるので、少なくともワクチン上市までの中期投資がいい。なお76ドルでの増資をきめたので目先は強含みだが上へは行くまい。ただNIAID所長ファウチ氏が本物と太鼓判を押した。これは評価していい。

なお英国のアストラゼネカがワクチンを供給すると発表したが、細目は見ていない。

最後にひとこと。確かに100年に一度の危機に、今、我々はいるのですが、初めの「危」は文字通りデインジャーです。しかし次の「機」はチャンス、オポチュニテイです。じっくりお考え下さい。

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