映画「たそがれ清兵衛」と次第に変化してきた」日経平均5万円への道筋(第1056回)

 山田洋次監督の2002年の作品が先週、放送された。かつて私がTBSのサンデーモ

ーニングにレギュラーで出演していた時に、同監督がゲストとして招かれ、CMの間とか

番組の後のコーヒータイムに話をした。お人柄に打たれたことを覚えている。これならス

タッフもついてゆくだろうな、とも。

 時代劇と家庭劇とかうまく溶け合った傑作!2時間の物語の半分は、良き父親として

二人の娘をかわいがる。こうした侍の描き方は始めて、ではないか。やはり松竹の映画

だと思う。

 主演の真田広之が実にいい。「侍」と「父」の両方を見事に演じ切っている。

 藩命での決闘シーンが壮絶なのは、言うまでもないが、斬りたくない男を斬らね

ばならないことが、この映画の売りになっている。

 二つ。原作と違う点がある。まずセリフを東北弁にした。これが主人公と最後に結ばれ

る朋江(宮沢りえ)との間がリアリティを増し、深いものとなった。第二に時代を幕末に

したこと。東北諸藩はやがて来る戍亥戦争で敗者になる定めだから、ストイックな美しさ

は敗者のそれに似ている。

 では、イマイさん。何でこの映画を今回のブログに取り上げたの?と聞かれそうだ。

 時代はコロナショックのおかげで大変化し、しかも加速化している。その変化の象徴が

30年ぶりの日経平均3万円の大台回復である。

 一方、世の中の多数の方々は、まだ「実体経済が悪いのに、株価が高いのはおかし

い」とか「バブルだ」と片付けている。

 それがとんでもない誤解であることを私はこのブログで何回も述べてきた。

 しかしワカっている人は確実に増えている。最近、いくつかの統計がこれを示し始めた。

  1. 家計金融資産に占める株式の比率は2009年3月末の6%から、10%

になっている。わずか4%の上昇だが金融資産の7割を占める。高齢者層は

長生きに備えての株の売却を行っている。その売りを含めての上昇なのだ。

  1. 証券会社の個人顧客口座数は、2018年以降増加中で、2020年後半には

伸びたが5^6%に高まっている。

  1. 永らく20%程度だった個人の市場での売買シェアは、25%まで上昇している。(以上

NTTデータ経営研会長宮野谷篤さんの資料による)

 そのせいだろう。私のボイスメッセージ「今井澂の相場ウラ読み」では、会員からの質問へはす

べてお答えすることにしているが、「どんな資料で勉強したらいいのですか」という問い合わ

せが多い。

 私は3月19日に刊行された「会社四季報2021年2集」と、「週刊東洋経済3月20日

号」をおすすめしている。

とくにご注目いただきたいのが「外国人持ち株比率が上昇した会社」のページである。

 トップスリーをご紹介する。

 第1位 グレイステクノロジー(6541)、外国人持ち株比率53・8%、今期ROE32・5%。

産業機械の各種マニュアルの作成・管理・運用システムや企画の企業。

 一株当たり利益は2020・三月期47・3円。2021年3月期66・9円、2022年3月期

91・6円、3月19日5320円

 第2位 ギフテイ(4449)外国人持株比率31・0%今期ROE16・1%。小売店で商品やサ

ービスに交換出来る電子チケットを販売している。

一株当たり利益は2020年12月期28・5円。2021年12月25・8円。2022年12月

期28・7円。3月19日3745円、

第三に。メドビア(6095)外国人持株比率30・9%。今期ROE33・3%。医師向け情報サービ

ス運営。

一株当たり利益は2020年9月期35・0円。2021年9月期62・7円、2022年9月期

69・6円。3月19日6760円。

忘れるところだった。超低金利の被害者にとって、配当利回りの高い銘柄は魅力に違いない。

そこで業績が良く5%以上の利回りがある銘柄を3つ、選んでみた。

  1. ソフトバンク(9434)利回り6・5%②いちよし証券同5・6%(8624)③野村HD同5・5

%(8604)

今回は教科書みたいになったので、映画のラストに使われた井上陽水の「決められたリズム」の

歌詞から。

「起こされたこと  着せられたこと

凍えつく冬の 白いシャツ」

初心者の方は、株を「投機」とか、恐ろしいものと考えないでください。寒い思いはもうありません。

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