映画「マスカレード・ナイト」と米国公的・私的年金の明年からの日本株買いの開始(第1086回)

キムタクも長澤まさみも、私のお好みなので封切り後、早速観た。

犯人が私にはすぐ分かってしまったのが玉にキズ。しかしキムタクのタンゴのダンスシーンのカッコいいこと!

「容疑者500人」というキャッチフレーズの通り、仮面をかぶったホテルの客がヤマのようにいて、その犯人を見分けるのは容易でない。しかもカウントダウン・パーティなので時間は限られている。

犯人がわからないように、企業収益見通しも現在のところ、二つに分かれている。

株式価格のカナメである企業収益。これが2024年の3月期まで大幅増益ということで、私は安心していた。

TOPIXのEPS予想
2024/3152.92
2023/3140.92
2022/3130.40
2021/395.41
(大和証券 木野内栄治さんによる)

ところが10月27日、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二さんのセミナーに参加したところ、以下の理由で収益の弱含みを示唆する指標が多い事が指摘された。

第一は「マネーストックの落ち込み。」

2021春以降、チャートに示す通り、マネーストックの代表的な指標であるM2は、かなり落ち込んでいる。これは企業の経常利益の落ち込みを示唆している。

第二は原油高により交易条件が悪化。先行きの収益がこれまた減益の懸念が生れた。

救いは、こうした数字はあく迄も7~9月の数字を基礎とした分析であること。

2~3ヵ月先の調査は、やはり故堺屋太一さんが経企庁長官時代に始めた「景気ウォッチャー」調査の中の「2~3ヵ月先行き判断」が一番いい。

9月の調査を見ていたら、やはり―

9月の現状判断DIは42.1。これに対し2~3ヵ月先の先行き判断は56.6と14.5ポイントも上昇している。

ペントアップ・デマンド受益業界の業績は、当然もっと上昇幅は大きい。

「飲食関連」が33.9から60.6まで26.7ポイント上昇。

「サービス関連」も39.9から61.2まで21.3ポイントも上昇。

以前から、アナリストによる積み上げ方式による企業収益予想と、エコノミストによるトップダウン方式のそれと対立するケースがしばしばあった。

私の経験では、アナ対エコの勝負は半々だった。今回はどうだろうか。やはり株価そのものが、先行きを示す最大の指標。

そう考えていたら、10月26日の日経が第一面に「米、企業年金にESG基準―法規則改正―収益優先から転換」という記事を掲載した。

私の解釈はこうだ。次の2行に注目してほしい。

「年金の投資や投資行動評価では(中略)気候変動リスクや取締役会の構成などが含まれる」

それならば、年金の対中国企業への投資は止めて、投資資金は日本に向けるだろう ― これが私の結論だった。早速、私は信頼できる現役二人に意見と現状の数字を聞いた。

第一に返事をくれたのは大和証券の木野内栄治理事だ。

「日経の記事にある数字は、米企業年金の規模は10兆ドル。米運用資産全体では3割のシェア。米企業年金ではESG投資は1割シェア。米企業年金は海外投資の1~2割。

この事実から木野内さんは次の結論を出した。

「企業年金で2兆ドルがESG投資に向かい、海外へは0.2~0.4兆ドルのESG投資。」

「海外分の一割が日本とすると、200~400億ドルが、日本でESG投資に向う。」

「邦貨で2兆~4兆円。やはり欧米投資が中心だし、半分は債券だろうから、ザックリ2割で4000億円から8000億円が日本株買い。」

次に返事をくれたのが、あるシンクタンクの研究者だ。

まず現状分析は次の通り。

「米国の確定給付型(DB)年金資産残高は2021年6月末で①民間企業3.5兆ドル②州・地方政府5.5兆ドル③連邦政府2.0兆ドル。合計11兆ドル。」

「アセットアロケーションは①米国株22.4%②グローバル株23.0%、合計45.4%(残りは債券など)。」

金額に換算するとグローバル投資(株式)は2兆5300億ドル。

NSCIによると、日本株は6.3%で1兆6000億ドル。中国株は4.07%で、1兆3000億ドル。

この研究員によると「ERISA法の改正はDC年金の方にもかかる可能性があるので、現実にはもっと大きいかも」と。

日本への投資は3ないし4倍になる。最大3兆円!

やはり、私は強気を維持できそうだ。

終りに「マスカレード・ナイト」の長澤まさみのセリフから ―

「ホテルマンに『無理です』は禁句です」

やはり私は、少ない材料で結論を出す仕事を長い間、続けてきたので。「ムリ」は承知。」

私はまだ強気だ


NPO日本個人投資家協会を寄付で応援

よろしければこのサイトを運営している日本個人投資家協会を寄付で応援してください。

寄付で応援


※1,000円以上


安心してご利用いただくために
  • クレジットカード情報は当サイトでは保持せず、決済代行サービス(PAY.JP)を通じて安全に処理されます。
  • 本人認証(3Dセキュア)画面が表示される場合があります。
  • 本人認証のため少額(例:11円)が表示される場合がありますが、実際の請求額ではありません。
  • 寄付完了後に表示される「DON-XXXX」を、公式LINEに送るとお礼ページURLが届きます。
  • 個人情報の取扱いは プライバシーポリシー をご確認ください。

関連記事

拙著「日本経済大復活」を改めて評価する

2025・6・22(第1278回) <アマゾンはこちら> ある専門型シンクタン

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「レヴェナント 蘇りし者」とヒラリー失脚

ご存知レオナルド・ディカプリオが主演男優賞、監督のハレハンドロ・イニヤリトゥが監督賞、それに撮影傷を

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「影なき狙撃者」と中国の戦争準備、そして「まだまだトランプ」(第1036回)

 1962年公開のこの映画は、翌年のケネデイ大統領暗殺事件を予告した作品として、再評価されたことで

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「ドント・ブリーズ2」と3万円大台達成は単なる通過点と見る理由第1080回)

前作「ドント・ブリーズ」は大ヒット。見ていない方はDVDでどうぞ。もちろんホラー映画が好きな方に限

記事を読む

ランドバンキングで夢を語る
実録・投資セミナー海外不動産編③

ジャイコミ編集部 投資セミナーに行けば、販売会社がどんな投資商品を売りたがっているのか、どのような

記事を読む

PAGE TOP ↑