カフカ「変身」とマーク・ファーバー博士の不吉な予言。そしてフシ目をこえた円の対ドル安、そして私の強気(第1085回)
「ある朝、グレーゴル・ザムザは(中略)自分がベッドの中で巨大な虫に変わっているのに気が付いた」
この有名な書き出しで始まるこの短編は、まあ99%の方は読んでいるに違いない。
この「虫」という訳は正しくない。本来は「害虫」や「害獣」つまり「人間にとって有益でない生き物」という意味の言葉。ドイツ語はUngezieferである。
最近、時代の変化、特によくない変化を暗示する市場の変化があった。
第一は天然ガス価格の高騰。経済産業研究所の藤和彦さんによると「バーレル当り一時200ドル、現在170ドル。通常20ドルだったのが、いっきに上昇したのがお判りでしょ?」これが原油価格の上昇につながっている。
背景は①「OPECプラス」の減産 ②米国の在庫水準の定価、などなど。
第二は円の対ドルレート。
10月11日にチャート上のフシ目だった対ドル112円40銭を抜いた。これは2019年4月24日の高値で、永らく抜けなかった水準である。
大和証券の石月幸雄ストラテジストによると予想レートは次の通り。
「113円台には目立ったチャート上のフシ目はない。市場参加者は114円55銭を予想する向きが多い。」私は117円と思うが。
この水準は2018年10月4日についたもの。
ご存知の通り、この日に米国ペンス副大統領(当時)が反中国演説を行い、「米中新冷戦」のスタートとなった日である。
前回のコラムで述べた通り、中国の長期的な発展には疑問が多い。
しかし、市場はごく目先は、中国有利と読み始めたのではないか。
それは「脱炭素」が、建前こそご立派だが現実的には中国を利するだけという現実があるからだ。
もう2~3つけ加える。
過剰流動性が急速に減少していること。世界のリーダーである米国のM2の前年同月比は年央の27%から最近12.5%へ。それでも過去のピーク時の10%台より高いが、12月には9%以下になりそうだ。欧州、日本はこれに追随するだろう。
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