パウエルの変心、ヘッジファンドの岸田見切り売り。しかし私は強気の見方を変えない(第1099回)

ご存知の通り、FRBパウエル議長は突然インフレ・ファイターとしての姿勢を前面に押し出して来た。

金利引き上げが早く、しかも大幅なものになるという思惑から、2年もの米国国債金利は年初の0.7%から1月19日、一気に1%の大台にのせた。当然、NYダウ平均、NASDAQともに下降中。しかも大幅な下げだ。

 日経平均の方もつれ安の最中なので先行きは不安だが、案外見逃しているのが、ヘッジファンドによる「岸田売り」だ。

 ソースは問わないでほしい。しかし昨年末から来日し、1月第2週にピークを迎えた米ヘッジファンドの調査が、岸田首相に対してきわめてカラい評価をしたことは事実である。

 例を挙げよう。

 岸田首相はご存知の通り「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」「令和の所得倍増計画」「3%の賃上げ」を公約に掲げている。

 

もちろん、一番の目玉は3%の賃上げである。これなら、消費者物価の日銀予想で1.1%だから、最低賃金は2%弱上昇し、デフレ脱却の力強い武器になる。

 しかし、外国人マネジャーははこの賃上げ提案は絶対ムリ。アホじゃないかとさえ言っている。

 理由は税制を使って賃上げをさせようとしていることだ。

 3%以上に従った企業には税制上の待遇という「アメ」。従わない企業には「ムチ」を与える作戦だ。

 「アメ」は控除率引上げ(プラス10%、中小企業には上限プラス40%)。

 一方、「ムチ」の方は租税特別措置5つを不適用とする。これがダメ、という。

 「日本では90%以上の企業が中小企業。そのうち70%は赤字経営で税金を納めていない。だから、いくらアメをちらつかせても効果はない。」こう旧知の友人は笑う。

 日本の物価は4月以降、2%以上に上昇するが、菅内閣のスマホ税金引き下げが1.48%あったのがなくなり、電力料金やガソリン料金、食品などの値上がりがあり、恐らく2%かそれ以上。つまり3%でもトントン。賃上げがそれ以下なら、デフレに後もどりしてしまう。

 ロスから来たもう一人のマネジャーは、「キシダは財務省のあやつり人形だ」とも云う。

  1. 金融所得課税の強化 ②とくに年金生活者の配当収入の節税が、キシダによって増税に変わった ③18歳以下の現金支給は2兆円ですむ。

アベなら一律で支給しただろう。7〜8兆円は上乗せ。これなら、景気浮揚効果があっただろうに。「目玉政策が不発、周囲は見回せばデフレ又はスタグフレーション。これじゃあ日本株は売りだよ。『現物買い、先物売り』が伝統的なヘッジファンドの投資戦略だが、現物の方も売りたいな。」二人は口を揃えて云った。

 「ミスター・イマイ。キシダが辞める動きがあれば教えてほしい。」

「そう言うなよ。4年で50〜60%の大増益。PERは13倍を切った。日銀はETF買いを再開しかけている。金利上昇時代に全く不人気だった金融ビジネスが息を吹き返した。自社株買い盛行は目に見えている。私は強気だ。」

 なんと云っても今年は難しい一年です。私は今年末3万円の大台に行くかどうかさえ不安です。こうゆう時はPERが安く、23年3月期のみとうしがいい銘柄に絞る。

そしておそらく5,6月に到来する買いチャンスに全力を挙げる。私の注目株は8306三菱UFJ,6178大垣共立銀行、PFEファイザー。

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