映画「ロシアより愛をこめて」とロシアのウクライナ侵攻。NYと東京市場の猛反発を私が予想する理由(第1104回)
「ドクター・ノオ」に次ぐ「007」ものの第2作、シリーズ最高傑作とされている。オリエント急行車内での猛烈な
格闘シーンだけでも映画史に残る、何よりもショーン・コネリーが油ぎっていかにもスパイらしく、また何より
も恰好のよさが魅力的だった。
さて、露プーチン大統領はウクライナに侵攻した。
米バイデン大統領は、対露制裁を発動し、欧日はこれに追随し、近年ではこれまでで最も緊迫化している。
日本にとって一番困るのは、原油価格がバレル100ドルを突破しそうなことだ。
そうでなくても、4月の物価指数は、スマホの価格引下げ効果がなくなる。これだけで1.48%。これにガソリン、
食料品などの価格上昇を加えると、現在の0.5%が一時的とはいえ3%近くの消費者物価上昇になる。
企業収益見通しが一挙に悪化するのは当然。最悪の場合を想定して、株安が発生した。
ルーブルの下落、金融市場でのロシア債へのデフォルト懸念。
2014年のクリミア半島への軍事侵攻を直感させる。
私だけではない。第一生命経済研究所首席でエコノミストの熊野英生さんは、「アフターコロナに冷水」
という緊急レポートで、やはり2014年の記憶がよみがえる、と懸念している。
この懸念は無用だろう。ロシアはこの危機で、自国の保有する資源や金の価格上昇で、大きな利益を獲得
する。SAIL代表の大井幸子さんのレポートによると「ロシアの原油生産は一日一千万バレル。十ドル
上がれば毎月30億ドル。金が10%上がれば毎月15億ドルの利益が出る」。マイナスの面はあるが、全体で
は、ロシアは損はしない。
それでもマスコミの危機感の宣伝もあり、危機感は相当なものだ。有事の金買いが発生した。
2月21日の金先物相場は1グラム7041円と、2020年8月7日の7032円を抜き、最高値を更新した。
商品アナリストの小菅努さんは、「有事の金買い」には一定のパターンがあるという。
- 有事で認識され始めると金買いがふくらみ、緊張レベルの高まりで買い圧力は上昇。
- 有事が具体化すると、さらに金買いが高まるが、同時に材料出つくし感から手仕舞い売りが始まり、
高値波乱相場になる。
- 有事が実現し実体が明らかになると、金買いは終わり、手仕舞い売りでジ・エンド。
私はこの「金買いの買い圧力」は株の場合、「危機にからんだ株売り」と読みかえるといい。
つまり③の段階なのだから、売りは終わり。買いあるのみ、ということ。おわかりいただけただろうか?
小菅さんは、「有事の金買いが終わっても、悲観的になる必要はない」として次の理由を挙げる。
「エネルギー危機、金融危機は厳存しており、インフレリスクがなくなるわけではない」。やはり、
私の財産の3%は金の現物で持つ、これがおすすめだ。先物はタイミング次第だが、高値は追う必要はない。
株では何を狙うか
ウォーレン・バフェットが買った大手商社もいい。ウランの利権関連という魅力もある、
三菱商事(8058)、住友商事(8053)、三井物産(8031)、伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)。
いつものように映画のセリフでシメる。
ボンドがロシアのスパイの美女にいう。
「君は写真より綺麗だ。」
「でも口が大きいでしょ」
「ぼくにはちょうどいい」
と言ってキスする。
さて、この下げ相場は、もう2月24,25日で終わった。とりあえず買いあるのみ。
読者のみなさんは、身の丈にあった投資を。ご自身でよく研究されてリスクはご自分で。
大きな成果を、どうぞ。
では、グッドラック!
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