ラマニノフ「ピアノ協奏曲第二番」と中国の地盤沈下。日本の復活。そして株高

公開日: : 最終更新日:2023/09/24 マーケットEye, 上級, 中級, 全ての記事, 初級, 無料記事 ,

ラマニノフ「ピアノ協奏曲第二番」と中国の地盤沈下。日本の復活。そして株高

2023・9・24(第1191回)

 セルゲイ・ラフマニノフ(写真)の最高傑作。その美しさによって、発表以来、最も人気のある協奏曲である。

 映画好きの私には、1945年の「逢びき」やマリリン・モンローの「七年目の浮気」をすぐ思い出す。

スーツを着た男性の白黒写真

自動的に生成された説明

 

出所:ウィキペディアより

 アイススケートのファンの方に、浅田真央さんが2014年シーズンでこの曲を使った。少々古くは伊藤みどりさんが1992年アルベール五輪で使い、銀メダルを獲得した。

実はこの曲は、低迷したラフマニノフの「復活」の曲である。

交響曲第一番は、いまでこそ名曲のひとつに入っているが、発表当時は酷評の的で、まずノイローゼになってしまった。

これが、友人のすすめで催眠療法を受けたところ快方に向かい、1901年に初演し大成功。自信を取り戻した。

そう。私が今回言う善いことは、ひところ叩きに叩かれていた日本が、再び世界の中心に返り咲くということである。

1980年代。日本は世界の半導体のシェア70%を占め、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』なんて本がベストセラーになるほど大好調だった。

ナンバーワンの地位がおびやかされると誤解した米国が「日本叩き」を開始する。「デフレと円高、円高とデフレ」の悪循環を仕掛けた。

1985年プラザ合意がその始まり。日米半導体協定で、日本の特許公開など手足をしばる公約をさせられた。

当時米国の首脳部は、台湾や韓国のように、軍政から複数政党の民主政体に中国も変わるという間違った思い込みがあった。

中国を持ち上げ、日本を叩く。クリントン大統領が当時、日本によらないで1週間中国に滞在したのは記憶に新しい。

私は、実は「戦犯」である。

1988年と記憶するが、ウォール街で全米アナリスト協会がひらかれた折、日本として初めて日本経済の現状と将来についてスピーチした。

終わった後の質疑応答で、半導体戦争について問われ、「われわれ(日本)は勝った」と言ってしまった。下院議員が3人聞いていて、その後東芝のカセットレコーダーを、ソ連に子会社が潜水艦の部品を輸出したかどで、ワシントンで打ち壊して見せるという荒技をしてみせた。

私は、正直言って胸が痛かった。

これがおさまったのが、安倍晋三さんの登場である。おそらく当時、米国指導者層の中には「いくら何でも」という意見があったのだろう。

BRICsという投資戦略で有名なジム・オニール氏が「日本円を売り、日本株を買え。これが唯一の投資戦略だ」と述べ、日経平均6000円台、円の対ドルレート70円台の日本を援護してくれた。

トランプ政権はその後、5年前のペンス演説で対中新冷戦を開始した。その後の展開はご存知の通り。

最近になって、ドイツやフランスが頼りないことに気付いたバイデン政権は、同盟国としての日本を大いに大事にするようになった。

メガネをかけたスーツ姿の男性

自動的に生成された説明

出所:ウィキペディアより

 90歳のウォーレン・バフェット氏(写真)の来日は、このワシントンの動きを反映している。

 日本支持のサインとしては、①円安の許容、②半導体工場の建設の容認(例:ソニーと台湾TSMCとの合弁工場)、③バフェット氏以外でも、資産運用業界の大物が来日し、岸田首相と面談、などなど。

 NYにいる私の友人は「日本で恐ろしいのは、中国経済の破綻だ」という。

 背景は言うまでもない。不動産バブルの破綻である。これは、方々で報じられている通り。

 目先は①恒大集団などの大手企業の経営不振、②物件販売の低下。長期的には、少子化、高齢化による不況の急拡大、などなど。

 しかし、中国への日本経済の依存を過大視する必要は必ずしも当たらない。

 たしかに、貿易取引では中国が第1位、シェア22%で、第2位の米国18%を上回っている。

 しかし、中国向け与信残高では、日本は9.6%と、英国の28.4%、米国の17.2%よりはるかに低い。

グラフ, 折れ線グラフ

自動的に生成された説明

 貿易の取引業界では半導体製造装置(シェア7.2%)、半導体電子部品(同6.9%)など、新冷戦で輸出がだめになる業界ばかり。すでに対中輸出は8カ月連続で減少し、代わりに対米輸出は29カ月連続して増加している(以上、三井住友DSアセットマネジメント市川雅裕さんの資料による)。

 このため、成長率予想も全体としては、まずまずである。

 さて、予想した通り、NYダウの「ドカ」、つれて日経平均も足を引っ張られている。しかし、後で「あの時買っておけば」と公開すること必至。今が買い場です。

 銘柄ですか?

 三菱重工業(7011):ドローン対抗新兵器の開発に成功。新高値後、初押し。最高益・増配。

 このほか近著で示した銘柄3つ。

 東急不動産ホールディングス(3289)

 横浜ゴム(5101)

 神戸製鋼所(5406)

3つともPERが低く、大幅増益。

(ご投資は、あくまでも自己責任でお願いします)

 最後に第2楽章の美しいメロディーに乗せて終わりにします。では皆さん、GOOD LUCK!!

ダイアグラム

自動的に生成された説明

私が開会直後のスピーチをする講演会があります。

10月8日(日)13時神保町日本出版クラブ

豪華なスピーカーが続々出ます。乞うご期待!

関連記事

木村喜由のマーケットインサイト
2014年11月号
2つのサプライズで割高感、利益確定を

日本個人投資家協会 理事 木村 喜由 驚いたことが二つ立て続けに起こった。 一つは言うまでも

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

再び歴史的高値更新に向かう金への投資と私の一生(第1021回)

私を支えてくださっている方々のおかげで、仕事をずっと続けながら最晩年を迎えることができている。8月

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

ヒッチコック「北北西に進路をとれ」とジョージ・ソロスとトランプ落選をもたらしたドミニオン社との深い関係。それにこの相場の買い時 2020・12・20 (第1043回)

ご存じヒッチコックの名作中の名作。一生のうちに必ず1回は観ることをお勧めする。とくにサスペンスにユ

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「無防備都市」とG・ソロスが、送ってきたメールとイタレグジット

2018・6・3 第二次大戦中の1944年に撮影が開始されたロベルト・ロッセリーニ監督の伝説的

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

村上春樹「街とその不確かな壁」と金価格2倍増の理由。(第1169回)

村上春樹「街とその不確かな壁」と金価格2倍増の理由。2023・4・23 (第1169回) 6

記事を読む

PAGE TOP ↑