私の「NY株売り」説のその後、また日本が永らく望んでいた好循環の開始
私の「NY株売り」説のその後、また日本が永らく望んでいた好循環の開始
2024・3・31(第1219回)
このブログで「NY株売り」を主張してから3週間経過した。
改めて、「総売り」説をひっ込めるどころか、時期が接近していることを述べる。
理由①米国の財政と金融政策双方で引き締め方向にすることである。まず財政赤字。今後トランプだろうがバイデンだろうが、減税は一服。利払いが1兆3000億ドルに増加している。
②マネーサプライが減少している。NY証取が始まって以来、マイナスになったのは初めてで、相当引き締めが効いて来ている。
③各種ローンは皆落ち込んでいる。ローン金利は20%をこえているが、それでも借りるのは生活費をまかなうためである。くわしくは述べないが銀行の貸し出しがふえず、預金の流出がつづいている。オフィスの空室率も18%と高い。
以上から、私は米国景気の先行きはソフトランディングではなく、ハードに近いと考えている。中前忠さんは「米国で民間部門が相当不況になる」としている。
一方、NY株式市場で重大な変化が発生している。自社株買いへの課税で、今後有力な買い手がいなくなることだ。
以上から、私は「総売り」と申し上げた。その後上昇しているが、たとえばアップルの株価が年初から14.7%下落しているように、相場を引っぱって来たマグニフィセント・セブンの株価が下落に転じている。私の信念は変わらない。
一方、日本。好循環が始まるのは、恐らく明年からだろうが、その萌芽が今年見えて来た。
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<出所:みずほリサーチ&テクノロジーズ>
チャートを見て頂こう。GDPデフレーターであるが6.0%も上昇している。そのうち5.5%が過去5四半期で一挙に発生したものである。
GDPデフレーターは輸入コストの価格転嫁を含まない物価指数であり、ホームメードインフレだけが反映される。
つまり、GDPデフレーターは海外への支払い分は含まないから、値上げがそのまま反映される。みずほリサーチの門真一夫エグゼクティブエコノミストによれば、前述した5四半期の5.5%のうち、5.4%を企業が手にしている。つまり労働者はわずか0.1%分しか賃金に還元されていない。
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<出所:みずほリサーチ&テクノロジーズ>
しかし、人手不足はご存知の通りだし、企業収益は上昇をつづける。今年はともかく来年は好循環がはじまる。実質賃金が低いのは労働分配率が低いためで、これが少々上昇するだけで時代は変わる。
ところで、今回の日銀の政策変更で「円高、株安」を見込んだ向きが多かった。現実はその逆の「円安、株高」でした。
なぜか。6000億ドルといわれる投機筋は「円をショートして日本株をロング」する円キャリー取引を行っている。円キャリー取引の数倍のレバレッジをかけたりするので何兆ドルにも及ぶ。
もうひとつ。日銀がマイナス金利を引っこめたウラがありそうだ。4500億円に及ぶマイナス金利はゆうちょ銀行を中心とする一部大手銀行へのいわばテコ入れだ。これが見通しが良くなって来たので引っ込めた(これが7~8割)。あるいは将来の銀行再編のため(2~3割)に、あのマイナス金利引っ込めが行われたのだろう。
なお152円の対ドルレートに対し口先介入が行われているが、日米密約があったと考えるとすべて説明がつく。
以上、多少NY安で足をひっぱられるかも知れないが、日本株は大丈夫。元気を出して行きましょう!
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