新総裁のもたらす一時的大幅株安。「決定カマラ・ハリス」との組み合わせはどうか。バイ・イン・オクトーバーの日本株
2024・9・29(第1240回)

<NHKより>
新しい自民党総裁が石破茂氏に決まった。
すでに五回も首相の座を争い、元幹事長というカンバンも十分。それに事前の党員調査ではトップの座をキープしていただけに、当たり前といえばいえないこともない。
何回も私はお会いしたことがあるが、知見、魅力ともに十分な方だけに、私はうれしい。同じ慶應義塾の出身ということもあるし。

チャートにある通り、政策のインパクトは小泉、河野両氏に劣らない(第一生命経済研究所 熊野英生首席エコノミストによる。
10月1日の臨時国会の開会と同時に新内閣が発足する。メンバーの能力が期待される。ただ先物相場で2千円を超える安値が付いた。暴落が来週予測される。円高も。しかし一時的なものだろう。景気がどんどんよくなっているからだ。
来週以降にいろいろな問題を検討し、書くことにするが、経済政策と対米関係について述べる。
全員の候補者が同意していることは次の通り。
①インバウンドを地方に呼び込み、観光産業を振興して地域経済活性化による一極集中是正を行う
②岸田政権の遺産である「資産運用立国プラン」を推進する
③(合意ではないが)物価高対策
④石破氏は法人税引き上げ、個人についても負担能力のある個人へは所得税増税を主張した。また金融所得課税も。
少々余談になるが「解雇規制の見直し」は、多くの候補者の論議を呼んだ。小泉候補の規制見直しに対し、高市氏、上川氏、茂木氏は反対した。
またライドシェアについては推進派・小泉氏と反対派・高市氏の対立が目立った。
新内閣について述べる前に岸田内閣の業績について述べたい。恐らく後世高い評価を与えるだろう(吉崎達彦「溜池通信」)
*「防衛3文書」決定、防衛費倍増、反撃能力の保有決定など戦後安保政策の大転換。
*バイデン大統領との蜜月関係。民主党の米大統領と好関係を築いた首相は少ない。
*広島G7サミット、グローバルサウスとの関係強化、日韓関係の改善などの外交成果。
*経済安全保障法の成立。セキュリティ・クリアランスも導入。
*エネルギー政策の転換。原発再稼働、ALPS処理水の海洋放出も含む
*資産所得倍増計画と新NISAなどの導入。日経平均は最高値に(一時は4万2000円台!)
*30年ぶりの賃上げ高水準で「脱デフレ」。名目GDPは今年4-6月期に600兆円の大台を突破。日銀の異次元緩和も正常化へ。
*4年連続で歳入が過去最高更新。プライマリーバランスは来年度の黒字化も。
それでは、新内閣とカマラ・ハリス米国次期大統領はどんな政策を出すのか。表に示した通り、労働者向けに有益な政策が多い。

ただし、私がウォール・ストリートの友人たちに聞くと「反企業的な政策を警戒しているよ」と口を揃えて言う。「ただし、トランプの関税は世界全体の経済に、途方もない大きなリスクをもたらすから、どっちが好ましいか、分からないがね」と笑う。
たしかにトランプ増税はひどい。全ての国に一律10%、中国からの輸入品は60%超への追加関税を課すというもの。トランプ2.0が発生すれば、ファンドマネージャー言う通り「ドル安、債券安、株安」が発生する公算がきわめて大きくなる。要注意である。
一方、カマラ・ハリス政権の政策は――
①物価高対策
②中間層支援
③中絶問題と女性の人権問題
など、ゆるやかなドル安が経済政策の中心になると思われる。日本との取り組みは、一番好ましい姿になると思われる。
カマラ・ハリス決定と思われるニュースが9月24日に入った。
九回連続予想を適中しているアメリカン大学教授アラン・リクトマン氏が「ほぼ間違いなくカマラ・ハリス大統領になる」と予想した。
「当たり屋につけ、外れ屋に向かえ」の兜町の予言をひく迄もない。「ほぼハリス」はもう止め、トランプ2.0もなくなった、と考えている。
当然、相場はNYも日本の方も上昇する。「バイ・イン・オクトーバー」だろう。
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