全国民必読!「ニッポンの国益を問う 海洋資源大国へ」(髙橋洋一、山田吉彦、松原仁著、産経新聞出版刊)
2025・7・6(第1280回)

<アマゾンより>
私事から書き始めて恐縮だが、私は2012年12月に『シェールガス革命で復活するアメリカと日本』という本を出版した。当時エネルギー輸入国だった米国が、シェールガスのおかげで輸出国に変わる。米国経済の好転は日本にも移り(当時の安倍晋三内閣は)安定した
高成長に移る。以上がごくごく単純化した本の中味である。すべて的中していることに気がつかれることと思う。
あれから14年。私の「予想」は「事実」となった。年寄りの(90才デスゾ!!)タワごとと聞き流して頂いてもいいが、私の未来予測が妥当-なものであることは、理解して下さる人もいよう。もちろん一人でも多くなることをこい願っているが。
今回、本をブログに書くのは珍しいが、標題の本が内容のすばらしさ、濃さ。そして先見性の豊かさとわが国日本の将来、「強い日本」をつくる主因を分析しているので、おすすめする次第である。
ごく一部、とくに経済面で私が強く関心を抱いている「海洋資源」の部分を書き抜いてご紹介申し上げる。
「日本の排他的経済水域に埋蔵されているコバルト、チタン、レアアース、メタンハイドレートは、少なく見積もっても500兆円以上にのぼる」
「開発費用については500兆円は十分可能である」
用語が難解と思われるので、個別資源について記述する。
①メタンハイドレート。「燃える氷」とも呼ばれ天然ガスの主成分「メタン」と水が低温、高圧の条件で結晶化したシャーベット状の物質である。埋蔵量は7兆㎥から7.5兆㎥で価値は120兆円から300兆円。
②レアアース(希土類)は高性能磁石、発光性ダイオード(LED)などなど、最先端のハイテク技術品に不可欠な元素群である。中国が9割を占めており、カントリーリスクは高い。
「この状況を一変させるのが、2018年に南鳥島周辺の日本のEEZ内の水深5000mの深海で発見された1600万トン以上のレアアースである。100兆円の価値が期待できる」。
③コバルトリッチクラスト。水深800~2400mの海中の山頂や斜面にある鉱床である。コバルトを中心にニッケル、白金、マンガンなどなど、多様な有用金属を高濃度で含有している。南鳥島周辺で、コバルトだけで年間埋蔵量の88年分、ニッケルは12年分あり、200兆円と評価されている。
④海洋熱水鉱床。海底鉱山から噴き出す熱水(チムニー)の周辺にたまった鉱床。水深800m、7.5億t、80兆円の埋蔵量。
⑤マンガンノジュール(団塊)。水深4000~6000mの堆積物表面にジャガイモのような塊となって分布されている。60億tあるがまだ資産価値は不明に近い。
以上は山田吉彦・東海大学教授の文章から拾わせて頂いた。以下は嘉悦大学教授で高名な学者である高橋洋一氏の所見を紹介する。
「開発投資500兆円は日本はムリなく調達できるし、人口減少問題は、1人当たりの生産性を高めれば、十分解決できる」
「まず第一に言えるのは、日本は「資産超過」であるということ。土地、インフラ、金融資産など総資産で1500兆円あるのに対し、国債や借入金などの負債は800兆円。カナダに次いで第二位の健全性を誇る。従って国家のデフォルト(債務不履行)を示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は主要先進国中最も低い水準だ」
一方、人口問題。ある推計によれば日本の総人口は現在の1億2000万人から、2050年に1億人を割り込み、2100年には5000万人まで減少する。
高橋教授はこの人口減少は「必ずしも経済衰退を意味しない」とした。
1人当たりGDP(1人当たり生産性)が人口減少のペースより上回って増加すれば、経済全体が成長可能である。これは経済学では「資本深化」あるいは「資本準備率の向上」と呼ばれるプロセスである。AIロボティクスを利用すれば、十分に成長できる。特に海洋資源開発の分野ではAIロボティクスの利用が注目される。
高橋教授は「公共事業における割引率が4%と異常に高いのが、諸悪の根源」としている。これはこの本をぜひ一読されて理解を賜りたい。

最後に、再び三たび数え年90才のジイサンの自慢話を。写真にあるテキサス州の掘削現場をみて14年前に書いた。すべて適中したことを、自慢させて頂く。では皆さんごgood luck!
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