週刊東洋経済の素晴らしい特集「今こそ知りたい金・暗号資産」 そして私の失敗

2025・8・17(第1286回)

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7月5日号の特集「今こそ知りたい金・暗号資産」とは参った。ゴールドは4000ドル、ビットコインは20万ドルも射程」というお題で次の表をのせた。

(週刊東洋経済7月5日号より)

ついでに云っておくと資産のウラ付けがあるのがステーブルコインで、何もない非ステーブルコインの代表がビットコインだ。

参ったなあ。かつてビットコインは中国からの逃避資金中心だったので、私自身はもちろん投資していないし、おすすめさえもってのほか。大失敗です。反省、反省。

何で暗号資産が急にもてはやされ、時価が10年間で469倍にもなったか。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一さんがこう書いている。

「米国ではビットコインは金融資産として広く受け入れられ、1000億ドル(投資信託)の規模に達している。一方、米国では次々と安全資産関連証券が成立。「暗号資産の首都」構想が大きく前進している。

「米国にとって基軸通貨国であることの最大のデメリットは、諸外国が外貨準備としてドル建て資産を持つため、常にドル高になりやすい点にある。この問題は、トランプ関税の理論的支柱になった CEA ミラン委員長が通称ミラン論文(「世界貿易システムの再構築に関するユーザーガイド」)で指摘した。そして、ドル高であるがために米国は貿易収支が赤字体質で、製造業の基盤が空洞化した。過去に米国はドル高の是正と貿易収支を改善する試みを何度も行った。1971 年のニクソン・ショック、1985 年のプラザ合意、2010 年の輸出倍増計画などだ。しかし、暫くするとドル高に戻り、こうした試みは結果的に全て失敗した。トランプ関税もこの文脈に位置づけられる。」

大きな変化が起きた。野村総研のエグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんによると――

ステーブルコイン市場は現在の2400億ドルから2028年末に2兆ドルに拡大すると予想している(共和党議員の予想)。

米国にとってのメリットは米国債需要を高め国債市場を安定させる効果(ベッセント財務長官)である。

最近決った関連法案は「ステーブルコイン発行者のウラ付けとなる現金(銀行預金)あるいは国債を準備資産に義務づけられる。

「ドル建てのステーブルコインの発行が拡大すれば、それに応じて米国債への需要も高まることになる。トランプ政権下での財政赤字拡大懸念などから、足もとでは金利上昇傾向が見られているが、米国債への需要が高まれば、長期金利上昇リスクを低下させることができ、経済の安定にも寄与する。

さらに、ドル建てのステーブルコインが海外で発行されれば、発行者はドル建ての銀行預金か米国債を購入し、準備資産として保有することになる。その結果、海外資金の米国への流入が後押しされ、ドルの安定や基軸通貨としてのドルの地位の維持に貢献することも考えられる。

ステーブルコインはトランプ政権にとっては、基軸通貨としてのドルの地位を維持し、世界のドル覇権を固定化させるための秘策でもある。迅速性やコストの面などで現在の銀行送金を通じた国際資金決済と比べてユーザーの利便性は高い。それゆえ、ドル建てステーブルコイン利用が国際決済で広がり、事実上の基軸通貨としてのドルの地位が支えられる可能性がある。」(木内氏)

さて、日本である。再び、りそなアセットの黒瀬さんによると、

「米国が暗号資産の首都になろうとする構想を受け、日本でも暗号資産を金商法上の金融資産として扱うべきだという機運が高まっている。現行の税制では、暗号資産の値上がり益は雑所得で他の所得と合算して総合課税される。しかも、損益の通算は認められない。しかし、暗号資産が金商法上の金融資産として扱われれば、損益通算されて20.315%の源泉分離課税となり、現行よりも相当に有利な税制になる。金融庁は2025年6月の金融審議会総会で暗号資産を議題に取り上げ、制度設計を検討するワーキンググループを立ち上げた。米国の暗号資産による国際金融システムの変革と製造業復活の構想には、協力するのが日本の国益になると考えられる。」

注目株ではメタプラネット(3350)である。

「もともと同社はホテル運営が専業だった。それが2024年4月、ビットコインを主要な準備資産とする方針を打ち出し、財務基盤強化とインフレ対策を目的に長期保有へと踏み切った。ビットコインの購入資金は社債や新株予約権の発行によって段階的に調達。25年6月23日時点での累計保有量は1万1111BTC(取得総額約1564億円、平均購入価格約1407万円)に達している。

これはエルサルバドル政府の準備保有量をも優に上回る水準で、同社は日本で唯一の“ビットコイン・トレジャリー企業”として独自のポジションを築く。」(週刊東洋経済より)

相場がいいので、以上でございます。あしからず。

では皆さん、Good luck!!

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