映画「シャイロックの子供たち」と花粉のもたらすマイナス、訪日旅行のもたらすプラス。2023・3・5 (第1162回)

「何という非人間的な映画だろう」と私は感じた。先の見えた支店長が、イカサマ師と組んで、10億円の詐取を試みる。

生贄になったのは中堅の行員。入り組んだ仕組みまで紹介するまでもないが、映画の幕切れに2年後、前科一犯となった行員(え?)が家族と会うところで終わる。

何という後味の悪さ!

第一生命経済研究所の首席エコノミスト永濱利廣さんが「花粉の大量飛散で日本の経済に及ぼす影響」という小論文を書いている。何しろ過去十年で最大の花粉量なのだから、いいセンスで書かれたと思う。賛辞を呈したい。

「過去のデータから見ると、7〜9月の平均気温が1度上昇すると、翌年1〜3月期の個人消費支出がマイナス0.5%減少する。」

「昨年7〜9月期の平均気温は1.4%上昇した。本年の1〜3月期の消費支出は0.7%(3033億円)減。GDPは0.2%引き下げられる。」

「消費の項目としては、チャートが示す通り、光熱・水道(0.4%)、保険医療(0.3%)、家具など(0.3%)、スーパー(0.1%)のマイナスになる。」

これに対し、インバウンドによるプラス要因を木内登英野村総合研究所エグゼクティブエコノミストのコラムによると、「2023年の4.96兆円」早くもコロナ前の水準を上回る。

2019年のコロナ以前のインバウンド需要4兆813億円を早くも上回る。

また円安効果もあって、一人当たり支出は21.2万円。早くも政府目標の20万円を上回った。

私は強気の人たちに、今年後半よりも来年の方が良くなる、理由はインバウンドと繰り返し述べてきた。

周囲を見廻してまだ私を信じてくれない方々が多い。

しかし浅草の雷門に行って見よ、本命の中国が来ていないのに、大変な外国人観光客がいる。

対コロナ政策の緩和もあり、夏以降の中国観光客の大量来日は必至。そのころ日経平均は3万円トビ台のフシ目を抜いて、3万4000円あたりまで到達するに違いない。

今回の映画でも、池井戸作品らしく、次のセリフを主人公(やられる方でなく、第三者)に言わせている。

「性善説に立つが、やられたら倍返しだ!」

3月のドカが近い。7 〜8月にも第2のドがあると見ているから、短期決戦。時期は近い。

「ヨーイ」、「ドン」の方はもう少し先。

関連記事

今井澈のシネマノミクス

映画「ナポレオン」と大悪妻ジョゼフィーヌの見直しと、発生した「ドカ」と金投資の見直し。

映画「ナポレオン」と大悪妻ジョゼフィーヌの見直しと、発生した「ドカ」と金投資の見直し。 20

記事を読む

JAIIの20年①
証券取引所は誰のもの?
コンサートとパーティーのパリ証取

日本個人投資家協会事務局長 奥寿夫   日本個人投資家協会(JAII)は2015年

記事を読む

こんな金融商品にご用心
実は高いクラウドファンディングのリスク
未公開株の解禁は時期尚早【上】

楠本 くに代 金融消費者問題研究所代表 クラウドファンディングとは、多数の資金提供者(=crowd

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「セルフレス/覚醒した記憶」とドイツ銀行とノーベル賞

 2016・10・9   すべての老人がもう一度青春時代に戻りたいという願いを

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

ソーントン・ワイルダー「サン・ルイ・レイの橋」とラニーニャ現象と私の「それでもトランプ」説(第1034回) 

 小品でも忘れられない作品がある。劇「我が町」で有名なソーントン・ワイルダーのこの小説は、当時中学

記事を読む

PAGE TOP ↑