映画「レッド・クリフ Ⅰ、Ⅱ」と対露戦略で人為的に下げさせられた原油価格。同盟国としての日本に投げかけられた美味しいエサと重荷  (第1129回)

公開日: : 最終更新日:2022/08/22 マーケットEye, 中級, 初級, 無料記事 ,

1900年前の「三国志」つまり魏・呉・蜀の物語は誰も知っている。権謀術数に満ち満ちたストーリーは誰も飽かせない。赤壁の戦いの前後の周瑜と孔明のやりとりなど、ワクワクする。

現在展開している各種商品の値動きにも、権謀術数というか国家戦略が見える。

WTI原油。6月当時のバレル120ドル台が、8月上旬からなんと80ドル台に下げた。

8月16日は86ドルだ。

表向きで言われているのは、

  1. 世界的なリセッション 

②米国でのガソリン価格高騰に歯止めをかけたいバイデン政権 

③サウジの減産協力 などなど。

しかし、私にはロシアの戦費調達を食い止めるための、意図された原油安と考えている。

文字と写真のスクリーンショット

自動的に生成された説明

WTTやブレント原油などの一流原油と比較すると、ロシアが産出する「ウラル原油」は硫黄分が多く、バレル3、40ドルの格差があるのが、普通だったが、チャートに出す通り、一時100ドルを上回った。

ロシアの予算のバレル46.6ドルを見込んでいるから、WTIやブレントのバレル80ドル台の原油が続くと、予算より下回る。現実にそうなっているのだが、戦費の調達にかなり苦労することになる。

地図のスクリーンショットの画面

自動的に生成された説明

戦費の調達のほかに、兵士の調達も問題が多い。兵士の調達である。

ロシアは「兵士の母の会」という圧力団体がある。このためロシア人兵士は使わず、アジアや中央アジア系の少数民族を使っている。

「対ウクライナ戦争」というと、ロシア人兵士を使わなくてはならない。従って「侵攻」を使っている。

それでもロシア人を使おうとした高級将校は、12人も左遷されている。

人的資源がもともと少ないのだから、1万5000人(英国M16の推定)でも、不足気味になる。

そこに、ロッキード・マーチンの作った「ハイマース」が12基配備された途端に、戦時はウクライナ有利に展開している。

来る11月に米国と中国との首脳会議が開かれる。私の夢想では、習近平主席が、休戦を提案し、年末に和平達成、という案だ。

休戦交渉は永引くだろう。現在の南北韓国のように、何十年やっても交戦状況のままのまま、というシナリオも考えられないではない。

当然、米国としては、日本に要求することが多くなる。

  1. GDPへの軍事費の2%
  2. 8000億ドルのウクライナへの拠出(湾岸戦争の例)などなど

勿論、円安を認めてくれている。これが国恵としての第1号。

今後の課題は対中シンパの財界大物企業が対中進出をやめて、アフターチャイナのベトナム、台湾などに拠点をうつすこと。

ただし、経団連などの大企業に「米中は中国が勝つ」と明言している向きが多い。

岸田首相は「完璧な新冷戦」体制という米国側の要求のまとめ方が失敗だった、としよう。

今後3年間の「黄金の期間」はどこへやら。短期政権に終わる可能性すら、ないではない。

ただし、中国が勝つと論理は、私は怪しいと思う。チャートに示す通り、2010年をピークにして、生産年齢人口(15歳〜64歳)はすでに急速に低下している。

グラフ, ヒストグラム

自動的に生成された説明
グラフ, 折れ線グラフ

自動的に生成された説明

また出稼ぎ労働者の賃金は急騰し、もはや中国は「安い賃金」の国ではなくなっている。(リコー研の資料による)

赤壁の戦いは、疫病にかかった兵士が多く、船酔いで仕事にならなかった。そこで「連環の計」として船同士を結びつけた。風が変わった日を孔明は待ち受け、火攻めにして80万の曹操軍を打ち破った。呉と蜀の連合軍はたった3万で勝った。

圣団連のエラい方々も、予想というものはリスクがあることをお考えになることだ。

関連記事

木村喜由のマーケット通信
日経225高値更新も割高銘柄多
見かけは裁定残減少でもポジション増加

 日本個人投資家協会 理事 木村 喜由 ドル円も企業収益も上向きならば企業価値も上向きであり、株価

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「海辺のリア」と防衛費と朝鮮半島の脅威

   2017・6・25 84歳の仲代達矢の主演作。小林政広監督の前作

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】「E.T.」とトランプ大魔王と投資作戦

  2016・11・13 スティーブン・スピルバーク監督のSF傑作で、EXTR

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

再び歴史的高値更新に向かう金への投資と私の一生(第1021回)

私を支えてくださっている方々のおかげで、仕事をずっと続けながら最晩年を迎えることができている。8月

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」と有望な日本株選
今井澂・国際エコノミスト

  1979年の近未来SF「マッドマックス」シリーズはメル・ギブソンの名とともに記憶

記事を読む

PAGE TOP ↑