「 マーケットEye 」 一覧

小説「四十七人の刺客」と脱炭素のもたらすインフレ、ドル高(円安)、そして株高(第1095回)

池宮彰一郎氏の原作を読むのをおすすめする。高倉健主演の映画もいいが、小説に比べるとオチる。この傑作は、死ぬ前に一回、ダマされたと思って読んで下さい。全く発想の違う角度から、この歴史的な事件を見ることができる。 本所の吉良邸内が城塞化してあったという点、そして事件の発端とされた吉良上野介のワイロ要求が、実は大石内蔵助の放ったデマであった。 よく考えてみれば、上野介がワイロ好きなら、何も

続きを見る

米国が最高値更新となっても日本株が追随しないのは

日本人が売っているから   米国株の中核指数であるSP500はここ3日の上げで3.45%上昇、2週間ぶりに史上最高値を更新した。複数の強力な支援材料が重なったためである。第一が、英国、南アフリカの研究機関からオミクロン株は感染力は強いものの軽症で終わることが大半で、従来株に比べ感染者が入院に至る比率が7-8割低下、入院して以降の経過は従来株並みであったとの報告があったこと。言

続きを見る

オミクロン株、日本は逃げ切り勝ちの公算

現在まで国内二次感染なしは驚異的   新型コロナウイルスは2年前に存在が確認されて以来変異を重ねてきたが、オミクロン株では感染および発症のメカニズムが大幅に変化しているのが明らかになった。直近の香港大学チームの研究では、感染後24時間のウイルス増殖速度は、気管支ではデルタ株など従来株の70倍だったのに対し、肺では10分の1以下だった。このことは、せき、唾液などによる感染拡大の

続きを見る

乱気流相場が間もなく始まる公算大

FOMCと中国恒大のデフォルトが引き金に   上記2点が非常に重大なポイントであることに疑いの余地はない。しかし市場の反応はいかにも変である。最近のインフレ動向を見れば、米国だけでなく欧州でも金融引き締めの方向にあるのは確実で、債券市場はもちろん、低金利を背景とした投機性の高い商品全般にとってネガティブのはずである。ところが米国10年債利回りは1.435%と直近の最低レベルま

続きを見る

「福笑い」のような相場つき

現実、展望と関係なく価格形成が行われている   前回、バブル相場の際には投資家が欲望のために見境なく買い進む動きが起こるため、理屈に合わない相場展開になることがあると書いた。昨晩のFOMCでは市場参加者が想定しうる範囲で、最もタカ派、つまり金融引き締めに積極的な判断および将来展望が提示されたのだが、これを受けた米国市場では、債券利回りは全く上昇せず、景気拡大が順調であることの

続きを見る

「脱炭素」は、インフレを呼ぶが、同時に企業の不良債権をもたらす

 ご存知の通り、私は銀行マンの経歴がある。30年間つとめた山一証券グループを辞め、日債銀(現在のあおぞら銀行)にスカウトされたのが1989年。すぐ株式で暴落が始まり、次に地価の大幅下落が始まった。  明治以来の銀行の貸付けの担保は土地。これは不況などで地価が下がっても、せいぜい3~4割の計算で担保割れを起こさないという前提で銀行ビジネスは成り立っていた。  例で示そう。  いま

続きを見る

89年12月の東京市場を思い出す

理性でなく投機と欲望がマーケットを支配する米国市場   今月最大のイベントが来週の米FOMCであるのは衆目の一致するところ。それに向けた最後の重要経済データが木曜の週次失業保険と金曜のCPI(消費者物価)であった。結果はほぼ事前予想に沿った非常に強い数字であり、しかも「感染症の法王」ファウチ博士がオミクロンによる重症化の可能性は低いとお墨付きを出したから、しばらく行動制限が強

続きを見る

PAGE TOP ↑