あなたの外国株投資は店頭取引?それとも委託取引?
損する前にこれを読め!ある男性の憤怒【下】
公開日:
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最終更新日:2016/04/22
損する前に読め!, 無料記事 ジャイコミ編集部, 損する前にこれを読め!
上編、中編とお届けしてきた外国株投資の「落とし穴」。間があいてしまい恐縮だが、外国株をめぐって、さらに驚くべき事実をお伝えしたい。
上編、中編をざっくりまとめておこう。「委託取引」「店頭取引」の違いを知らされないまま、手数料が不透明で実際は高い「店頭」で取引していた男性。「手数料分、損させられた」と憤りを抱き行動すると、証券会社が突き付けたのは、電話録音だった。営業マンとの電話では「店頭でいいですよね」と早口で言質をとられていた。
週刊ダイヤモンドの記事からは、証券会社の営業マンが投信の回転売買から外国株に稼ぎ口を変え、まるで回転売買のような外国株投資を顧客に勧めている実態が浮かんだ。この男性の経験とぴったり重なった。
うその株価を伝え続けた証券営業
ジャイコミ編集部がこの男性の話をもとに記事を準備していたさなかの5月、あるニュースが目に留まった。河北新報のオンライン上に5月14日に掲載された以下の記事である。
記事によると、仙台支店の営業担当者が外国株投資で実際より高いうその株価を顧客に約1年間教え続け、損失を膨らませていた疑いがあるという。
顧客の68歳男性は2013年9月に勧誘を受けて、グーグルやツイッターなど外国株6銘柄を1000万円分購入。営業担当者は毎日、電話で男性に終値を報告していた。男性の妻が14年11月に運用状況を訊ねた際、担当者は損失額を56万円と説明したが、不審に思った妻が上司に釈明を求めると、実際の損失額は約310万円。毎日の電話報告はうそだったと分かった。
この男性は4月に金融商品取引法に違反する可能性が高いとして、証券・金融商品あっせん相談センターにADR(裁判外紛争解決手続き)を申し立てたが、門前払いされ、仙台簡裁に調停を申し立てたという。7月14日の第一回調停で岡三証券側は8ヶ月間、うその株価を報告していたことを認めたという。(以下の河北新報記事による)
情報入手が難しいから言いなりにできる
証券会社の営業担当がうその価格を伝えること自体は、日本株でもありうる。ただ、日本株の場合は株価は毎日、新聞にも掲載され、ネットでも主なニュースサイトでチェック可能だ。それに引きかえ、外国株の場合は、株価の情報にアクセスするにはハードルが高い。そのため、証券会社の営業マンを通じた情報が有効で、うそでも通ってしまうのだ。
もちろん、外国株投資で証券会社が情報の格差を利用し、顧客を言いなりにさせているばかりとは限らないだろう。
たとえば、東洋証券。米国株の「手数料等」というページには、以下のように示されている。
「国内店頭取引については、お客さまに提示する売り・買い仕切価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基準に合理的かつ適正な方法で基準価格を算出し、基準価格と売り・買い仕切価格との差がそれぞれ原則として2.75%(手数料相当額)となるように設定したものです。当該仕切価格には手数料相当額が含まれています。」
とはいえ、明示していたとしても、問われるのはそれを顧客にきちんと説明し、理解したうえでの判断を求めていたかどうか、だ。
上編、中編で紹介した男性は、「被害者は相当数いるはず」とみて集団損害賠償訴訟を起こすことを視野にいれているという。泣き寝入りはしない――そんな覚悟でしか証券会社の襟を正すことができないのだとしたら、この国の証券業界はあまりにも貧しい。
ジャイコミ編集部(この項終わり)
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