壮大過ぎるカルダノADAに2つの疑問点
実録・投資セミナー 仮想通貨編【下の㊦】

ジャイコミ編集部

投資セミナーに行けば、販売会社がどんな投資商品を売りたがっているのか、どのような口説き文句を使っているのかがわかる――。

前回に引き続き、仮想通貨(暗号通貨)で一部話題となっているADA(エイダ)コインを取り上げる。
「何だかとにかくすごい」カルダノ、その基軸通貨となるADAコインの販売はどのように行われるのか。以下、講師の話を中心に見ていこう。

昨年9月以降でもう20億円も集めた?

これがADAコインのプレセールのスケジュールとなります。総量630億ADAのうち、252億ADAを公開前のプレセールで交換します。

イーサリアムは第一期からみると公開時に70%くらい上がっていたんですよ、値段が。で、公開されてからはさらに60倍くらいにまでいきました。
カルダノでは公開された後にいろんな重要発表とかを打っていきます。公開時点でのプラットフォーム、ブロックチェーンは完成版ではないので、公開後もちょっとずつバージョンアップをかけていきます。

その情報やいろんなことを聞いた人が「カルダノ公開したね」「おもしろそうだね」と、イーサリアムのようにたくさんのユーザーが集まってくる。
ADAコインには総量がある。限り(上限)があるのでビットコインみたいに価値の上昇も期待できるという仕組みです。

改めてパンフレットのスケジュールを確認してみると、昨年9月に始まりすでに募集を終えた1期と2期は、日本でのみ販売されたことになっている。販売金額は1期800万ドル、2期が1000万ドル。

現在、ADAコインは1000ドルからの購入となる。1期と2期の募集額計1800万ドル分(約20億円)が完売したとすると、平均購入額5000ドル(約50万円)で3600人が、1000ドルだと1万8000人が購入した計算となる。

ジャイコミ有料記事テキスト画像
7月1日に始まる予定の3期は日本を含むアジアで販売するとしており、販売額は1400万ドル。講師は日本以外での展開については、韓国、台湾、ベトナム、カンボジアあたりからスタートする予定と述べていたが、キルギスやカザフスタンなどの中央アジアへの展開も匂わせていた。

4期は米国、カナダを除いた世界となる。金額は2800万ドル。1期から4期までを合計すると6000万ドルとなり、60億円超を販売する計画となる。
なおコインの価格は1ADAが1期=0.2セント、2期=0.22セント、3期=0.24セント、4期=0.26セントでの募集となる。1期で購入していれば4期終了時には最低30%は価格が上昇していることになる。

なお、どこに公開されるのだろうか。自前の取引所なのか。質問してみた。

カルダノでは取引所は作りません。チャールズ・ホスキンソンの人脈でけっこう大きい取引所が「ADAが公開されたときはうちの取引所でADAを扱ってもいいよ」という話でスタートしています。

これまたホスキンソン氏頼みである。

疑問1 なぜ日本で先行販売している?

この販売スケジュール、やっぱり違和感がある。なぜ日本で先行販売されているのか。

偏見かもしれないが、金融界において日本市場(日本の投資家)は欧米など海外の金融機関などにカモにされていると言っていい。旨味のある金融商品や投資案件が日本に回ってくるのはたいてい最後であって、高値づかみをさせられるのがオチだからだ。

そこで講師に「なぜ日本なのか」と質問すると・・・

それはチャールズ・ホスキンソンいわく、一気に世界で展開すると法律とかいろんな問題があるんですね。

あと一番の理由は佐々木健二とジェレミーの出会いが大きいです。最初はアジアで展開していこうと、北京とフィリピンが候補として上がってたんですよ。英語も通じるしエンジニアを雇うにしても安いし。 ところが今回、佐々木との出会いによって、ジェレミーも大阪に住んでいるので日本に来てもらって日本でスタートしようと。

まずは日本の法令を調べて、弁護士もたくさん雇って、コンプライアンスを守って日本からということで始めました。法律をきちっと、コンプライアンスを重視していこうということも大きいですね。

佐々木氏とジェレミー・ウッド氏の出会いは前回記したとおり。2人の出会いが大きいというのは本当かもしれないが、理由としては軽くないか。

上記発言ではもう1点、気になることがある。コンプライアンス重視の根拠の1つとして弁護士の存在をアピールしていることだ。

実際、パンフレットなどで「カルダノは日本の法令上、適法であることが弁護士により認められている」とし、その意見書はネット上で見つけられる。ただ、この弁護士、あなたも踏み出しちゃえばいいんです!編で取り上げたアンティークコインを裏付けとする仮想通貨XNCでも「適法」という意見書を書いている。毀誉褒貶あるエターナルコインの顧問弁護士でもある。

これをどう判断するかは読者に委ねたい。

意見書

疑問2 カルダノ計画の実現性は?

セミナーは次のような講師の「まとめ」で終わった。

公開後には何倍も上がるよというコインの話、聞いたことありません?今買ったら何倍も儲かるよと。でもその先にユーザーがいるかどうかが問題なんです。便利だなと思わせる何かしらがないと絶対に普及しませんから。

コインでお金集めをしたいだけの業者はトークで「上がるよ、上がるよ」と言うけど、そりゃ値段は上がりますよ。自分たちが勝手に値段を決めているんだから。
でも公開した直後にみんなが利益確定のために売りを出すから値段は下がる。その後だと、いくら売りたくてもユーザー(新たな買い手)が参加してこないから、そのコインは塩漬けになる。何も価値を生まないものになる。

今回、ほんとにポイントはチャールズ・ホスキンソンという実績を持っている人間が新しいプラットフォームを作る点です。チャールズは今のところ2打数で2ホームラン打っています。今回3打席目に立つということで期待できるのでは。

講師はこう語ったが、カルダノとADAコインの実現性については疑問の声も上がっている。たとえば次のようなものだ。

チャールズは開発者が少ない状態で100人以上開発者がいたイーサリアムよりいいものを作ろうとしているんですね。開発は確実に遅れていると思う。公開までに間に合うのかなというのが実感です。

チャールズがやってきたことではいちばん失敗するかもしれない。けれど、まったく形にしない男ではないので何らかのサービスは出してくると思う。

この発言は他のセミナー講師によるものだが、「蛇の道は蛇」。彼らは自分たちに利することであれば、結構本当のことを言うので耳を傾ける価値はあるのではないか。

ジャイコミ有料記事テキスト画像

またブロックチェーンに詳しい専門家からも、カルダノプロジェクトの実現性が低いことを考えるとADAコインの販売価格は高いという声が聞かれた。
その専門家は、「カルダノファウンデーションの登記簿や事業計画書などを提示させるべきであり、そのような情報がない案件に投資するのなら相応のリスクがある。最終的に投資家だけが損することになりそうだ」と指摘する。

販売代理店はカルダノ計画の成否にまで責任を持たないはずだ。ホスキンソン氏もADAコインの販売については一切関知していないとのスタンスを取ると予測される。

ADAコインの販売額は2期までのプレ販売でイーサリアムの過去の記録を抜いたという。これはコインを人に紹介すればするほど自分に報酬が入るという代理店制度を導入している効果なのだろう。ただ、プレ販売額が大きいということは、その分公開後の売り圧力も高まるということだ。

はたしてカルダノADAは結実するのか、それとも徒花となって散るのか。来年には明らかとなるはずだ。
くれぐれも「投機」は自己責任で。

下記「詐欺が疑われる仮想通貨(暗号通貨)への投資」の分析は興味深い。こちらも参考にしてほしい。
検証1 カルダノADAコインなどを検証

検証2 エターナルコインなどを検証

検証3 サークルコインなどを検証


初めてこられた方はぜひ下記の記事も!

損する前にこれを読め!『野村証券の悪を許さない』はこちら

あなたの外国株投資は店頭取引?委託取引?ある男性の憤怒はこちら

実録・投資セミナー① 「イケメン風講師が口走る”元本保証性”」クラウドファンディング編はこちら

実録・投資セミナー② 「いまはフィリピン、フィリピン!!」海外不動産編はこちら

実録・投資セミナー③ 「インドネシア高利回り商品が熱い!」海外銀行口座開設編はこちら

実録・投資セミナー④ 昨年は500%超のリターン!ドヤッ 実録・投資セミナー 仮想通貨編はこちら

関連記事

岡部陽二が新著を発刊

著者によれば、本書「国際金融人・岡部陽二の軌跡~好奇心に生きる」の印刷版はごく少数部に留め、基本的に

記事を読む

Youtubeでジャイコミchはじめました!

皆様、この度ジャイコミはYoutubeで動画を公開していく事となりました。 さて初回の動画は

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

「平家物語」とラニーニャ現象。(第1117回)

私が4、5歳の時から「平家物語」や「十八史略」を読んだことはかなり前のブログで書いた。幼い頭の中に

記事を読む

2015年を読む⑥
逆オイルショックの真の狙いはロシア服従
長谷川慶太郎理事長
JAIIセミナーレポート

ジャイコミ編集部 1月24日、日本個人投資家協会の新春第一弾セミナーが開かれました。 タイト

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

日経平均2千円を超える大幅下落を起こした真犯人。 そして私が五月十三日の二万七千円台を底値と判断したワケ (第1064回)

文字通りのメイ・ストームだった。五月十日(月)の二万9518円から五月 十三日(木)の二万7

記事を読む

PAGE TOP ↑