【初・中級者向き】映画「美女と野獣」とアベノミクス開花

 

2017・5・14


ただいま大ヒット中の「美女と野獣」実写版は1991年のアニメ版が土台。私は1946年のジャン・コクトーの白黒映画、その後NYと東京で舞台も観た。モトは18世紀のフランスのおとぎ話だが、ディズニー版では町の人気者で頭の鈍いガストンを加えたり、今回は捕らわれの美女ベル(エマ・ワトソン)はシーツをロープ代わりに窓から逃げようとする。

傲慢だった王子は魔女の呪いで野獣に変えられてしまう。呪いを解くにはある1本のバラの花びらが散りつくすまでに野獣である王子を愛してくれる女性を見つけなくてはならない。かつての使用人たちは日用品に変えられ、城も廃墟のよう。

もちろん結末はご存知の通りめでたしめでたしなのだが、私は廃墟から美しい城に変貌した画面を見て、何年か前の鳩山、菅内閣の日本のドン底時代と現在を思い出した。

アベノミクスの成功

デフレと円高の悪循環、そこに3・11のあの大震災―。1ドル50円以下説で売り出した女性エコノミストがいたあの時期だ。円高とデフレ、デフレと円高の悪循環――

あの時の野田解散時に安倍現首相のアベノミクスの提唱。当時ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長が私に「早く登板してくれ、アベ!!」というメールを送ってくれたことを忘れない。

「アベノミクスは本物。私は円高論者だったが転換した。円売り・日本株買いがグローバル投資の唯一の戦略だ。」この戦略にすぐ乗ったジョージ・ソロス氏が6か月で90億ドルの巨利を挙げた。何しろオニール氏はBRICSという投資シナリオを創案したグローバル・ストラテジストの第一人者の発言なのですぐ従って大戦果を挙げたのだろう。

もうすぐアベノミクス開始後5年になる。名目GDPは97年10~12月期のピーク時を昨年7~9月期で抜き、その後も順調に拡大を続けている。1~3月期も順調で5・四半期連続のプラス成長。

雇用は完全雇用に近く、全都道府県で求人倍率が一を上回った。人手不足=賃上げ=デフレの完全脱出も見えてきた。SMBC日興証券のチーフエコノミスト丸山義正さんによると4月の期待インフレ率は2・04%になった。CPIは10月には0・8%に高まると見込んでいる、来春の春闘で日銀は目標を達成しよう。

私はどう見てもアベノミクスは成功、と思う。

日銀の大胆で歴史に残る大型金融緩和、大型予算や何回もの補正予算、政府と日銀の協力体制だ。GDPの中では個人消費の主力であるサービス支出は10・四半期連続で増加している。残念なのは消費税引き上げのために、だれの目にも見える形の好況になるのが遅れたことである。

加えてトランプ政権の発足で、米国経済の活性化期待と日米間の金利差による円安、企業収益の上昇。株高と国民の財産である年金の資産増加なども見逃せない。

ところがマスコミは、例えば大型金融緩和に対し、やれ出口戦略がない。また前述の女性エコノミストに至ってはドアホとまでののしっている。大切なのは正しい現実認識を正直に認めることだと私は考えている。

とはいえ、毎日新聞外信部の「よくわかる世界の紛争1017」によると「北」を含め37ものブラックスワンがあるご時世だ。市場に突風が時として吹くのは仕方あるまい。大切なのは日本が世界の突発的不安にもかかわらず、唯一の好況持続と政治的安定を併せ持つ国だということだ。拙著「恐慌化する世界で日本が独り勝ちする」をご覧いただきたい。現実を正直に認めることが大切、と私は考える。

日経平均株価はあと3年で3万円超え

あの民主党政権時代の何も決まらない政権下のどん底時代と現在と比較すれば、アベノミクスの成功は明らか。株価も2万円を超えて当たり前だろう。もちろんあと3年で3万円超えを予想している私としては、ずっと強気を申し上げ続けてきた。6月の安倍首相の成長戦略発表を待っている。確信を深めたいからだ。

対案もないまま、ただ批判を続けているある新聞やエコノミストの方々は、虚心坦懐、率直に現状を認めてほしい。決して私はザマミロなんて言わないから。

映画のセリフから。ジャン・コクトーの主演の主役ジャン・マレエが野獣のメークでベルに言う。「私は野獣だ。愛など望むべくもない。しかし愛は人を野獣にもするし、醜い男を美しく変えることもあるのだ!」

私は5月21日の講演で皆様にお会いし、自信のある投資作戦をお話しするつもりだ。どうぞご期待ください。あと少しだがまだ席は残っています。17日の水曜日に募集は完了します。DVDのご希望がすごく多いのはびっくり!

映画「美女と野獣」とアベノミクス開花(第858回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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