【初・中級者向き】映画「祈りの幕が下りる時」と「トランプ暴落1」と日本株と金上昇
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マーケットEye 今井澂, 今井澂のシネマノミクス
2018・2・11
「加賀シリーズ」とも「新参者シリーズ」ともいわれる東野圭吾の人気ミステリーの映画化だ。“泣かせるミステリー”という新ジャンルを開拓した。初期の「赤い指」がその最たるものだが、この最終作も親子の情愛が一つの軸になっており、吉川英治文学賞をとっただけのことはある。映画もヒット中だ。主役の阿部寛がいい。
葛飾区のアパートで女性が殺され、現場のアパートの住人が行方不明に。捜査一課の刑事が調べるが難航、やがて被害者と学生時代の同級だった舞台演出家浅居博美が浮上するが、確固としたアリバイがある。一方、近くで発見された身元不明の焼死体との関連も捜査担当者は疑う。その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した加賀の母に繋がっていた。
今回の暴落のように、後づけでいろいろ講釈があるような事件も、そのまえから「伏線」があるものだ。
今回のNYダウの大幅下落。いろんな説明がなされている。
たとえば、吉崎達彦さんは「戒名」として“WILD MONDAY”、つまり2月5日(月)の1175ドル下げを挙げた。しかし四ケタの下げは2月8日(木)にも発生したから「DOUBLE DIP」さらにさかのぼって2月2日(金)の665ドル安と合わせて「TRIPLE PLUNGE」と名をつけている。
私はヘッジファンドが引き起こしたのが主因、副要因は高金利とVIXと考えている。しかも下げの背景はワシントンの混乱だから、恐らく後世「トランプ暴落1(ワン)」。ナンバーがついているのは、これからも何回かあるから―という私のシャレだ。
2月2日の下げ665ドルの直前、二人のトランプ擁護者として知られるヘッジファンドの大物が「米国株売り」方針を発表していた。
合法的クーデターが始まる
ダブルライン・キャピタルのCEOジェフリー・ガンドラック氏、もう一人はルネサンス・テクノロジーの主宰者ロバート・マーサー氏。「トランプ大統領の執政力への不安」「政権内部での不測の事態が起こり、そこで「turbullance(下降乱気流)」の懸念を、株・債券売りつまりベア作戦の理由にした。
とくにマーサー氏は自分の娘をホワイトハウスのスタッフに送り込んでいる人物だけに、トランプ政権の混迷に具体的な情報を掴んでいると推測されている。
となると誰もが考えるのが、米国憲法修正第25条第四節による「閣僚、議会の認定した重要組織の長の過半数が、大統領が義務と債務を遂行できない、と文書で申し立てた場合、副大統領は大統領に交代できる」という合法的クーデター」である。
著名な共和党系ロビーストの調べでは、「トランプ留任」が9、「解任支持」が11、3名がまだ「判断据え置き」。具体的にはマティス国防長官。ジンク内務長官、プライス保健福祉長官。 解任支持のティラーソン国務長官が1月中に辞任のうわさが高かった、トランプ大統領の巻きかえし、かも。
またワシントンの噂では、今のところ後任のはずだったポンペオCIA長官が国務長官の地位を拒否している、と。その代わりに、というわけではないだろうが、対「北」戦争を主張しているマクマスター安保担当補佐官の辞任説が浮上している。政権内部はガタガタしているらしい。
ワシントンの激動は「北」核問題、あるいは米国の在韓米軍撤退という日本にとって大問題を絡むから始末が悪い。
NYは1000ドル下げがまだある
10年物国債の金利上昇が株安につながることも、このブログでしばしば述べた。10年間の金利の平均は2・58%。現在2・84%だから機関投資家の手持債券は赤字。とてもリスク資産である株は買えないし、レバレッジを効かせるための借入金による投資拡大はなおありえない。
これに最高水準に達していたVIX先物ポジションは、1月30日の週と2月6日の週に6000枚が買い戻された。まだリーマン以降の平均まで3000枚の買戻しが必要で、NYダウはあともう一回の1000ドルの下げはあり得る。オドカシでなく、計算上、そうなる。
もうひとつ。各国の大手年金中心に23兆円はある「リスク・パリティ・ファンド」のバラスト売買がけっこうバカにならない。
それでも日本株を絶好の押し目買いチャンスと見て一部のヘッジファンドは買ってきているし、前述したヘッジファンドの大物二人は貴金属特に金を推奨し「資源投資の時代の始まり」を予言してもいる。中東の動乱によるエネルギー価格の上昇→長期金利の一段の上昇というリスクもあり得るが、これは資源高につながる。
私は日経平均の底値は2万1000円でいい所と考えているし、8月の2万7000円近辺の目標も変えていない。
NYの方は?当分1月26日の2万6000ドル台がスッ天井に決まってるでショ。
映画のセリフから。
山崎努演じる加賀の父が死が迫っているのに見舞いにも来ない息子について看護婦に言う。「オレは死ぬのはコワくない。空の上から息子が何してるか、良く見えるからね」。天上で魂になってすべてを見られたら、ずい分ラクだろうなあ。
映画「祈りの幕が下りる時」と「トランプ暴落1」と日本株と金上昇(第896回)
今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ
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