【初・中級者向き】映画「ボヘミアン・ラプソディ」といよいよ表面化した中国の大不況
公開日:
:
マーケットEye, 無料記事 今井澂, 今井澂のシネマノミクス
「ボヘミアン・ラプソディ」の予告編を見ていて「WE WILL ROCK YOU」がサッカー試合の応援に使われているので知っていた。ROCKは「オマエをあっといわせてやるぞ」とか「揺さぶってやるぞ」の意だ。このほかのクィーンとくにリードボーカルのエディ・マーキュリーの名曲は、NYにいたころラジオで聞いていたが、歌詞はこの映画で字幕で観て、いいな、と思った。
映画を観て、パンフレットを買おううかと思ったら、もう売り切れ。興行収入も首位だし凄いなと思う。映画としても傑作だし。
ストーリーはごく普通の音楽伝記もの。野望を持った貧しい青年が音楽好きの仲間と出会い、ヒットを連発してスターへの階段を駆け上る。しかし酒やセックス(ゲイだった)におぼれ仲間とは対立。結局エイズで若くして死ぬ。
クライマックスはスター勢ぞろいでアフリカの飢餓を救おうとする大コンサート「ライブ・エイド」での演奏シーン。ここは大いに盛り上がって私は感動した。
このライブ・エイドは実は分裂していたクイーンが久しぶりに顔を合わせ、しかもフレディ・マーキュリーの遅参でほとんどぶっつけ本番だったとか。しかし大スタジアムの聴衆は熱狂する出来栄えだったという。
表面だけ見ていたら、真相はわからないものだ。
新聞報道がアテにならないことを示した記事が日経11月15日の「中国、消費落ち込み 小売売上高、10月伸び最低」だ。北京特派員は「景気対策の効果で消費以外の統計では減速傾向が一服した」として次の三つの指数をしめしている。三つとも小幅上昇だ。
第一が固定資産投資。9月の5・4%が10月に5・7%。景気対策効果から。
第二は工場生産。9月5・8%、10月5・9%。鉄鋼、セメントが伸びた。
第三が輸出。9月14・5%、10月15・6%。香港向け急増。
そして減少したのは小売売上高。9月9・2%、10月8・6%。インフレを差し引いた実質ベースでは10月は5・6%で過去最低。一定規模以上の小売業(統計の信頼性が高い)の伸びでも10月3・7%と過去で最低。物価上昇率3%を差し引くとわずか0・7%になる。
これも「11月11日の『独身の日』の前で買い控えがあった」(国家統計局)を紹介している。私が予想する「新冷戦不況」のカゲもない。
しかし、この記事は14日の北京発だが、不思議なことに中央銀行である中国人民銀行が13日に発表したマネー関連統計がない。
10月の社会融資総量は円にして11兆8994億円で、9月の36兆230億円の三分の一に減少。ただの減少幅ではない。私は建設関連融資の半減と合わせて、ゾッとした。
中国の各分野での対世界シェアは次の通りだ。
石油13・3、石炭50・7、銅50・9、ニッケル53・4、アルミ53・8、セメント58・5、粗鋼49・2、自動車29・8、各%。
一方、中国へのGDPへの依存度を見ると。
オーストラリア33、台湾26、韓国25、日本18、マレーシア13、シンガポール13、フィリピン11、タイ11、各%。
中国の成長率は低下に向かっているが、せいぜい6%台の下の方。とほとんどの人が見ている。しかし、4%台に急低下したらどうなるか。
現実の統計が続々現れて「大変だ」となるのは12月だろう。香港向けの輸出なんてイカサマに決まってるから、すぐにボロが出る。株価?上がるわけないでしょう。
しかし、私は株価下落と中国発新冷戦不況で、安倍内閣は12月21日の閣議で来年度経済対策を発表、恐らく相当に大規模な金額(20兆以上)、それに3年連続の国土強靭化計画も発表。これで外国人投資家は国別アロケーションで対日投資比率を上昇させる。
このほか私がつかんでいる或る材料がある。これは確信できるまで、少し時間が欲しい。早ければ来週のこのブログで。
年末底。それも二番底で来年は急伸スタートという、私の株価シナリオは変わりない。
「ボヘミアン・ラプソディ」でとても印象的な歌詞を。「騒ぎ立てている少年よ。今は街で遊んでいるが、いずれ大物になるだろう。顔にドロがついてるぞ。情けない。あちこちでやりたい放題しながら歌ってる」。この少年は中国、と置き換えてください。お分かり?
(第934回)2018・11・18
NPO日本個人投資家協会を寄付で応援
よろしければこのサイトを運営している日本個人投資家協会を寄付で応援してください。
寄付で応援
- クレジットカード情報は当サイトでは保持せず、決済代行サービス(PAY.JP)を通じて安全に処理されます。
- 本人認証(3Dセキュア)画面が表示される場合があります。
- 本人認証のため少額(例:11円)が表示される場合がありますが、実際の請求額ではありません。
- 寄付完了後に表示される「
DON-XXXX」を、公式LINEに送るとお礼ページURLが届きます。 - 個人情報の取扱いは プライバシーポリシー をご確認ください。
関連記事
-
-
ホワイトハウスの大ゲンカの影響とわが国経済の体質変化。それに株価の見通し
2025・3・9(第1263回) <NHKニュースより> 2月28日。あのTV
-
-
大井リポート
ギリシャはユーロを離脱する
ECBは救済から飛び火防止に転じたセイル社代表 大井 幸子 2008年のリーマンショック以降、2010年から12年にかけてPIIGS
-
-
「日本死ね」は意外に正論だ
木村 喜由の『マーケット通信』 Vol1386(2016年3月29日) 縦割り行政で時代の変
-
-
宮本武蔵「一乗寺の決闘」と日銀のサプライズ政策。そして2023年の見通し(第1152回)
12月20日の日銀の決定は、サプライズとして受け取られた。金融政策は、黒田総裁の退位以降と
-
-
2015年を読む③
大井リポート
薄氷の相場、浮上した分リスク膨らむセイル社代表 大井 幸子 日銀の超緩和策のおかげで「けっこう危うい先まで銀行の融資が伸びている、そ





