映画「ゴールドフィンガー」と6月11日の大幅下落の止まり場と反騰開始の時期と今後の目標値(第1016回)

 ご存じ007シリーズの第三作。現在のシリーズの基本型ができた。Qの研究室で奇想天外な新兵器の説明、世界各地を飛び回り、敵に雇われたセクシーな美女がボンドの魅力にひかれて寝返る。勿論、ボンドの敵役派みんなエタイの知れない大掛かりな仕掛けで犯罪を計画。これが面白い。

 この映画の敵役はゲルト・フレーベ。他のジョセフ・ワイズマンやクリストファー・リーよりずっとアクが強く、ユーモラスな面もある。莫大な量の金を放射能汚染させ、世界市場を混乱させるという大犯罪者のくせに、カードやゴルフのインチキのような細かい悪事をやる。この敵役が演じると(コミカルだが)最もそれらしく見える。

 これを含めて私はショーン・コネリー主演もの(除く「ネバ―セイ・ネバーアゲイン」)が、実に巧みに男性ホルモン満々のセクシーな男っぷりを描いているのが好きだ。

 ボンドと敵役。株式市場でいうと買い方と売り方だろう。

 日本人は売りで儲けるのが下手。外人はうまい。とくに1990年代のバブル破裂直後の大暴落時に、日経225種が単純平均なのを利用して、オプションと先物で売り仕掛け。外資系の大儲けと、えさにされている株式市場を、私が東洋経済に書いて糾弾したら、日経が自社にケチをつけられたと感じたらしい。当時東証で委員会があり私が出席していたら、日経のエライ人がツカツカとやってきて「イマイさん、ウチに何かうらみでもあるのか」とスゴんだ。呆れて何も言えなかった。この記事は某大証券の常務会の話題になったが、ほとんど理解している人がいなかったそうな。ワカっていなかったのである。

 6月11日の米ダウ平均1861ドル安の解説もワカっていない。

 ヘッジファンドの親玉で、創案した手法の多いマーク・ファーバー氏の分析が真因。6月10日に危険信号が出て、信者の多いヘッジファンドの売り。これにコンピューター売りが増幅した。いわば機械的な大幅下落。

 現場からの深い情報を得意とするパルナッソス・インベストメントの宮島秀直さんが、これに言及している。

S&P500と金価格指数の対比が6月10日に危険水準。また金価格だけでなく両指数のリターンも6月10日に株価調整シグナルが発生。これが下げにつながった。後でいうが、要するに株高にスピード違反が発生したのだ。

 今後はどうか。大和証券の木野内栄治さんは次のように述べている。「米国MMFが4兆円弱の減少。ITバブル後もリーマン・ショック後も、待機資金が積み上がり、取り崩しと同時に住宅販売も数か月にわたり改善した」。つまり、この下げは短期で終了、反騰は大きい。そこで木野内さんは「一つの下値めどに(すでに)到達した」としている。

 6月9日に米国株の調整ありと、先週のこのブログで私は予測した。その源のFDS代表箱田啓一さんに私は聞いてみた。

 「早ければ12日。固く見て6月16日、遅くとも17日反騰がありますよ」と。

 三菱UFJ証券の宮田直彦さんも、6月12日の安値2万1800円台は、25日移動平均の2万1462円より上」。「日銀のETF買いも5月以降で久しぶり。まだ新年度に入って4兆2000億円の買いしかない。ワクは12兆なので残額をこなすには二日に一度くらいのペースだろう。2,3週で再び2万3000円に戻る。」と宮田さんは言う。

 以上、四人のご意見を列挙した。いかにも手抜きのように見えるだろうが、このブログのご愛読者は、ずっと私が主張してきたことをご存じだろう。私は年末2万5000円を予想している。

 では、この余りにも気の早すぎる予想がどうなるか、言うまでもない。目先のほうは、来週末には株式市場が明確に回答してくれる。これが当たったら、私を信じてください。2万3000円を言ったのは私だけなんですよ。

 疑い深い向きには、「日経平均2万円割れませんよ」という私の言葉を信じて戴きたい。今回の買い方は、売り方の失敗に乗じてスピード違反をした。そのツケに、コンピュータ売買が加わって下落の幅が四ケタになっただけ。本来は半分ぐらいだったはずである。

 おそらく7月第1週に発表される労働統計が回復しつつある米国経済を明示するだろう。パウエルFRB議長が不況長期化を言ったとか、コロナ第二次感染とか、下げのアト講釈にすぎないだろう。ムニューシン財務長官が直後に7~9月期や10~12月期に「劇的な回復」という極めて強い表現で補った。連れて暴落後も、NY市場でダウとナスダックもS&Pも先物は買い先行だ。それも三ケタ上昇で指値している。大幅な下げだが一時的。V字型で反発するという私のシナリオの根拠はここにある。

 映画のセリフから。ゴールドフィンガーが言う。「人類はエベレストを征服し、深海に潜り、月にも行く。いまだに奇跡が行われていないのは、犯罪の分野だけだ。」株式市場にこう言う大幅下落があると、必ず外人のウラ操作説とか恐ろしい話が出る。日本人はこうしていつまでも株イコールばくちと思い込む。

しかし、繰り返すが、この暴落はスピード違反。5月4日に2万3746ドルがひと月で2万7572ドル。この咎めだ。まあ体に例えたらくしゃみ。新聞の見出しにびっくりするのはお止めなさい。

(註)時間の関係で執筆は6月12日(金)の深夜です。

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