画「眼下の敵」とウクライナ侵攻の終りを読んで動き出した投機筋。そして商社株と金価格(第1106回)

米駆逐艦と独潜水艦が秘術を尽くして戦ううちに、艦長同士がまだ見ぬ敵を尊敬し合うという物語。

艦長にはロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンス。

現在でもCSではしょっちゅう再放送されるほどで、人気は高い。

今回のウクライナ侵攻を見て、私はミッチャムのセリフを思い出した。

 「破壊と苦痛に終りはない。不死身の蛇のように、頭を切り落しても、替りが出てくる。いずれ

この戦争は終るが、次がまた始まるだろう。」

そうかもしれないが、このロシアの侵攻には終りがある。

現に価格が急落しているロシアの債券を買い始めたところが出てきた。

WSJ 3月7日の報道によると、大手運用会社のグラマシー・ファンズ・マネジメントが、買いを

入れ始めた。

また、SAIL代表の大井幸子さんによると、「ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが

ロシアのディストレスト資産(破綻もしくは破綻間近な社債や株)、特にロシアを代表する企業、国営

ガス配送のガスプロム、エブラズ(鉄鋼メーカー)、ロシア鉄道の社債を勢いよく買っている。」

「さらに、一部の米大手年金基金がロシアへの投資額を増やしている。」

私なりにこの動きを解釈すると、大手格付機関のロシアの外貨建て国債を投機的格付けに引き下げた

ことと関連している、と観ている。

理由は次の通り。

3月16日に、ロシア国債の元本と利払いの期間が来る。30日の余裕期間があるが、デフォルト

(債務不履行)に近づいていることは間違いない。

(余分なことだが、これが世界的な金融危機になる危険性は少ない。世界の取引高に占めるロシアの

外貨建て国債のシェアは、3.1% 。自国通貨建てを含めて考えると、0.6%にすぎない。)

この兵糧攻めが効いて、プーチン政権が侵攻を終らせるという思惑が、前記した投機筋の活動につ

ながったと考えられる。

一方、投資の世界からも3月でこの騒ぎが終るという経験則を予測するアナリストがいる。

プラザ投資顧問室の伊東秀広さんだ。

「月足の陰線(月初より月末で安い)は7本、つまり7ヶ月で終る。この3月が終りの月」

また週足でみると、27週の陰線で終り。3月第3週(14日から20日)が27週にあたる。これが前

述した3月16日とピタリと合う。

一方、いちよし証券の投資情報部の高橋幸洋さんは「3月22日は、2021年9月14日の昨年来

高値からの1290日(一目均衡表による基本数値)なので、トレンド転機のポイント日」と

指摘している。

しかも、ロシアを疎外する体制が出来つつあるので、資源価格は高止まりしそうだ。

バフェットの率いるバークシャー・ハサウェイの2021年レポートが公表されたが、大手商社の名

が入っている。(表参照)やはり商社株は買いだ。

例によって映画のセリフを使ってシメる。

クルト・ユルゲンスが言う。

「昔の戦争は負けても名誉が残った。この戦争には名誉などない。買っても嫌な記憶が残るだけだ。」

ついでに一言。

株以外でも私が早くからおすすめしてきた「金」。

世界中に著名な若林栄四さんの近著「米国株 長き宴の終わり」で次のように述べている。

「1950ドルを上に抜いてくるようならば、いよいよ2300ドル。金についての筆者の本当のターゲ

ットラインは3400ドルである。」

下げ相場の中で、銘柄を当てて利益を得る、という快感を味わってほしいのです。

では皆さん。グッドラック!!!

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