映画「ドライブ・マイ・カー」と長期の円安・インフレ・タンス預金と金。(第1109回)

日本映画としては「おくりびと」以来、13年ぶりにアカデミー最優秀外国語映画賞を獲得した。これに先立ってカンヌ

で4冠を得た秀作。3時間を超える長編だが、私は少しも飽きなかった。

村上春樹の短編集から映画化されたが、「ドライブ・マイ・カー」のほか「シェエラザード」と「木野」も含まれている。

しかし、この映画の本当の作者は、チェーホフだろう。劇中劇「ワーニャ伯父さん」の主人公たちが到達する悲しみに満

ちた諦念。そして自己肯定に向う流れが、そのままこの「ドライブ・マイ・カー」のテーマになっているわけだ。

主人公の俳優兼演出家の家福悠介(西島秀俊)が亡くなった妻の音(霧島れいか)の思い出から最後には吹っ切れる。

最後には「ワーニャ伯父さん」の主役の演出を兼任して演じ、活々と充実して生き始める。

ちょうど日本が永い間デフレに苦しんでいたのが、円安の長期化、大幅化でインフレに向うようだ。

円の対ドルレートが125円(3月28日)をつけたからと云うのではない。通常は円安が進むと、米国政府が必ずケチをつけ、場合によっては日米両政府が「ドル売り、円買い」で協調介入して円安にブレーキをかけたものだ。

しかし3月29日付のWSJ紙が云う通りで「円安でも問題なし、日米が黙認。」

理由は日米の大きな金利差。FRBは利上げを実施し、年内6回の利上げが予定されている。2年債はおそらく3%に接近。

一方日本は10年債で0.25%、2年債はマイナス圏。

これなら、ヘッジファンドは低金利の円を売り、ドルに交換する「キャリー・トレード」が盛行しても不思議はない。

米国側の事情でドル高優先になっているのは見逃せない。

中間選挙を控えたバイデン政権にとって、輸入時のコストを押し下げるドル高は歓迎される。

現に米財務省の直近の為替報告書では円安は問題にされなかった。

円安は株高につながる。大和総研では1ドル115円が125円になれば、日本企業の経常利益は1兆5000億円押し上げ

る。5%。

それよりも何よりも、食料価格やエネルギー価格が高い。加えて4月以降のスマホ料金下げを影響がなくなり、これだ

けで1.5%近く上昇することを考えると、インフレの再燃が避けられないだろう。

恐らくインフレ気配になれば、国内外とくに海外旅行が盛行する。

空運会社のJALやANAは買い。HISや米国のディズニーなども魅力的だ。

2,3年後にはタンス預金(83兆円)が動き出し。三万円どころか、四万円も夢ではない。不動産や金への投資が魅力を加える。

チャートには、三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジスト 植野大作さんの予想を掲載した。

24年の対ドル132〜3円を一流ストラテジストが予想しているのをご注目いただきたい。来週もこのテーマを書くつもりです。

関連記事

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「クワイエット・プレイス」と私のストラテジスト評価

2018・9・30 すごいホラー映画を観た。題名の「静かな場所」は、人類の大半が死滅した近未来

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「泥棒役者」とHFの売りと中国・サウジ・北のミサイル

2017・12・3 世評が高いので見たら、儲けものの一作。安田征史という監督は知らなかったが、

記事を読む

ドル円相場が荒れないならいずれ株価は上がる

日本個人投資家協会 理事 木村 喜由 Vol1334(2015年9月24日) まさかのフ

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「チャイルド44 森に消えた子供たち」とギリチューの行方
国際エコノミスト今井澂

「連続殺人は資本主義の弊害によるもの。社会主義のわが国に、この種の犯罪は存在しない」という独裁者スタ

記事を読む

損する前にこれを読め!
証券会社の営業トーク「本音と建前」
『野村証券の悪を許さない』

ジャイコミ編集部 証券会社の営業担当者の口説き文句とはどういうものだろうか。 近著だと『野村証券

記事を読む

PAGE TOP ↑