シェイクスピア「空騒ぎ」と3つの世論の無駄な誤解。米国中間選挙の予測。そして私の強気。 (第1145回)

 シェイクスピアの喜劇の傑作。名誉、恥、宮廷政治に対する真剣なな考察を含んでいて(そこがいいのだが)、全体としては明るく楽しい作品。

 ケネス・ブラナー監督で映画化しているが、私は観ていない。

 画は18世紀にこれを当り役とした当代一流の役者のもの。28年間と続けて上演したとか。

 人気がしのばれる。

 このドラマはふた組の恋人たちの誤解がスタートになる。

 いまのTVや新聞などは3つの大きな誤解がある。

 第1は円安。物価上昇は欧米の9%に比べてたった3%。これを円安のせいにして、やれスタグフレーションだの大不況だの____。いい加減にしてもらいたい。

 インバウンドが停止されてからほぼ3年。2019年には5兆の需要があった。2020,2021,2022の三年間これがストツプした。

 合せて15兆円。有効需要が入らないのだ。不況なのは当り前。

 これで回復に向かっているのだから、2023、24年と年が進むにつれて景気は急速に良くなる。OECDやIMFでも欧米は1%からゼロの明年の実質成長率に対し、日本は1.8%。名目成長率は3%台だろう。

 ついでに言っておく。黒田日銀総裁は正しい。日本は金利を上げる必要は全くない。

 第2の誤解は台湾への中国の進政である10月26日に、米国務長官は警告を発したし、米国の専門家は「早ければ11月から来年1月の間」と予測している。

 私は、ありえないと見ている。

 わが国の軍事専門家で最も優れている人は小川和之氏。

 この人は時事通信のコメントライナー(11月1日付)で「意志はあれど能力はない中国」と題して「台湾有事、空騒ぎは禁物」として、次のように述べている。

 「中国が台湾に上陸侵政し、台湾軍、場合によっては米軍と戦い、全土を占領するには、少なくとも100万人の陸軍部隊を投入する必要がある。これは第二次世界大戦末期のノルマンディーと上陸作戦に匹敵する現場だ。」

 「その場合、軍装備の陸軍部隊と1週間の弾薬、食料を輸送する船舶は3000万〜5000万トンが必要になる。中国が保有する船舶は6200万トンで転用は考えにくい。」

 このほか台湾側の有利性についても小川氏は論じているが、それは省略する。前述した米国要人の発言は、中間選挙向けのものに違いない。

 したがって大騒ぎはバカバカしい限り。びっくりしなさんな。

 そして第3。統一教会に対する大マスコミの態度である。山上容疑者の陳述を鵜呑みにしている。

 山上家が倒産したのは20年前。その間に同容疑者は教団幹部にテロを行なった形跡はないし、20年もあって、なぜ安倍元首相なのかについてもほとんど発表されていない。

 統一教会は悪かもしれない。いや、そうだろう。

 しかし、なぜあの暗殺が強行されたか、という点を置き去りにして、やれ某大臣がどうだとか、に血道をあげている。私には自民党叩き、岸田政権叩きでメシを食っている何人かのマスコミ関係人の顔が目に浮かぶ。

 結論。不毛な論議と野党のアオリに乗った詮議は止めるべきだ。

 さて、日本株に話を戻す。

 すぐ、セル・イン・メイと言われるか。後半が省略されている。

 後半は「ハロウィンに買い戻せ」である。

 確かに10月末から11月末に買うと儲けが多い。これは米国のダウ平均だが、日経平均も同じ。元日経編集委員の前田昌孝さんが云い出したことだ。版権の都合でチャートは掲載できないが。

 最後にSAIL代表の大井幸子さんが取材した米中間選挙予想をまとめておこう。

下院、民主党222→190議席

   共和党212→245議席

上院、現在は50対50だが、民主党43議席に対し共和党57議席

上下両院とも共和党圧勝。いかが?

なお、注目銘柄をいくつか、防衛関連で三菱重工業、IHI,川崎重工業

コマツなど。

業績がよく外人買いが目立つ銘柄.SUMCO,タクマ、富士電機、メドレー。どうぞよろしく。

関連記事

【個人投資家・インタビュー】本音で語る「私の投資法」(Vol.1)

(30代男性・神奈川県在住・専業個人投資家) 「今は株をやっていません。投資は米国REIT(リ

記事を読む

木村喜由のマーケット通信
日経225来期予想PERはインデックスベースで19.38倍と割高も、割安銘柄はまだある

 日本個人投資家協会 理事 木村 喜由 先週金曜日(3月13日)に会社四季報、日経会社情報が発行さ

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

嶋中雄二さんの「2023年から2025年のゴールデンサイクル」説2023・1・22(第1155回)

嶋中雄二さんの「2023年から2025年のゴールデンサイクル」説 そして2050年のインドの

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「エクス・マキナ」と英国離脱の後に起きる恐ろしいこと

2016・7・2 先週私はベットの賭率から「BREXIT」はないだろうと書いた。 まさか

記事を読む

「日本死ね」は意外に正論だ

木村 喜由の『マーケット通信』 Vol1386(2016年3月29日) 縦割り行政で時代の変

記事を読む

PAGE TOP ↑