「ツキジデスの罠」とドルの地位。米国中間選挙がもたらしたトランプ復活の可能性減。そして株価の行方。 (第1147回)

「ツキジスのワナ」とは、アテネの覇権をスパルタが追い上げた時、必ず戦争になるというギリシャの哲人の言葉だ。現在でいうと米中の関係。世界中が固唾を飲んで先行きを見守っている。

これについて、必ず私の講演の時に出る質問が「米ドルは基軸通貨として今後も地位を保てますか?」である。世界の覇権は通貨が基軸,つまり世界中で通用している事が必要だ。

私が母校慶應義塾大学の三田校舎で学生に聞かれた質問も同じ。お答えしよう。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション

中程度の精度で自動的に生成された説明

基軸通貨には、①準備通貨(リザーブ・カレンシー)の役割である。チャートの通り、米ドルが6割。ユーロが2割、日本円と英ポンドが各5%。

②は決済通貨(ペイメント・カレンシー)。石油や食料、金などはドルで決済される。NY連銀から24時間専門家を派遣する。国家間の取引で差がでるのを埋めてやる。この機能はNYが中心。中国が暫

定的に人民元で決済したりしているが、シェアはメチャ低い。

結論。ドルの地位は揺るがない。

さて、次の今回の米国中間選挙で「レッド・ウェーブ」つまり共和党の上下両院の圧勝がなかったこと。下院は共和党の微差の勝利だが、上院大接戦。来月までわからない。

アト講釈になるが、9月6日のバイデン演説がきいたと思う。「MAGA共和党員は過激主義だ、米国における脅威。」

MAGAは「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」というトランプの名ゼリフ。

そこでバイデン大統領は「親トランプ議員と穏健派」に分けた。

6月に米国最高裁は「米国憲法は人工中絶を認めていない」という判決を出した。保守派の共和党支持だった白人女性有権者が民主党支持にかわつた。

NYタイムスによると、69%は最高裁判決後女性が占めた。これでNY州、カンサス州は中絶反対派が下院選挙で共和有利の予想を覆して民主が制した。

13日、上院では49対49。下院は206対213.しかもいわゆるトランプチルドレンがほとんど落選した。トランプ再選の可能性は激減したのではないか。

グラフ

自動的に生成された説明

さて、最後にOECDの出した2023年予測を取り上げる。

実質成長率2.2%、2021年12月からの下振れ幅は1.0%。

米国は0.5%で2022年9月で0.5ポイント、ユーロ圏は1.3ポイント下振れした。

日本は0.4%下振れで1.4%。

さてNY株。ねじれ(政権と議会)を懸念して下げたが、恐らく11月ごろに2万9000ドルをつけてから上昇。理由は明年1〜3月期にゼロ成長をつけ、4〜6月期から金融緩和して2023年後半と2024年を好況にもってゆく。

日経平均は?

2万5000〜6000円台での先物の空売りが2.3兆円もある。この売り玉のふみあげで、当分高い。軍需関連、インバウンド、そして半導体関連中心での投資作戦がおすすめだ。

関連記事

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「ドント・ブリーズ」と新年のテン・サプライズ

  2017・1・1 「ドント・ブリーズ」は世評通り2016年公開洋画のベスト

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「ジョーズ」とソロス、バフェット、ジム・ロジャーズ

  夏だ。海だ。となるとすぐ思い出すのが「ジョーズ」。1975年の大傑作だからもう4

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

日経平均2千円を超える大幅下落を起こした真犯人。 そして私が五月十三日の二万七千円台を底値と判断したワケ (第1064回)

文字通りのメイ・ストームだった。五月十日(月)の二万9518円から五月 十三日(木)の二万7

記事を読む

映画「JFK」とトランプ暗殺未遂と今後の米国の対外政策(とくに円の対ドルレート)。長期上昇相場を支えるわが国の新NISAにも注目

2024・7・21(第1230回) <huluより> オリバー・ストーン監督・

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「オールド」と米国のアフガン撤退で地下資源獲得し有利になった中国の落とし穴(第1078回)

スリラーの鬼才M.ナイト・シャマラン監督作品の恐らくベスト 。秘境のビーチを訪れた数人の社会的エリ

記事を読む

PAGE TOP ↑