禅語「白馬蘆花に入る」とリーマン危機と今回の比較。そして8月下旬の「ドカ」(第1166回)

言葉で云い現せない禅の体験を、苦心して云い現わそうとする言句のことを「禅語」という。

表題に使った「白馬蘆花に入る」は「蘆」(アシ又はヨシ)で、白い小さな花を咲かせる。そこに白い馬が入ると見分けがつかない。そのココロは、1つの道に黙々と徹する姿は実に美しい、というもの。

しかし私は、2008年のリーマン・ショックと今回の金融危機は、同じ「色」であり、これから起きる危機もまた同じ。

日本で1990年代に起きた銀行危機も同じ、と考える。

私の考えの基本はこうだ。

リーマン以降の大量な金融緩和がもたらした起低利時代。その時代に購入した長期債の含み損が、規模の大小を問わず全ての金融機関に発生しているはず、というものだ。

では、イマイさん、弱気なの?と聞かれそうだが、私の強気は変わらない。

少なくともここ4、5ヶ月は。

というのは、米国のシリコンバレーバンク(SVB)は、最もリスクの少ない資産、つまり米国国債やMBS(不動産損保証券)で運用されていた。リーマン当時のサブプライムローンとは全く違う。

当時は格付け会社がそうしたローンに最上位の格付けを乱発している。

野村総研のリチャード・クーさんは、こう説明している。

「本来満期まで持てば安全な債券ばかり。価格変動のリスクは、SVB側は想定していなかった。しかし、一部の預金者が、同行は危ないと気づき、資産を引き揚げた。オンライン化で、巨額の資産がSVB から一瞬のうちに流出した。」

これに対し当局は、ペイオフで対処しようとしたが、すぐに預金金融保護に切り替えた。ペイオフでは25万ドルの預金までしか、保護されないので、賢明な措置だったとクーさんは云う。

問題は次の通り。

米FRBのパウエル議長以下首脳部が金融引き締めを行なっている。一方でこうした問題金融機関への貸し出し増は金融緩和にほかならない。

結論を急ごう。

私は「インフレがおさまって金利が下らないと、銀行問題は解決しない」とするクーさんの意見を全面的に支持する。

私の信頼する箱田啓一さんは今回の「ドカ」を当てた当たり屋だが、8月下旬に「ドカ」又は「ドカン」があると予想している。私もそう思う。

私はFRBがその頃すでに、金融引き締めを終えている。そこに何らかの要因でインフレが再燃したら、金利は急騰、債券価格は大暴落。

かつての邦銀のように、「貸し渋り」が起きる。リーマン当時は米国の銀行は、銀行同士の不信感から金利資金をインターバンク市場に放出せず、決済ができない銀行はFRBから借り入れた。通常2億ドル程度のFRB貸し出しは実に7000億ドルまで急増した。

今回はどうか。クーさんのチャートをお借りすると、リーマン時代よりも多い。しかもFRBは簡単に利上げをやめられない。この矛盾。解決には大変な時間がかかるし、痛みも大きい。

第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生さんは「隠れた部分にリスクがある」として、「ファンドなどが運用する欧米のレバレッジドローンという低格付けの社債への投資」を例として挙げている。

結論。

やはり、8月下旬ごろに「ドカ」かつ「ドカン」があると考えた方が良さそうだ。外れたら?その時はゴメンナサイというしかない。


NPO日本個人投資家協会を寄付で応援

よろしければこのサイトを運営している日本個人投資家協会を寄付で応援してください。

寄付で応援


※1,000円以上


安心してご利用いただくために
  • クレジットカード情報は当サイトでは保持せず、決済代行サービス(PAY.JP)を通じて安全に処理されます。
  • 本人認証(3Dセキュア)画面が表示される場合があります。
  • 本人認証のため少額(例:11円)が表示される場合がありますが、実際の請求額ではありません。
  • 寄付完了後に表示される「DON-XXXX」を、公式LINEに送るとお礼ページURLが届きます。
  • 個人情報の取扱いは プライバシーポリシー をご確認ください。

寄付で応援する


※100円以上


安心してご利用いただくために
  • クレジットカード情報は当サイトでは保持せず、決済代行サービス(PAY.JP)を通じて安全に処理されます。
  • 本人認証(3Dセキュア)画面が表示される場合があります。
  • 本人認証のため少額(例:11円)が表示される場合がありますが、実際の請求額ではありません。
  • 寄付完了後に表示される「DON-XXXX」を、公式LINEに送るとお礼ページURLが届きます。
  • 個人情報の取扱いは プライバシーポリシー をご確認ください。

関連記事

今井澈のシネマノミクス

映画「マスカレード・ナイト」と米国公的・私的年金の明年からの日本株買いの開始(第1086回)

キムタクも長澤まさみも、私のお好みなので封切り後、早速観た。 犯人が私にはすぐ分かってしまっ

記事を読む

2015年を読む⑦
2014年に儲かったのは債券、今年は株
JAIIセミナーレポート

ジャイコミ編集部 前回の長谷川慶太郎理事長「逆オイルショックの真の狙いはロシア服従」に続いて、1月

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「決算!忠臣蔵」とトランプ再選と安倍四選(第988回)

まことに楽しい時代劇コメディーの佳作。大石内内蔵助が残した請払帳を分析した山本博文著「『忠臣蔵』の

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「スター・ウオーズ/フォースの覚醒」と「隠し砦の三悪人」とアベノミクス

二つともご存じの映画史に残る名作。私を含めてワクワクしながら次の「STAR WARS/フォースの覚醒

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「ソロモンの偽証」前後編と「植木屋の地震」のその後
今井澂・国際エコノミスト

今週は北野武監督の「龍三と七人の子分たち」を楽しみながら観た。8月で80歳になる私としては、ジイさん

記事を読む

PAGE TOP ↑