映画「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」と米国国債格下げショック
映画「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」と米国国債格下げショック
2023・8・5(第1185回)
出所:映画パンフレットより
画期的なステルス技術を持った原子力潜水艦が沈没した。その技術が敵に渡るのを阻止するため、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は旧知の仲間たちを呼び寄せ追跡を開始する。
秘密を握る十字鍵をいくつかの勢力が追いかける形で映画は進行する。
例によってトム・クルーズの体を張ったアクションが売りになっている。バイクでガケを飛び降りるシーンは500回もスカイダイビングで練習したとか。61才の年齢を考えると、全力疾走のシーンの多いことに驚かさせられる。面白いし、ユーモアも巧みにちりばめられている。おすすめできる。
さて、8月1日に公表された米国の格付け会社フィッチの米国国債格付けをトリプルAから、ダブルAプラスへ、ワンノッチ引き下げたことでショックが走っている。
誰もが思い出すのが、2011年スタンダード&プアーズ社がやった同じ格付け引き下げである。
当時は8月5日にS&Pがクレジットウオッチネガティブにした直前の、8月3日のNYダウが1万1896ドル。これが2カ月下げて、10月3日に1万0404ドル(ザラバ安値)。まあ9%下げた。
今回はどうだろうか。初体験よりは2度目のほうが、期間も下げ幅も少ないと想定するが、タイミングが悪い。
つい先日まで展開していた米国債務の上限問題は解決した。しかしその後始末が容易でない。問題があった期間の累積赤字は1兆ドル近く。その分を短期国債(5%)で埋めなくてはならない。クラウディング・アウト(民間債などが市場から押し出されること)が起きかけている。その時も時、フィッチ・ショックが起きた。
折も折、まだFRBは金利引き上げの最中にて、マネーサプライは10%近く減少中である。
円レートはドル安、円高に向かうはずだが、現実には米国勢の日本株売りで、米国株・日本株安、円安というトリプル安になっている。
日本株はどうだろうか。
実体経済はいい。インバウンドが景気を押し上げる。
コロナ騒動の直前の2019年、4.7兆円がインバウンド収入だった。これが2020、21、22の3年間入らなかった。14.1兆円の収入がないのだから、周囲を見回していいことがなかった。
これが、2019年に中心だった中国がまだ本格化してないが、訪日外国人客数は75%まで回復した(チャートはソニーフィナンシャルグループ宮島貴之さんによる)。
消費単価は2019年の16万円にくらべ21万円と33%増加している。平均宿泊数が2019年は9泊だったが、2023年は14泊。当然消費額は増える。
結論。8月一杯、まずくすると9月中旬ごろまで米国株式市場からいいニュースが来ないと覚悟すべきだ。セル・イン・オーガスト、だ。
外国人投資家は日本どころではない。ショート一本だろう。日経平均3万1000円台で止まるか、どうか。森を見ず木を見よ、だ。銘柄中心に考えた方がいい。
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