永久債の利回りを計算してみましょう。

金融リテラシー講座 「金利計算、利回り計算のやり方」

株式会社FA第一投資顧問 代表取締役社長 井上 明生

今回は永久債の利回りについて考えてみます。
永久債とは利払いだけを行い元本の償還がない債券(*)です。永久債は日本ではなじみがないですが、海外では発行はめずらしくありません。日本の金融機関も海外で永久債を発行しています。
*元本の償還がないと言っても、発行後一定期間が経過すれば発行体の方から償還できる権利がついているのが普通です。

償還のない永久債、そんなものの利回りが計算できるのかと思われるかもしれませんが、これも利回りは計算できます。例えば、利率は固定利率で5.0%の永久債があるとします。これが利回り4.0%で取引されているとしたら、債券の取引値段(債券単価)はいくらでしょうか。

それを考える前に、一般的に永久債の債券単価Xと利回りrの関係はつぎのようになります。(額面100円当たりのクーポンをCとして、年1回利払い、現時点は利落ち直後とします。)

kinyuinoue20160425

ジャイコミ有料記事テキスト画像

永久債の債券単価はクーポンを利回りで割ったものと言う訳です。
上記の例、利率5.0%の永久債が利回り4.0%で取引されている場合の債券単価を計算すると、
5÷0.04=125 → 債券単価は125円です。

式3-③、これは前にも出てきたことを思い出せますか?
そうです、第4回で取り上げた配当から理論株価を出す計算式の一定配当額が続く場合と同じです。
株式は利息が変動する永久債と思ってよいです。そして配当が一定であるなら永久債と同じ計算式で理論株価が出ることになります。第4回のときは式3-③と同じものを提示しただけで、なぜそうなるかは説明しませんでした。今回示した永久債と同じ計算過程を経て結局式3-③のようなシンプルな式になるのです。

式3-③はシンプルですが、株式投資にはもっとも重要な式と言えます。われわれは株式投資においてPERをよく使います。株価をK、1株当り純利益をCとしますとPERの計算式はつぎのようになります。

kinyuinoue20160425-2

これは3-③式を入れ替えただけです。Cに1株当り配当を入れると配当から見た理論株価、Cに1株当り純利益を入れれば1株当り純利益から見た理論株価となります。どちらにしてもわれわれは永久債の債券単価を計算する式で株式投資を考えているのです。

ジャイコミ有料記事テキスト画像

関連記事

重視すべき実践的なROEとは何か?
ROAとROEを算出する③

金融リテラシー講座 「投資のための財務分析」第19回 前回に続いて、ROEの話です。ROEの計算式

記事を読む

四季報の業績欄は十分なのか?
損益計算書を読み解く③

金融リテラシー講座 「投資のための財務分析」第15回 損益計算書のダイジェストは「会社四季報」(以

記事を読む

金融商品を買う前に数字をチェックしていますか?
金融リテラシー講座、開講します。

金融リテラシー講座「投資のための財務分析」第1回 フィナンシャル・アドバイス代表 井上 明生 こ

記事を読む

ROAの分母と分子に何をあてはめるか?
ROAとROEを算出する①

金融リテラシー講座 「投資のための財務分析」第17回 前回まで、損益計算書と貸借対照表の読み解き方

記事を読む

損する前にこれを読め!
証券会社の営業トーク「本音と建前」
『野村証券の悪を許さない』

ジャイコミ編集部 証券会社の営業担当者の口説き文句とはどういうものだろうか。 近著だと『野村証券

記事を読む

PAGE TOP ↑