清原達郎「わが投資術」のすばらしさと「日本株ショーテッジ」の時代の到来

2024・7・28(第1231回)

7月24日は亡妻扶美子の三周忌。しかし入院中のこととて、出席はかなわず残念この上ない。

ただ、夢の中に出て来てくれたのがわずかに救いになった。たまらなく淋しい。

さて、今回はいつものような映画はなし。代わりに感銘を受けた本をご紹介する。

その著者は「清原達郎」という人で、まだ会ったことはない。しかし、日本一の長者になったことで知られている。

1981年東京大学卒、野村證券に入社。スタンダード大学修士号。91年ゴールドマン・サックス東京支店に転職。98年タワー投資顧問で基幹ファンド「タワーK1ファンド」をローンチ。2005年長者番付第一位になったことで一挙に著名人になった。

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私は日本で初めてヘッジファンド(HF)を買い、世界で初めてHFの本を書いたことで、多少ひと様に名を知られている。その私が、こんなに内部事情や自分の手の内を書いていいのかと思う位、面白い。

やはり6年前に咽頭ガンで声を失い、「タワーK1ファンド」の運用を止めて、いわば気楽さが、こういういい本を書かせたのだろう。

<出所:清原達郎『わが投資術 市場は誰に微笑むか』講談社(2024年)より>

タワーK1の推移にみられる通り、何とも浮沈の激しい投資環境を生き抜いた清原さんだが、小型株中心に投資をおこなって来たことが成功の背景だろう。

その場合、清原さんは小型株の経営者に必ず会い、「小型株の成長性の9割は『経営者』が握る」としている。成長させる強い意志をもっているか、社長と同じ目標を持つ部下がいるか、等がチェックポイントになる。

度胸もすごい。リーマンショック後には、自分の銀行預金30億円を全部ファンドに入れて、ファンドとの心中を試みた。

この本のいいところは多いが、いくつか拾ってみよう。

「割安小型株は、最低2倍は狙うべきです」

「株式投資に「才能」などない」

「自分が聞きたくない情報や確度の低い不正確な情報が自分にとって重要だということは充分にあり得る」

「市場は常に正しい。これはもちろんウソ」

「すべての情報にはバイアスがかかっている。HFはこのバイアスを食い物にして生きている」

「負けるのは、自分でよく考えず大衆に迎合したとき」

まだまだ数多いが、やはりこの本を読んで自分のものにして下さい(講談社刊)。

このブログの題に入れた「日本株が足りない(ショーテッジ)時代が来る」というが、まだ現時点では、日本の個人投資家には信じられていない。しかし、清原さんは――

①内需株、外需株ともにそれぞれ違う理由で経営統合が進み、寡占度が上がってゆく。

②その結果、利益率は上向き、自社株買いと増配が続く

③日本株は日本の機関投資家、個人投資家、一般家庭の中核的な資産となる

その結果、日本市場では「株式ショーテッジ」の時代が到来する

別の表現をとれば「好循環」になろう、

<マンデー・ミーティング・メモ2024.7.16より>

しかし、リチャード・クーさんのチャートにもある通り、これまで日銀は市中の過剰準備を10年間で421兆円もふやした。にもかかわらず、邦銀の貸し出しはたった151兆円、年率5.1%しか伸びていない。これが急伸しはじめたのはチャートが示す。

経験的に、設備投資(多くは銀行貸し出し)や回転資金が回り出すと、3年もすれば好況に突入する。やはり25年は画期的な1年になるのではないか。いや、私はそうなるのを、つまり好循環が発言することを確信する。

そのころには「周囲が強気なので」ほぼ「全員参加型」の展開になろう。

銘柄は私がずっとすすめている(逆にいうとこのブログに書いているもの<例:三菱重工、コマツetc.>)。投信・ETFでは、日経平均ブル2倍上場投信、新NISAには「オルカン」がいい。

※来週は著者の都合で休載します。あしからず。

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